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さっそく声をかけた。
バクバクと心臓がうるさい。
彼のフェロモンは、何だろう、すごく落ち着くんだ。
あれだ。修学旅行で訪れたお寺の裏山の竹林。
高く伸びる竹に囲まれて仰ぐ空は、澄んでいて綺麗だった。
彼以外何も要らない。
番になるのはまだ早いかもな。
とりあえず恋人になろう。
「話って、何?」
彼の目は冷淡な色を浮かべていて、声は冷たかった。
「えっ?運命の番?何も感じないんだけど」
「あのさ、お前のフェロモン、めっちゃくさいよ。旧式トイレのにおい、みたいな?」
は?