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11ー佐々木れい(上)
あの日までは、平凡で平和な日常を過ごしていた。
クラスのイケてる男子や女子を羨むことは、一度もなかった。
気の合う友人もいて平坦で穏やかに流れる時間を愛していたし、何故か安心感を与えていた。
高2の夏休み明け、酷い頭痛で倒れた。
男が女の首を切り落とす夢をみた。
恐怖は感じなかった。
舞台の一幕を観覧するかのように、ただ眺めていた。
男が立っているとこだけ、スポットライトを浴びているかのように明るかった。
音もなく落ちた首がころころと転がり、それを追うようにライトが広がる。
4つの体が倒れていて首がなかったから、先に切られた人たちだとわかった。
最後に首を切られた女の体は、その場に立ったままだった。
先に切られた首のひとつと目があった。
表情がないのに、悲しみと憎しみは伝わってきた。
目が覚めると、病院のベッドだった。