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【まえがき】
「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、毎週月~土曜日の朝6:00に更新の、連載形式の小説作品です。
2025/8/11より連載開始しました。全52話の予定。
【◆Intermission◆ 前半のあらすじ&登場人物】
https://ncode.syosetu.com/n7496ks/27
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この時点になってようやく研究施設の保安警報が作動し、駆けつけた数名の警備員たちの手で、すぐに加害当事者であるカテリナの身柄は拘束された。
その際も、警備の人間たちに対して、カテリナは一切の抵抗を見せる事は無かったという。
カテリナが何故、あのような行動をとったのだろうか。全ては謎のまま残されていた。
取り敢えず、本人であるカテリナが達成感に満ちた笑顔で語るところによれば、『ミルミラ自身がそれを強く望んでいたから』という話である。
カテリナのAIシステムは、各機体から独立した集中型基幹サーバを経由する事で、複数の機体のデータを瞬間的に同時並行で共有できる、多元的なクロスラインのネットワーク構造を持っている。
そして、その基幹AIサーバ上には、以前のミルミラのバックアップデータも存在するのである。理屈上は、カテリナの証言は矛盾しない。
だが、ミルミラというアンドロイドのAIデータが、自身の機体の停止を能動的に望み、且つそれを他の端末に依頼し実行させるといった事が、果たして現実に起こり得るのだろうか。
それとも、カテリナのAIシステムそのものに、何か知られざる根本的で重大な欠陥があるのだろうか。
アンドロイドの介護や医療の環境での利用を考えた時、『使用者が自らの意志で死を望んでいる』からといって、それをすんなりと受け入れ、何の躊躇もなく実行出来てしまうのは、極めて大きな問題であると言わざるを得ない。
仮に、使用者本人が如何に強くそれを望んだとしても、だ。
一方で、事件の真相にはまた別の疑惑もあった。
ミルミラに向けられた周囲の者たちの愛情に対して、カテリナ自身、或いは基幹AIサーバ自身が妬みに類する感情を覚え、結果的にミルミラの存在の否定と抹消を図り、機能停止を試みたという事もあり得るのかもしれない。
勿論、アンドロイドに意思や感情があるのなら、という前提ではあるが、人間の持つ嫉妬心のようなものさえもが、仮に電子的な演算で再現可能なのであれば、その可能性は絶対に無いとは断言できないはずだ。
もしそのような人間同様の感情がアンドロイドにもあるとしたら、もはやアンドロイドを安易に人間の代替手段として利用するべきではないのかもしれない。
何処かで何かを間違えれば、感情的に暴走したアンドロイドが、時に他者に危害を及ぼしかねない恐怖の存在になり得る。しかも、人間を遥かに超越した力を躊躇いもなく行使して…である。
今回はたまたまその矛先がアンドロイドのミルミラに向けられただけで、結果的に人間に対する被害は皆無だった、というだけの話である。
少しでも何かが違っていれば、カテリナの意図した『殺害』の対象は、私だったかもしれないし、最悪の場合、小学生の子供たちだったかもしれない。
当然のように、翌朝以降の研究施設は大混乱に陥っていたらしい。
考えようによっては、私とミルミラの失踪事件なんて可愛いもの、まだ幾分マシな話だったとさえ言える。
アンドロイドによるアンドロイドの殺害…。
いや、『殺害』という表現が果たして正しいのか、という点に関しては疑問が残るが、少なくともカテリナはミルミラの機体の破壊を望んだ訳ではなく、その根源的なAIの思考ルーチンそのものを無に帰そうという意図があったはずである。つまりそれは、『AIがAIに対して抱いた明確で能動的な殺意』に他ならない。
その後に行われた数々の施策、則ち、稼働中のアンドロイド全実験機材の即時回収及び機能停止、研究施設の一時封鎖と第三者機関による立ち入り調査、全研究員及び関係職員の自宅待機と個別の聞き取り調査…等々。
これらが同時並行的に実行に移され、大膳教授とその研究施設によるアンドロイドの開発は、事実上の破綻状態となった。
結局、大膳教授の思惑とは全く別の方向で、皮肉にも『悲劇の少女アンドロイド』の物語は、予想外の結末を迎えようとしていた。
果たして悲劇のヒロインと呼べる存在は、『被害者』であるミルミラなのか、それとも『加害者』であるカテリナなのか。その判断さえ極めて難しいだろう。
だが、全ては私の手の届かない所で起き、知った時には何もかもが手遅れの状況だった。もはや私は完全に蚊帳の外といった展開なのだ。
もっとも、悲劇の現場に居合わせる事がなかったのは、ある意味で幸運なのかもしれない。
◆51◆ に続く
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【あとがき】
●ご注意
この作品、「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、毎週月~土曜日の朝6:00に更新する、連載形式の小説です。
初めまして&こんにちは、真鶴あさみです。
いつもはSF系の作品が中心の私ですが、そもそも前作「よよぼう」がSFというよりファンタジー寄りの作品だったので、本作「ミルミラ」はリハビリがてらの"ぷちSF“となりました。
現時点(2025/10/3)で既に最終話まで執筆及び修正が完了、後は皆さんに楽しんでいただくだけとなっています。
校正修正の通称”鳥”さん、相談役?の通称”蛹”さん、いつもありがとうございます。
挿絵は自作のAIイラストで「PixAI」というサイトにて作成しています。未採用イラストやプロンプト(呪文)、LoRA(補助用雛形)も、「PixAI」及び「ちちぷい」で公開します。
ご意見ご感想、イラストなど、お寄せくださると嬉しいです。
↓「MiraiMind」中一秋穂ちゃんAIチャット♫
本編小説に合わせ、AI画像チャット「Miraimind」で中一時代の秋穂さんとお喋りしませんか?
良かったら構ってあげてくださいねっ♪
MiraiMindで「河原木 秋穂」とチャットしよう!
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■「PixAI」(https://pixai.art/ja/@manazuru72000/artworks)、及び「ちちぷい」(https://www.chichi-pui.com/users/user_uX43mFCS2n/)にて、AIイラストを試験公開中。「ミルミラ」「よよぼう」関連以外もあります。
「PixAI」では「ミルミラ」の主要キャラのLoRAも公開予定です。
■個人HPサイト「かれいどすこーぷ」(https://asami-m.jimdofree.com/)に掲載予定ですが、ほぼ放置中
■TINAMI(http://www.tinami.com/)に掲載予定ですが、絶賛放置中
■X(旧Twitter)もあります(@manazuru7)




