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間話 曖昧な温かさ

う、わー

なんて惨たらしい・・・。

言葉になりません。


艶やかな毛並みの灰色うさぎさんは、開始10分でぼろぼろになりました。


「トリックオアトリート!!」

小学校の体育館がメイン会場の地域の催しは、3校合同なんだそうなんです。送られてきていたしおりには他にも文化系の作品展示や劇など予定が記載されていました。


入り口は小さなオバケさんや大きな魔法使いさんたちでいっぱい。これは早くもお菓子が足りなくなりそうです。


「これはどうも」

「ああ、先日はありがとうございました。お陰様でどちらのクラスも変わってきました。深刻ないじめなどの問題になる前に風通しが良くなってくれました。うさ先生のおかげです。ありがとうございます」

「いえ、特に何かしたつもりはないんで」


「いえいえ」とちょっと謙遜する灰色うさぎ。なんだか、不可思議な出来事ばかりで魔法にかけられたみたいです。いつもの「ふふん」って俺様シロさんは今日はハロウィンパーティでおやすみなんでしょうか?


「子ども達にもぜひ会っていってください。みんな「うさ先生」に会えるからと今日は張り切っているんで」

「それはありがとうございます。楽しませてもらいますね」

「じゃあ、早速ですが『トリックオアトリート!』」

「はい。じゃあ先生、どうぞ。あれ1組の先生は?」

「あ、先生は今、舞台の準備中です。うさ先生が来たこと、伝えて」『あー!』「おかなくても良さそうですね」


そこからは、早回しのビデオのようでした。

あっという間に、大量の小学生に取り囲まれて波に飲まれるかのように、シロさんは見えなくなりました。


「ぜーはーぜーはー。て、手強い」

「シロさん、瞬間移動で逃げればよかったのでは?」

「それだと掴んでる奴等ごと移動しちまうから、体勢次第で怪我しちまうかもしれねーんだ」


『うさせんせー!!』

「なんか、にじり寄られてますけど!?」

お巡りさん、助けて!!シロさん狙う小学生を止めてください!?


「こら!うさ先生を困らせない!!もう会えなくなるぞ!」


ピタ


音が聞こえたと思うぐらいに止まりました。

「すいません。子ども達にはしっかりと怒っておきますので」

「あー、いえ。大丈夫です。お前ら、元気そうで何よりだ。ほら、うさぎの魔法使いが来たぞ?なんて言うんだ?」


『トリックオアトリート!!』

「よし。一列に並べ。お菓子やるからイタズラ禁止な」

『はーい』

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