21 まさかの再会
タケルたちが話していると、医務室のドアがノックされる。
「賑やかなところ悪いねぇ。ちょっと邪魔するよ」
「あっ、シャークさん!」
ドアを開けて入ってきたのは、シャークだった。
シャークは資料をつばさに渡し、タケルとクレナイを見つめる。
「スイゲツの下っ端の奴らが、あんたたちを探しているよ」
「まさか、スイゲツさんも一緒に?」
「いや、あの男は自分で動くことはない」
壁際にいたクレナイは、腕を組み小さく呟く。
「あぁ、それと……」
シャークは、つばさが持っている資料を指さし、少し顔をしかめた。
「あんたたちを探しているそいつら、ある不良グループの所に行ったみたいでね」
「その人たち、大丈夫だったんですか?」
タケルの問いに、シャークは首を横に振った。
「不良グループは、その日のうちに全滅したよ」
「そんなっ……」
「しかも、半分の人数は撲殺で、もう半分は鋭い物で斬られた感じだったねぇ」
その時の状況を説明され、タケルはつばを飲みこんだ。
すると、資料を読んでいたつばさが顔を上げる。
「シャーク、これには一人行方不明とあるが?」
「あぁ、倒れていた奴が、最後に教えてくれたんだよ」
『一番下の奴が、連れ去られた……助けてくれ……』
「その男は、それだけ言って息をひきとったよ」
「その一人は、なにかをやらせるために生かしているんだろうな」
「さぁね。大方、囮にでも使うんじゃないかい?」
シャークはそれだけ言って、ドアの方へと歩きだす。
「じゃぁ、情報は伝えたから、あたしはこれで」
「いや、話はまだ終わっていないよ」
つばさの言葉に、シャークは不機嫌な顔で振り向く。
「シャーク、彼らとともに行ってくれないかい?」
「嫌だよ。なんであたしが……」
「なら、今すぐ通報してもいいんだよ?」
「……わかったよ」
「話が早くて助かるよ」
笑顔のつばさに、シャークはため息をついた。
そしてつばさは、タケルとクレナイに視線を向ける。
「話はまとまった。クレナイたちには、そいつらの撃退をお願いしようか」
「了解した」
「ひなドール、君にも手伝ってもらうよ」
「えっ、ひなちゃんも連れていくんですか?」
「あぁ、今回は彼女の手助けが必要なんだ」
「そうだとしても、ダメですよ!」
「なぜだい?」
「相手がどんなのかもわからないのに、ひなちゃんを危険に巻きこみたくないです」
「お兄ちゃん……」
必死に訴えるタケルを、ひなドールは不安な顔で見つめた。
だが、つばさは口角を上げ、シャークの肩に手を置く。
「大丈夫、そのために彼女がいるのだから」
「あたしは保護者じゃないんだがねぇ」
「それに、今回の敵のために、彼らと特訓してもらったんだから」
つばさは、シャークの肩から手を離し、今度はライラたちを指さした。
「彼らは敵と戦い方が似ているから、特訓にはうってつけだったんだよ」
「なるほどねぇ」
「シャークさん?」
頷いているシャークを見て、タケルは首を傾げた。
しかし、シャークは悔しいという顔で、つばさに視線を向けた。
「あんたの助言で、この坊やがあたしの刀を避けれたんだねぇ」
「あの特訓は、痛かったし厳しかった……」
「話が済んだのなら、もう行くぞ」
クレナイはドアに手をかけ、すぐに出ていった。
それに慌てたタケルは、急いでベッドからおり、クレナイの後を追う。
「あっ、待ってよクレナイ!」
「あたしたちも行くよ、ひなドール」
「うん!」
タケルたちが出ていった後、ライラはつばさに声をかけた。
「つばささん、本当にあいつらで大丈夫なのか?」
「私たちが行った方がよかったんじゃない……?」
「いや、君らだと敵と戦力が同じだから、こちらとしても失うわけにはいかないのさ」
「それはうれしいけどよぉ、あいつら心配だぜ」
「心配?」
「あぁ、特に、あのタケルって奴がなぁ」
「大丈夫だよ、ライラ兄さん……」
ライラの袖を、フウカは引っ張った。
あいかわらず、フウカの表情は変わらない。
「あの人は、きっと勝つよ……」
口調もいつも通りだったが、そこには確かな信頼があった。
★★★
「シャークさん、敵がいたのはここら辺なんですね」
「あぁ、まだ近くにいるかもしれないねぇ」
タケルたちは、不良グループが襲われた廃ビルに来ていた。
辺りを警戒していたタケルは、ずっと黙っているクレナイに視線を向ける。
そのクレナイは、目を閉じ意識を集中させていた。
「あれ、クレナイなにしているの?」
「殺気を探っている」
「えっ、そんなことできるの?!」
「黙っていろ、集中できない」
クレナイに怒られ、タケルは慌てて口を押える。
やがて、目を開けたクレナイは、廃ビルを指さした。
「見つけた、あっちだ」
「えっ、ビルの中ってこと?」
「違う、その向こうだ」
そして、タケルたちが移動してきた場所には、雑草が生い茂った家があった。
しかも、少しの揺れがくれば、崩れる気配を漂わせていた。
「なんかここ、お化け屋敷みたいだね……」
「なんだ、怖いのか」
「こっ、怖くないもん!」
「タケル……タケルじゃないか!」
言い合いをしていたタケルは、声のする方を向く。
すると、オールバックで両耳にピアスをした青年が、家から出てきた。
「やっぱりそうだ、聞いたことのある声だと思ったんだよなぁ」
「えっ、相馬君?」
「久しぶりだな、小学校以来かな」
「そっ、そうだね……」
「坊や、そいつは誰だい?」
「あっ、彼は相馬ひでと君。小学校の同級生です」
「どもっす!」
シャークに問われ、タケルは相馬を紹介する。
だが、目線を合わせないタケルに、相馬は笑いながら近づいた。
「なんだよー、まだあの時のこと気にしているのか?」
「あの時のこと?」




