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第10話 引越しの準備

洞窟の中に行くと、もう既に空だと伝えられた。地面に膝をついて、がっくりと気を落とした。


...ああああぁぁあああ.....億万長者になる夢が.....!

ちくしょう...これじゃまた借金が増えてしまう!!更に増えてしまったら私は一体どうすればいいっ!!


「あの....大丈夫ですか?」


「全然大丈夫じゃない...部屋に戻る....」


「お、お気をつけて...」



現状はこんな感じだった。シュラークは凹んでいて当分は外に出る事はない。

枯渇したとなれば移動か。


「白竜はどう?」


『決まっている。人間共にバレた以上、移動する』


エルフ達はテキパキと荷物を馬車に乗せ、残った小屋は炭にして痕跡を消し去る。

森の中を歩いている中、シュラークはまだ落ち込んでいるらしい。

我は先導して、周りに敵がいないか警戒していく。


ここから南に100kmはあるが、ラファルによると3日か4日もあれば辿り着くらしい。

日が落ちてきて野宿する。シュラークはカリゴの膝の上でまだ泣いていた。


「シュラークさん、いい加減泣き止んでください。脱水で倒れてもいいんですか?」


「うぅ....嫌だあぁあ〜〜!」


「スープでも飲んで、失った水分を取り戻してください。ほら、起き上がってください!」


彼女を退かし、木のボウルを持たせる。中身はシチューだが具が入っていない。

啜ると、頬が少し赤くなる。涙が止まり、目付きが変わった。


「...よし、いつまでも泣いてなんかいられないな!」


「そのいきですシュラークさん!」


食事も終わり、夜も更けた頃に全員が眠り、焚き火消え掛かっていた頃に音もなく忍び寄る影が、それは刺客だ。黒ずくめの衣服を纏い、顔を隠していた人物がシュラークを狙っていた。

腰に付けているダガーナイフを取り出して、振り下ろそうとした時手首を掴んだ。


「...っ!


手首を掴んだまま投げ飛ばす。

静かな森の中で刺客と戦う空気を纏っていた。

まぁ、我は何もしないが。


月明かりが照らされて二人は黙って見ている。

暗殺者の方はナイフを持っていて、アメルンは素手だ。不利だと思うが、どう出る...。接近してきたのは刺客か。


腕を突き出して刺そうとするが対して彼は足を左に少しずらすと刃は空を切る。

小さいナイフを手に取って投げ飛ばすがこれも避けられて木に刺さった。再び接近し、振り回すがアメルンは手を使って軽く弾いて受け流していた。


そうして伸び切った腕を掴まれ、肘の関節を折る。暗殺者は声を上げなかったか。


残った腕でナイフを振るがこれも避けられて同じ様にへし折った。

そうして両腕が再起不能とわかった刺客は奥歯に仕込まれていた毒薬で自害しようとしたが、顔面を思いっきり蹴り飛ばして我に向かって飛んできた。あれは頬骨が砕かれたな...。


翌日になり、刺客を撃退したとラファルに言うと尋問はカリゴに任せて再び歩き出した。確かにアメルンは強い、ラファルが見込んだ通りだった。

一旦休憩にしてラファルは地図を見ていた。


「白竜、ちょっと空から監視してきてよ」


『分かった』


飛び上がって、目的の場所に素早く飛ぶ。

すると人間共が多くいて、その数は50人以上いた。テントもあり、補給地点だと思われる。


幸いにもこちらには気づいていないので戻る事にした。

地面に着地し、見てきた事を彼に言う、笑顔でこんな事を言ったのだ。

さっきのところに行って灰燼(かいじん)にしてこいと。.....クックッ、久々に暴れられるな!


広い場所に降りると、奴らは警戒していた。その手には見たこともない武器と軍服らしき服を着ていた。


「何者だ!」


『何者?1匹の竜種だが何か?』


「竜だと?ドラゴンは70年前に絶滅したんじゃ...」


『話せば長い、3日後にエルフ達が来るから手出しはするな』


「ああ...」


森に戻って行き、伝えるとラファルは興味津々にしていた。


「へぇ、話が通じる人間もいたもんだね。...じゃあさ、この馬車ごと運んでよ」


『無茶言うな、重量を考えろ』


「半分でもいいから大丈夫だよ」


『全く...』


浮遊魔法を使い、馬車を5台ほど浮かせてゆっくりと飛ばす。

その時ラファルが「もっとスピード出して〜」と言ってきた。荷物がぐちゃぐちゃになっても知らんからな。


広い場所に到着しゆっくりと置くと、もう一度戻った。

残りの馬車を運び終えると、ラファルが寄ってきた。話を聞くとどうやらここはリフィテールという軍の補給地点だったらしい。上機嫌なのはそのためだ。


「白竜、これ何か知ってる?」


『知らん、興味ない』


「えー?面白い構造だけどな〜。ほら、引き金を引けば弾が出る。簡単でしょ?」


エルフは興味深々だが、我にも目的がある。シュラークを連れて、鉱山の方へ翼を動かす。山の方へ到着すると、目を輝かせていた。


「ええ...これって...」


ナイフを取り出し、柄の底を使って鉱石を割る。するとジワジワと再生してきたのだ。


「うおおおっっ....凄い!!」


『これは...取り放題じゃないか。しかも削ったものは消えないらしいな』


「やった!!これで両親が遺した借金がようやく返せる!!」


『お前借金なんてあったのか』


「言ってたら馬鹿にされると思って、言わなかった」


『残念だが既にバレてるぞ。』


「....っ」


『我ら竜種は人間が何を考えているか手に取るように分かるからな。故に隠し事は不可能だ』


ラファル達の所に戻ると、既に結界を張り始めていた。

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