日が落ちない夜
「ぶはは!あなたが若い子にくびったけとか、あーおかしい。ぷっ」
「ごめん。あのね、この人、悪気はないんだ」
「うっせ!!笑うな!!」
シロさんのご友人さん達は現在、お酒飲んで爆笑中です。
やってきたのは2人組。
なんだかとってもゴージャスそうな人と優しそうだけど人を寄せ付けなそうな人が仲良くやってきました。
どちらもシロさんとは旧知のご様子。
私はどきどきしながらお出迎えして、リビングにご案内、とはなりませんでした。
だって、気がつくと普通にこの方々、ソファで寛いでいました。
「勝手知ったる〜てね」
「いきなり知らない人がいたら驚くよな。すまん」
やらかした人じゃなくて、もうお一人が謝ってくれます。
苦労性な方でしょうか。
「振り返ったらソファにいらっしゃるので、びっくりはしましたが、ご友人がくるとは聞いていたので大丈夫です」
「ありがとう」「あのさ、さっき摘んだやつ、美味しかったよ。とうもろこしと何?」
「とうもろこしとタラのつみれです。つみれのかさ増しにとうもろこしを使ってます。缶のとうもろこし、安いんで。あとはお味噌汁や煮物にも意外と合います。他にも新鮮なイワシなら生臭さがないのでより味が濃くておつまみに向きます」
「ぷっ!?かさ増しって、あの人、そんなに甲斐性ないの?嫌だなー。なに?僕のとこくる?魔法使いなら大歓迎だよ?」「ちょっ、何言ってんですか!?」
でも、これ、塩加減がよくてお酒が止まらなくなりそう。俺は揚げより焼きが好きだなー。とテーブルに出しておいた分、半分くらい食べられてしまいました。
なんか、きらきらゴージャスさんは掴みどころがありません。とりあえず無駄に動きがシャランとしていますが、めっちゃムキムキさんです。腕、ふと!
って、気がつくと、めっちゃ般若なシロさん。
こわ!?
「あー、悪いが帰ってくれ」
「酷くね?わざわざ見にきたのに」
「おめーが楽しみてーだけだろ!!」
「あの、気にしないで。戯れてるだけだから。お皿とか出すの手伝うよ」
「すいません。ありがとうございます」
とりあえず、2人は放っておいて準備を急ぎます。
「いただきます」
作った料理は和洋問わずになりました。
時間稼ぎの前菜は、とうもろこしのつまみ焼きと揚げ。ホタテと牡蠣のグラタンとアボカドたっぷりのナチョス(トルティーヤチップ別盛りバージョン)。バルサミコ酢と塩、オリーブオイルのサラダ。食べやすいスティック野菜はアンチョビソースです。
ある程度食べ進んでから出す予定のスープは干しほたてと昆布だしのきのこスープです。別名、シロさんの晩酌おつまみの残りスープといいます。
他のメニューも有り合わせや具材追加でちょっと豪華に見せてますが、殆どはブンブンチョッパーさんが大活躍するだけで缶詰や乾麺などを活躍させます。
シロさんが頑張ってお仕事したお金です。無駄使いはしません。・・・夜中のプリンなどちょっとしたご褒美は自分のお財布から出します。
「食べやすいし、軽い感じなのがいいね」
「ありがとうございます」
「ワイン持ってきたけど、これならビールかな」
「ほら」
「ん、ありがとう」
そんなふうに、この夜は始まりました。




