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◆36◆

【まえがき】


 「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、毎週月~金曜日の朝10:00に更新の、連載形式の小説作品です。

 2025/8/11より連載開始しました。


【◆Intermission◆ 前半のあらすじ&登場人物】

https://ncode.syosetu.com/n7496ks/27

◆36◆



 万が一にも突発的な地震というものに遭遇した時、狭く視界の利かない地下空間というのは、まさに最悪なロケーションだと言える。


 いつ崩落を始めるかわからない状況で、避難経路は恐らく坑道の出口たった一つだけ、しかもそこに至るまでの道程は複雑に入り組んだ迷宮なのだ。


 私は勿論、これまでの人生でそれなりの回数の地震を経験し、冷静に対処できる自信も持ち合わせているつもりだったが、まさかここでこんな体験をするなどとは予想出来るはずもなく、冷静を心掛けようとすればするほど、焦る気持ちが大きく心の中に渦巻いていった。


 「ダメです、秋穂さん! そっちは今不安定に…」


 ミルミラがそう叫んで私に警告を告げた時には、既に手遅れという状況だった。


 私は数メートルに渡って一部崩落した坑道壁面の岩石に行く手を阻まれ、咄嗟に身を翻したものの、足を縺れさせて転倒する。その尻餅をついた私の両足を中心に大小様々な石の礫が後から後から降り注ぐ。


 まさに生き埋め寸前といった状況である。


 その状況下でさえ、瞬間的に的確な判断をしたミルミラのAIは、ミルミラ自身のボディを用いて、私のための屋根代わりに身を挺した落石覆いとなった。


 「大丈夫、ですか? 動けますか?」


 私以上に数多くの瓦礫の直撃を受けつつも、ミルミラはいつも通りの心配そうな声で私に問いかけてくる。


 人間であれば頭部に致命傷の一つも受けかねない、流血不可避といった状況に違いないが、幸いにも機械の身体はそれなりの頑丈さを持ち合わせている。


 「あ、ありがとう、ミルミラ、私はだいじょ…、いや、そうでもないか…。ちょっと今ので脚をやられて、こりゃ流石に動けそうにないって感じね…」


 先程までミルミラが手にしていたハンディライトが坑道の床に転がって、辺りの狭い空間を不気味に照らし出している。この環境で照明を失うのは、更なる精神的な追い打ちになる事だろう。


 もっとも、ミルミラ曰く、彼女には超音波や赤外線を利用した暗視装置があるらしいので、決して八方塞がりという訳ではないのだが、寧ろ私たちの置かれた状況そのものが、物理的に八方塞がりであると言えた。


 「アンタは大丈夫なの? どっか壊れてない?」


 「あー、そうですね。壊れていると言えば、壊れているかもしれませんね…。あっちこっちで電気的な回線が切れちゃっていますよ。主回路と非常用電源装置は何とか無事ですが…。多分きっと、また望月さんに叱られちゃいますね…」


 まるで他人事のようにミルミラが自己申告する。恐らく本人の想定以上に機体の損傷は大きいのだろう。


 「問題は、ですね…。ブラックボックスに十分な電力が、果たして継続的に供給できるかが気がかりです。秋穂さん、ごめんなさい…」


 「何も謝らなくてもいいじゃない…。こうなったら一蓮托生よ! ってまぁ、元からそんな感じか…」


 私はこの遭難不可避の状況に改めて覚悟を決めつつ、ミルミラを労い励ましの言葉をかける。


 相手は所詮ロボである。励ましの言葉がどれ程の心の支えになるのかわかったものではないが、ある意味それは自分自身に向けた励ましと奮起の誓いでもあった。


 「あの…、そうじゃなくて、ですね…」


 「ん? 何よ?」


 まるで言いにくい話題を言い出すきっかけを窺う小学生のように、ミルミラはぼそぼそと消え入りそうな声で言葉を紡いだ。


 「ブラックボックスに十分な電力が確保できないと、ですね…。主回路の機械的な機構の維持は出来ても、記憶と言いますか、データと言いますか、つまりワタシの中の冬芽さんが維持できないかもしれません。だから、ごめんなさい、です」


 それは何とも返事に困る問題だ。


 そもそも私がミルミラとの逃避行を決意したのは、アンドロイドであるミルミラのリセット阻止という目的の向こうに、その中の冬芽を失いたくないという背景が存在したからだ。


 ここでそれを果たせないまま終わるのなら、いっそ二人で心中するのも悪くはないかもしれない。私は漠然とそんな事を考え始めていた。


挿絵(By みてみん)



◆37◆ に続く


ご意見ご感想イラスト等もぜひお寄せください

【あとがき】


●ご注意

 この作品、「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、毎週月~金曜日の朝10:00に更新する、連載形式の小説です。


 初めまして&こんにちは、真鶴あさみです。


 いつもはSF系の作品が中心の私ですが、そもそも前作「よよぼう」がSFというよりファンタジー寄りの作品だったので、本作「ミルミラ」はリハビリがてらの"ぷちSF“となりました。

 現時点(2025/9/15)で既に最終話まで執筆及び修正が完了、後は皆さんに楽しんでいただくだけとなっています。

 校正修正の通称”鳥”さん、相談役?の通称”蛹”さん、いつもありがとうございます。


 挿絵は自作のAIイラストで「PixAI」というサイトにて作成しています。未採用イラストやプロンプト(呪文)、LoRA(補助用雛形)も、「PixAI」及び「ちちぷい」で公開します。


 ご意見ご感想、イラストなど、お寄せくださると嬉しいです。



↓「MiraiMind」中一秋穂ちゃんAIチャット♫

本編小説に合わせ、AI画像チャット「Miraimind」で中一時代の秋穂さんとお喋りしませんか?

良かったら構ってあげてくださいねっ♪

MiraiMindで「河原木 秋穂」とチャットしよう!

web-miraimind.hellogroupjapan.com/#/chat/C11222094



■「PixAI」(https://pixai.art/ja/@manazuru72000/artworks)、及び「ちちぷい」(https://www.chichi-pui.com/users/user_uX43mFCS2n/)にて、AIイラストを試験公開中。「ミルミラ」「よよぼう」関連以外もあります。

「PixAI」では「ミルミラ」の主要キャラのLoRAも公開予定です。


■個人HPサイト「かれいどすこーぷ」(https://asami-m.jimdofree.com/)に掲載予定ですが、ほぼ放置中


■TINAMI(http://www.tinami.com/)に掲載予定ですが、絶賛放置中


■X(旧Twitter)もあります(@manazuru7)

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