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シロツメクサの跡

作者: ちゃとらねこ

よくわからん作品かと思います。

よくわからないなりに、色々考えながら読んでみてください(_ _)

 ここはどこだろう。


 まわりは真っ白で、上下左右もよくわからない。


 なんだか夢でも見ているみたいに、ふわふわしてる。


 ただ、ちょっとだけ、ほんの少し、肌寒いかもしれない。



❀ ☘ ☘ ☘



 しばらく経って、真っ白な世界に色が見えた。


 ようやく現れた変化に目を凝らして見てみれば、そこには人が数人いるようだ。



 …そうだ、あの人達は、旅の仲間だ。

 僕が"勇者"や"英雄"だと呼ばれるようになって、僕と一緒に戦ってくれた大切な戦友だ。


 なんだか顔がぼやけて見えるけど、ひょっとして、実は僕が泣いててよく見えないのかな?



 でも、おかしいな。



 みんなの名前が、思い出せないや。



❀ ☘ ☘



 彼らの名前を思い出すより先に、その姿が滲んできた。


 紙に描かれた絵に水をこぼしたように、輪郭が曖昧になって、ぼやけて、混じり合って。


 やがて、その姿が再び鮮明になった時、そこにいたのは先程まで見えていた彼らではなかった。



 そうだ、あの傷跡は。あの涙は。あの血の色は。


 僕が守れなかった人達が、そこにいた。

 僕が殺した人達が、そこにいた。


 手の届きそうな距離で切り裂かれた、あの人が。

 呪いにかかり僕の腕の中で血を吐いたあの人が。


 僕が斬り殺したあの敵が。

 僕が消し飛ばしたあいつが。


 僕の目の前で、命を散らした人達が、そこにいた。


 みんな、僕の方を見ている。


 さっきの彼らと同じように、やっぱり顔も名前も思い出せないけど、なぜかみんなが僕を見ている。


 彼らは、どんな気持ちで僕を見ているんだろう。


 やっぱり、憎いのかな。殺したいって、思ってるのかな。


 …僕がいなかったら、もしかしたら、彼らは今でも生きていたのかな。




 なんだか、寒さが増してきた気がする。



❀ ☘



 ふと寒さが和らいだ気がして目線を上げると、そこはもう、さっきまでの無機質な空間ではなくなっていた。


 1人でずっと考え込んでいるうちに、気づいたら草原に立っていた。


 もう、さっきの人達の姿はない。


 上には青空が広がり、足元には白い小さな花をまばらに咲かせた青々とした草原がずっと続いている。


 少し遠くで、人が笑い合っているように見える。


 あれは、多分、僕の家族だ。


 父と、母と、妹の姿だ。


 近くまで行くと、3人はこちらに手招きしてくる。



 僕も一緒がいい。

 みんな一緒にいるなら僕も混ぜてよ。



 近づいてみると、やっぱりこの人達も顔がわからないけど、なんだか笑っている気がする。


 そう言えば、いつから家族に会ってないんだっけな。


 もう、声も思い出せないや。


 妹が、シロツメクサの冠を渡してきた。


 誰かから、物を貰うのはいつぶりだっけ?






 …あれ?そう言えば。







 

 そう言えば、僕の名前はなんだったっけ?


















 いつの間にか、青空も草原も、目の前の3人すら消えていた。




 まったク、変な夢だよ。全部わすレちゃうなンてさ。


 でモ…


 なンダかすごク、嬉しイ気がスルんダ。




 不思議ナ事モ、アルモンダネ…
























 誰かがいたはずのその場所には。


 その姿も。


 その声も。


 その温すらもなく。










 ただ1つ、白い花の冠だけが、音を立てて落下した。











お読みいただきありがとうございました(_ _)


…もし要望多ければ、事情的なのの説明回を兼ねたお話でも書くかもしれません。


よければコメント等よろしくお願いします

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