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エピローグ

「拓実さん、どうしたの?」


恋人の声にようやくその男から目を離した拓実は、不思議な感情に飲まれていた。


通りかかった男をひと目見た瞬間、愛おしさや懐かしさと共に苦しみが込み上げてきて、気付いたら男を追っていた目から涙がこぼれていた。


追いかけろ、と誰かの声がした。

やめろ、開放してやれ、と違う声がした。


全く会ったこともない男に対して、何故このような激しい感情を抱くのか身に覚えがない。

混乱した拓実はどうしたらいいのかわからず、もう一度男の方を見つめた。


男と話がしたい。

そう思ったとき、不安げな顔で恋人が覗いてきた。


付き合って長い彼女は、嬉しい時も辛い時も寄り添ってくれた。

仕事も上手く行っていて貯金も溜まったため、来年結婚しようと話し合っていた。


恋人の顔を見ていたら、見知らぬ男のことが気にならなくなった。


「ごめん、急に眼が痛くて」


そう誤魔化して恋人の手を握ると、拓実は男に背を向けた。


*******************


急いで訪問先へ向かって歩いていた男は、背中に視線を感じて振り向いた。

視線の先では、恋人同士と見てとる男女の後ろ姿があった。

しばらく見つめていたが、やがて何事もなく歩みを再開した。



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