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間話:Tag der Einheit

さっきから「耳の内側が実はピンク」とか「このまぁるい頭のフォルムが至高」とか、かなりうるさい。


仕方ないから、耳ではたいて邪魔だと気づかせようとするが「はう!パシパシ動く!」とか全く気づいた様子はない。どうしてやろうか。


とりあえず、背後から抱え込まれているから急に元に戻ったらこいつの頭に当たるかもしれない。今日は野外用の長方形なラタンチェアにクッション。そんなに広くないし、まあ仕方ない。今は好きにさせてやる。


「ほんと、月が降ってきそうですね」改めて見上げれば、視界が月で塞がれる。


「ん?ああ、本当にな」

月が降るのか、月に吸い込まれるのか。世界が自分と月だけで成り立っている。


「あ、あのうさぎさん、シロさんのシルエットに似てません?」

「んー。俺の方がしゅっとしてないか?」もっさりしたシルエットと一緒はちょっとな。


「確かに。シロさん着痩せするタイプでした」

「もともと標準体型だ」

「訂正します。筋肉質でした。もう少し食べてモフ度を上げても」「断る」「ぶー」


大体、今日はこいつが初めて作った着物を羽織っている。

「どうしても!どうしてもきてほしい!」


血走った目が怖かったが、表地は群青色の着物に僅かに星があしらわれ、裏地は薄紫に赤い鼻緒の下駄、帯は共色系の青と、初めて作った割にだいぶ凝った着物になっている。


まあ、素人づくりなのは糸の始末からして一発でわかるが、手作りの服は嬉しさもある。着れなくなるのは少し寂しいから、体型には気を使うつもりだ。


扇子は月とうさぎ。

根付けも陶器のうさぎと、うさぎ尽くし。


・・・俺はそんなにうさぎなのか?


取り留めなく考えていると「にゅー」後ろに一緒に倒される。


「アんだよ?」

「月、綺麗です。シロさんが吸い込まれてしまいそう。シロさん、お月様に帰る時は連れて行ってくださいね」

「・・・ならしっかり掴まってろ。振り落とされるなよ」

「はい」


次は、背中に感じる温かさを振り落とすことがないように、2人の速度で月まで走らねーとな。


「ん?ほら、口にあんこ付いてるぞ?」

「え?嘘!?」

「取ってやるからじっとしてろ、って暴れんな!あ、こぼすな!このクッション、洗濯機で洗えないのに!」

「むー!」


まあ、こうして振り返って、一緒に笑ってられる時間を大切にしよう。

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