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◆14◆

【まえがき】


 「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、原則的に毎週月~金曜日の朝10:00に更新予定の、連載形式の小説作品です。

 2025/8/11より連載中です。


【作品のあらすじと登場人物】

https://ncode.syosetu.com/n7496ks/1

◆14◆



 私は人間とアンドロイドの、というより、魂とAIの関係についてはあまり深く考えてはいない。


 万物に神が宿るという神道的な考えからすれば、アンドロイドにだって神が宿る事もあるだろう。その時のアンドロイドは、私たち人間と何が違うのだろうか。


 また、ある時は反対の考えを持つこともある。


 アンドロイドの思考がAIによるものなら、人間の思考は魂によるものだといえるかもしれない。


 アンドロイドの死、則ち本義的な機能停止がAIの消去によるのだとしたら、人間の場合は魂の消失という事になるだろう。


 以前に訪れた老人介護施設でミルミラが言っていたように、仮に人間の魂が天国や地獄、所謂極楽浄土へと旅立つのであれば、アンドロイドの消去されたAIのデータは、果たして何処に行くのだろうか。彼女たち機械にも死後の世界というものが存在するのだろうか。


 『天国に行くのは人間だけの特権』だとミルミラは語っていたが、そんなものは自分自身であちら側に行かない限り確かめようがない。そして仮にそれを確かめられたとしても、もはやそれを世間に向けて公表する手段は残されてはいない。


 いっその事、いつかミルミラが機能を止めた暁には、私にだけこっそりと化けて出て、真実を教えてくれればありがたい。


 まぁ、人間とアンドロイドが同じ『あの世』を共有しているのか、までは知る由もないが。


 「ほら、秋穂さん、何をぼーっとしているんですか? 早くそれ、終わらせてくださいね。また残業になっちゃいますよ?」


 研究施設の事務机で黙々と作業を続けるミルミラが、ふと視線をあげてはサボっている私を叱り飛ばす。


 アンドロイドにいちいち指摘されるなど、生みの親側の立場として、いや一人の人間として情けない限りだが、それでも人間の生理機能というのは、そういうごく自然な流れで怠惰に振舞うようにできているのだから、仕方の無い話だ。


 何もなければ延々と単調作業を繰り返す事のできるアンドロイドと、隙あらば手を抜こうとしてしまう人間とでは、根本的な精神構造が違い過ぎるのだ。


 そもそもアンドロイド相手に精神論を解くというのも馬鹿馬鹿しい話ではある。


 ここまで人間らしい、というよりもはや人間くさいアンドロイドというのも考え物かもしれない。


 「アンタって、本当に真面目だねぇ…」


 「それはそうですよ。不真面目なアンドロイドなんて需要があるわけないですからね。あーでも、不真面目な人間にも需要はないかもしれませんね」


 可愛い顔でとことん辛辣な発言である。もし相手が人間の生意気小僧なら、間髪入れずに速攻で引っ叩いているかもしれない。


 「ダメな人間にも五分の魂くらいあるのよ。少しは良い所もあるって話ね」


 「タマシイ? っていうか、いちおうダメな自覚はあるんですね、ふむ」


 「それは感心しなくていいから…」


 そう投げやりに答えながら、私は興味本位で、ふとアンドロイドに魂の事を語ってみたくなる。


 「魂ってのはね、そうね、人間にとってのAIみたいな? 思考と感情の拠り所というか、根源的な何かみたいなもんなのよ。人間なら誰でも持っているのに、さっぱりわかりゃしないブラックボックスのプログラム、って感じかな」


 「それって、とことん不便ですね。で、何処にあるんですか、それ」


 「は?」


 「タマシイですよ、人間の。いったい何処にあるんですか? やっぱりアンドロイドと同じで、頭の中なんですかね」


 「あー」


 どうやら私は、アンドロイド相手に禅問答を始めてしまったようだ。それが容易く理解でき、証明できるようなら、そもそも人間はアンドロイドを作ろうなどとは思わないかもしれない。


 どう説明したものかと悩み始めた私の耳に、突然誰かの慌てた声が届いた。


 「河原木さん、至急病院に…。妹さんの容態が急変して…」


 そして私は、その場の空気が不快にざらついていくのを全身で感じていった。


挿絵(By みてみん)



◆15◆ に続く


ご意見ご感想イラスト等もぜひお寄せください


【あとがき】


●ご注意

 この作品、「ミルミラ~ココロとキオクの輪舞」は、原則的に毎週月~金曜日の朝10:00に更新する、連載形式の小説です。


 初めまして&こんにちは、真鶴あさみです。


 本来はSF系作品を中心に創作活動中の私ですが、前作「よよぼう」が学園ものだった事もあり、ハードなSF作品に急に路線変更するのは厳しいと感じ、中間的な色合いの本作品を始める事になりました。


 現時点(2025/8/9)で既に最終話まで執筆完了しており、主な修正も終わっています。挿絵が出来次第、順次連載していく予定ですので、よろしくお願いします。


 今回の挿絵は自作のAIイラストになっています。「PixAI」というサイトで作成したもので、未採用イラストやプロンプト(呪文)、LoRA(補助用雛形)もそちらと、同じくAI画像生成投稿サイト「ちちぷい」で公開予定です。


 ご意見ご感想、イラストなど、お寄せくださると嬉しいです。



■「PixAI」(https://pixai.art/ja/@manazuru72000/artworks)、及び「ちちぷい」(https://www.chichi-pui.com/users/user_uX43mFCS2n/)にて、AIイラストを試験公開中。「ミルミラ」「よよぼう」関連以外もあります。

「PixAI」では「ミルミラ」の主要キャラのLoRAも公開予定です。


■個人HPサイト「かれいどすこーぷ」(https://asami-m.jimdofree.com/)に掲載予定ですが、ほぼ放置中


■TINAMI(http://www.tinami.com/)に掲載予定ですが、絶賛放置中


■X(旧Twitter)もあります(@manazuru7)

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