ジョッキに入った冷コー
シロさんのお家はいつもピカピカです。
床はルンバに、お庭は3ヶ月に一度、庭師をお招きしています。
「初めからルンバ前提の家具配置にしてあるし、普段から気をつけていれば汚れない」
「ぶー」
食器はビルトインタイプの食洗機。
ぱっと見のアンティーク調な落ち着いた雰囲気と異なり、お家の中はかなりハイテクです。
人型のシロさんは今からお仕事とのこと。
その間にご飯を作ります。
「運ぶより、書類仕事の方が多いんだよ」
「運ぶのは一瞬ですしね」
「事務所通してるから、決済するだけなんだが、どこに見落としがあるか」
信頼ってのと、確認は違うんだ、とぼやいています。
今日の夜はシロさんのお友達がいらっしゃるとのこと。私は時差の関係でまだ少し起きている予定なので、食事準備です。シロさんのパートナーとして、頑張らないと!
「いてもいいんですか?」
「ああ。お前を紹介したい。2人だけの世界もいいけど、お前を隠すつもりもねーし。2人が幸せになるなら、やっぱ、友達とかさ、周りとの繋がりって大切だと思うんだ」
「そうなんですね」
「そんなもん、だと思ってくれ。いっぱい知り合いとか友達作って、みんなで遊んだりしよう」
もちろん、2人だけの時は、お前をたっぷりと甘やかしてやるよ。
ニヒルな笑いのシロさんは、お忙しそうなので、とりあえず無視して食事の支度に戻ります。
「・・・つめてー」
どこか遠くから、少しだけ、悲しそうな声が聞こえた気がします。あとであったかいルイボスティーでも持って行きましょうか。




