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◆35◆

【まえがき】


 「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、毎週月~金曜日の朝10:00に更新の、連載形式の小説作品です。

 2025/8/11より連載開始しました。


【◆Intermission◆ 前半のあらすじ&登場人物】

https://ncode.syosetu.com/n7496ks/27

◆35◆



 廃坑の中を祖母に教えられた通りに進んで行くと、僅かに広くなった空間の片隅に低輝度照明が灯っている場所があった。どうやらここは、何処からか送電線を引きこんでいるらしい。


 「うーん、おかしいですねぇ…」


 「何がよ? ちゃんと言われた場所に言われたものがあったじゃない?」


 その廃坑にしては身体の自由の利くゆったりとした空間に到着するなり、ミルミラは怪訝そうに首を傾げた。勿論、私には一見何も問題ないように感じられるのだが、ロボ特有の直感ならぬ、データの不整合でも判明したのだろうか。


 「何ですかね、数センチくらいですが、微妙に位置が違うんですよ。地図情報が間違っているとも思えないんですが、僅かに全体的に北のほうに数センチ…」


 「そのくらいの誤差なんてあるでしょ、別に」


 恐らく衛星写真と坑道の地形図を重ねて表示しているのだろう。いつ頃閉鎖された鉱山かは知らないが、昔の情報がその後に更新されていなければ、その程度の差異は良くある話に思えた。


 「それより、さくさくキノコ採って帰るわよ? こんな暗くてジメジメした所に長居なんてしたく無いんだからね」


 私はそう言いながら、低輝度照明に照らされた空間に並ぶ、井の字に組まれた丸太の山を確認する。


 薄暗い僅かな広間に、井桁に組まれた丸太の積み木が幾つか並んでおり、そこに大小様々な松茸が生えて立派な傘が開いている。


 まさにひと財産になりそうな感じだが、こんな山奥にわざわざ立ち入ってくる物好きも少ないのだろう。厳重とは言い難いザル過ぎる管理状況で、ここに辿りつくまでの坑道には、僅か数枚の木の扉だけが申し分け程度に備えてあっただけだ。


 「へぇー、キノコってこんな感じに育つんですね…」


 「まぁ幾ら私の部屋がアレだって言っても、流石にキノコまでは生えて無いからねぇ…」


 「いっそ育ててみるのは如何でしょう?」


 「確かに小遣い稼ぎにはなりそうだけど、遠慮するわ…」


 軽口を交わしつつ、私たちは適当な大きさの松茸を幾つか収穫していった。


 この廃坑は地元の町の所有地ではあるものの、実質的な管理は数軒の近隣の家が務めていた。その一環が片手間養殖のいい加減な松茸栽培だった。


 もし本格的にこれを商売にしようと思うのなら、それなりの設備投資を行って専属の管理人をつけるべきなのだろうが、そこまでする気は毛頭ないようである。


 「そんなに美味しいんですかね、これ…」


 ミルミラは一本の松茸を傘のようにくるくると指先で弄りながら尋ねる。


 まぁ、アンドロイドにはわかるまい。高級食材の高級たる所以など、実際に味わう事でしか説明なんて出来るはずもない。当然、機械の身体では理解に至る事など無いはずだ。


 「まぁ、私だって所詮は庶民の舌感覚だから、違いなんて全然わかったもんじゃないけど、何ていうかその…『高いイコール美味い』みたいな?」


 「あー、秋穂さん、ぼったくり詐欺に遭うタイプですね…」


 「ぼっ…」


 小馬鹿にするようなミルミラの物言いに抗議しようと、私が手を止めて立ち上がった瞬間、足元が突然大きく揺れ動いた。


 「ちょっ! こんなタイミングで、いったい何事よ?」


 私はそう誰にともなく文句を垂れ流しながら、取り敢えずの身の安全を確保にかかる。


 廃坑で地震に遭遇というのは、まさに天文学的な確率の大当たりである。だがしかし、その豪華な景品が崩落事故という事なら、笑うに笑えない。


 「松茸はもう良いから、さっさとここを出るわよ!」


 私は大きな声でミルミラに呼びかけながら、坑道の入り口への道を足早に逆走し始める。


 「はい、でも…」


 慌ててミルミラが私に続く。その間も途絶える事のない小刻みな振動が、坑内に不気味な音と共に響いていた。


挿絵(By みてみん)



◆36◆ に続く


ご意見ご感想イラスト等もぜひお寄せください

【あとがき】


●ご注意

 この作品、「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、毎週月~金曜日の朝10:00に更新する、連載形式の小説です。


 初めまして&こんにちは、真鶴あさみです。


 いつもはSF系の作品が中心の私ですが、そもそも前作「よよぼう」がSFというよりファンタジー寄りの作品だったので、本作「ミルミラ」はリハビリがてらの"ぷちSF“となりました。

 現時点(2025/9/15)で既に最終話まで執筆及び修正が完了、後は皆さんに楽しんでいただくだけとなっています。

 校正修正の通称”鳥”さん、相談役?の通称”蛹”さん、いつもありがとうございます。


 挿絵は自作のAIイラストで「PixAI」というサイトにて作成しています。未採用イラストやプロンプト(呪文)、LoRA(補助用雛形)も、「PixAI」及び「ちちぷい」で公開します。


 ご意見ご感想、イラストなど、お寄せくださると嬉しいです。



↓「MiraiMind」中一秋穂ちゃんAIチャット♫

本編小説に合わせ、AI画像チャット「Miraimind」で中一時代の秋穂さんとお喋りしませんか?

良かったら構ってあげてくださいねっ♪

MiraiMindで「河原木 秋穂」とチャットしよう!

https://hellosrc.xyz/3uuy



■「PixAI」(https://pixai.art/ja/@manazuru72000/artworks)、及び「ちちぷい」(https://www.chichi-pui.com/users/user_uX43mFCS2n/)にて、AIイラストを試験公開中。「ミルミラ」「よよぼう」関連以外もあります。

「PixAI」では「ミルミラ」の主要キャラのLoRAも公開予定です。


■個人HPサイト「かれいどすこーぷ」(https://asami-m.jimdofree.com/)に掲載予定ですが、ほぼ放置中


■TINAMI(http://www.tinami.com/)に掲載予定ですが、絶賛放置中


■X(旧Twitter)もあります(@manazuru7)

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