ヒガンバナ
「おばあ様、おばあ様は番制度に反対なのですか?」
「おやおや、リティーシア。どうしたんだい急に」
真冬の寒い日に暖炉で暖まりながらセーターを編んでると、どうにも眠気に負けそうになるなか、遊びに来ていた孫のリティーシアが突然なことを聞きにくるじゃないか
「だって、ルディアとロメオがおばあ様は政府の政策した番制度の廃止活動に参加してるって言うんです。
国の決めた男女を番にさせて子供が生まれてくことで、少子化を防いでるのにそれを辞めさせるなんて反社会人だと言われたんです」
「おやおや」
「おやおや、じゃありません!編み物してる場合でもないんです。おばあ様も番制度のおかげでおじい様の番なれたのになぜ反対なさるのですか?……おばあ様は結婚したこと後悔なされてるのですか」
少し涙目になってきた孫娘のリティーシアを優しく抱き寄せる。
そしてその小さな顔を両手で包み込み瞳をしっかり見つめた。わたしがあの人との結婚を後悔なんてしていない。
自分の好きな人があの人であの人の好きな相手がわたしでその上国の認めた番だと言い渡された日。
大袈裟に聴こえるかもしれないけれど世界が明るく見えた、嬉しくて嬉しくてどうしようもない幸せで胸がいっぱいになった日をいまでも覚えてる
周りに祝福された、子供が生まれて孫まで抱けた。
その隣にいる相手があの人でいたことが何よりも幸せに感じてる
「……では、なぜおばあ様は番制度に反対なさるのです?」
「番制度のすべてを否定してるわけではないの。ただ、ほんの少し、少しでいいから制度の内容を強制力を見直してほしいと思ってるのよ。この制度で不幸になるひとをできるだけ減らしたい………ただの老婆の贖罪さ」
「謝罪………?おばあ様はなんの謝罪をしようといってるのですか?」
「……リティーシア、あなたはいくつになったのかしら」
「15歳です」そう答えたリティーシアにもうそんな年なんだと思った。
15歳、義務教育が終わり16歳になる年に政府から番相手が発表される。わたしたちのように
……重い話だけれどその年なら話してもいいかもしれない
そして自分で考えてみてほしい
なにをどうすればいいのか
「リティーシア、聞いてちょうだい。
16歳になるまでのわたしたちの話、そのあとの話を。
わたしの親友ルイーシアの話を」