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◆52◆(最終話)

【まえがき】


 「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、2025/8/11より開始の連載形式の小説作品です。

 全52話で、2025/10/18にて完結です。


【◆Intermission◆ 前半のあらすじ&登場人物】

https://ncode.syosetu.com/n7496ks/27

◆52◆



 時は流れ、病院でのリハビリの一段落を終えた私は、無事に懐かしの自宅マンションに戻る事になった。


 当然ながら、もはや私の傍にはミルミラもカテリナも存在しない。勿論、冬芽が戻ってくる奇跡もあり得ない。


 残されたのは、幻にすら思える楽しかったあの懐かしの日常風景と、これから先も私の傍を離れないであろう、私にとって極めて貴重な『人間の友人』である、望月研究員だけだった。


 彼はミルミラとカテリナに続く三代目の私の世話係として、新たにこのマンションに通い妻ならぬ、通い夫状態になっていた。いきなり失業したとはいえ、かなり微妙な行動ではある。


 そう言えば、私も彼も『研究員』という肩書すら失ってしまったのだ。今後当面の生活にさえ不安を抱えてしまう状況だ。


 いっその事、もう一度、あの祖母の暮らす田舎の村落を訪ねて、二人でのんびりと田舎生活を始めてみるのも良いかもしれない。


 ミルミラとの約束を果たすため、私はいつか絶対、『立派なお母さん』にならなくちゃいけない。その第一歩を、そこから踏み出すのもアリだろう。


 「ねぇ、望月君、田舎暮らしってやってみたくない? 勿論、私と一緒に…」


 もはやミルミラの姿も痕跡も窺えなくなってしまった自室から、大きな窓越しのどんよりと曇った都会の空を眺めつつ、キッチンの望月君に声をかける。


 「何でまたいきなり…。急にどうしたんですか?」


 「ん? まぁ、何となくね…。望月君がまだアンドロイドの研究に拘りがあるのなら、このままこっちで他の研究施設に拾って貰えば良いけど、個人的興味の対象ってやつが私だけになっちゃったのなら、別に田舎でのんびり生活でも良いんじゃないかな、って感じ?」


 私の率直な意見に、キッチンから聞こえていた規則正しい包丁の音がぴたりと止まる。


 暫しの無言の時が流れ、再び手を動かし始めた望月君が、即時作業を中止しておもむろに手を洗い始める音が聞こえてくる。


 「…あの、秋穂さん、それって所謂…プロポーズってやつですか?」


 「ぷ、ぷろ…」


 パステルカラーのタオルで手の水分を拭いながら姿を見せた望月君は、極めて真剣な顔で私をじっと見つめている。その輝きに満ちた澄んだ瞳に、私は思わず吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥る。


 「もし本当に秋穂さんからのプロポーズだったら、僕も真面目に答えさせて貰いますよ? 当然、答えはイエスですが…」


 「あ、いや、え、えぇっ! ま。マジ…? 君、それ本気で言ってる?」


 「勿論です!」


 私に向けられた視線を逸らすことなく、望月君は堂々と宣言する。


 一瞬だけ、私の脳裏に、『こいつは馬鹿なのか? それとも私の事を揶揄っているのか?』という考えが過ったが、すぐにその実直な眼差しに射止められてしまった自分の存在を悟る。


 「そうですね、出来れば子供は女の子が二人で…」


 「どうせ『みる』と『みら』とか名づけるつもりなんでしょ…。まぁ、それも良いかもしれないわね…」


 溜息交じりの言葉で誤魔化しつつ、私は自分の頬が次第に緩んでいくのを感じていた。


 久しく忘れていたこの感覚が、何故か無性に嬉しくて、言いようのない程に懐かしくて、自分でもはっきりとわかる程に幸せな笑顔になっていった。


 「えーと、それじゃあ、これから、ここから、私たち二人で再出発の旅を始めましょうか、望月君…」


 「ミルミラもカテリナもいないけれど、僕で良ければ喜んで!」


 AIが何を考え、アンドロイドが何を望んでいたのかはわからない。すぐ傍にいる良く見知った人間でさえ、実のところは何を考えているかわからないのだから。


 ただ、人間もアンドロイドもきっと、『幸せになりたい』と強く願い、そのために時として、とんでもない事をしでかすのだ。


 そう、人もロボも所詮はその程度のお馬鹿な存在という事なのだろう。限りなく人間に近いアンドロイドは、人間と同じように愚かなのかもしれない。


 私はここから、冬芽やミルミラたちが残してくれた優しい記憶と一緒に、望月君と新たな一歩を踏み出しはじめる。


 きっとあの子も明るい笑顔で祝福してくれるだろう。


 『ダメなお母さん』に幸あれ…と。


挿絵(By みてみん)



『ミルミラ~ココロとキオクの輪舞』完


ご意見ご感想イラスト等もぜひお寄せください


【あとがき】


●ご注意

 この作品、「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、毎週月~土曜日の朝6:00に更新していた、連載形式の小説です。


 初めまして&こんにちは、真鶴あさみです。


 いつもはSF系の作品が中心の私ですが、そもそも前作「よよぼう」がSFというよりファンタジー寄りの作品だったので、本作「ミルミラ」はリハビリがてらの"ぷちSF“となりました。

 校正修正の通称”鳥”さん、相談役?の通称”蛹”さん、いつもありがとうございます。


 挿絵は自作のAIイラストで「PixAI」というサイトにて作成しています。未採用イラストやプロンプト(呪文)、LoRA(補助用雛形)も、「PixAI」及び「ちちぷい」で公開しています。


 ご意見ご感想、イラストなど、お寄せくださると嬉しいです。



↓「MiraiMind」中一秋穂ちゃんAIチャット♫

AI画像チャット「Miraimind」で中一時代の秋穂さんとお喋りしませんか?

何故、彼女がロボ娘に目覚めたのか、その原点が少しわかるかも?

良かったら構ってあげてくださいねっ♪

MiraiMindで「河原木 秋穂」とチャットしよう!

web-miraimind.hellogroupjapan.com/#/chat/C11222094



■「PixAI」(https://pixai.art/ja/@manazuru72000/artworks)、及び「ちちぷい」(https://www.chichi-pui.com/users/user_uX43mFCS2n/)にて、AIイラストを試験公開中。「ミルミラ」「よよぼう」関連以外もあります。

「PixAI」では「ミルミラ」の主要キャラのLoRAも公開予定です。


■個人HPサイト「かれいどすこーぷ」(https://asami-m.jimdofree.com/)に掲載予定ですが、ほぼ放置中


■TINAMI(http://www.tinami.com/)に掲載予定ですが、絶賛放置中


■X(旧Twitter)もあります(@manazuru7)

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