なんでもない日
足長すぎ!!なんなの?
「ああ、ここ、ここ。おすすめなんだ」
「はあ、そうですか」
社内の忘年会は基本的に子会社に手配して、本来なら終わり。お花から出し物まで全部一任。
なのに!
「せっかくだからチームでの忘年会とかしない?なかなかみんなのさ、話とか聞けなかったから」
あなたが聞かなかっただけでしょ!
1on1の時間だって会議で何回潰れたか。
「いやー、買い出し上手く行ってよかった。いやさ、さすがにホール借りてタコパとか初めてだな」
「労働組合の貸し出し備品にタコパセットがありますし、今回の人数と趣旨から考えれば妥当じゃないですか?」
「あー、すまん。タコパできて嬉しいって言いたかった。誤解させた」
「別に構いません。ホール借りたのはあなたですし」
「まあな。誰かの家とかになると負担でかいじゃん。8人で場所借りるなら会社でいいでしょ」
「お待たせしました」
普通、女の子連れで買い出しならパスタとかレストランとかなんかあるでしょうに。
「いっただきます!」
「いただきます」
街中華のカウンターには、五目焼きそばとチャーハン、餃子。
「あ、餃子、食べていいよ。これ、うまい。おすすめ」
「ありがとうございます」
これから会社戻って、午後の仕事して就業後はタコパ。だからしっかり食べないといけない。
「焼きそばなら、アーケードの途中のほったて小屋みたいなのあるじゃん?」
「田中ですね。たまごなしの持ち帰りならまだ買えるんじゃないですか?」
「あ、やっぱ知ってた?」
「ここは通るだけで入ったことなかったです」
サービススープを飲みながら、五目焼きそばを食べる。焼き目がしっかりと入って、あんかけは野菜多め。えびが5つしか入ってないのはマイナス。
「ん、ほら、餃子の皿」
「ああ、どうも」
餃子は油多め。ちょっと重たいけどなかなかね。野菜多めなのがいいわ。
「クリスマスか」
外からクリスマスソングが聴こえてくる。
「いいよな、クリスマス。街中が明るくてさ。みんな笑顔じゃん」
どこか満足そうな野太い笑顔でこっちを振り向かれても、困る。
「その前にプロジェクトの役員報告」
「うっわ!急に食欲がなくなった!」
大袈裟に嫌な顔をするこの人を見ていると、お腹が温まったからかしら。笑ってしまったわ。




