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#9 召喚魔法を使ってみた

『ペタの村』へ向かってテクテク歩いた……

………どこまでもどこまでもつづく草原……

はぁ……何か歩き続けるのも飽きてきたぞぉ〜

お日様も真上に近くなって来た……

そろそろ休憩しようかな?


「ねぇシェリー、ペタの村まであとどれ位?」

「…はい、今のペースですと休憩や夜間を含めて4日程かと」

「………まだ4日も掛かるのか……」

そりゃそうか、徒歩だもんね……


昨日も1日ひたすらに歩き続けた

初日こそ魔物に出会ったが、その後は平和な草原風景が広がっている


シェリーの考察によると、【スキル】音楽の発動の影響ではないかと言われた

集まってきた魔物も居たが、近辺にいた魔物にも影響を与えたのではないかと


まぁ、出来れば戦闘は避けたから近寄って来ないでくれるのは私としては有難い


『音楽』がどんな影響を与えるのかは不明だか、

休憩の度に心地よいメロディーを奏でた


その成果なのか、襲って来る魔物は今の所居ない


シェリー曰く、この辺りには強い魔物の気配がないそうなので、元々出くわす可能性も低いのかもしれないが………


だがしかし……

ただただ歩き続けるって言うのも苦痛に感じてきたのも事実だ


アコギを爪弾いても寄って来る魔物も居なかった

可愛い魔物だったらウエルカムなんだけどなぁ〜

またキャットフード(カリカリ)あげるのに


あぁ〜 チャリ……ママチャリとか買ったらダメかな……

……ダメだよね……

この世界に自転車屋さんなんてないよね?……


「ねぇ、シェリー……この世界に自転車とかある?」

「ございません」

「……あっ、そう……やっぱり……」ってかそんな即答してくれなくても……


ちなみにシェリーさんは携帯電話の情報を共有して、私の世界に関しても詳しくなった

地図にもナビ機能がついて目的地へのルートも表示されている

って言っても道路も建物もない草原だからただただまっすぐなんだけどね


それから……私を気遣ってくれてか?

私の心の声を勝手に聞く事は控える様にしたらしい

ただあまりに自分の世界に籠って返事がない時は、何を考えてるの確認させて欲しい……とは言われたけどね……


別にプライバシーの侵害だ〜とかは思わないけど、私の阿呆さ加減が知られるのはちょっと怖い……かな??

ドン引きされるのはやっぱり切ないし……

まぁ、それも今更な感じはするけどね〜


「ふぅ……やっぱり歩くしかないのか〜

まぁ、急ぐ訳でもないし……

のんびり行きますかっ!」

少しでも元気が出る様に声に出して言ってみた


でもまだまだ遠いな〜はぁ……

ため息をつくと倖せが逃げる……

なんてこと聞いた事あったなぁ〜


よしっ、とりあえずお昼にしよう


「シェリー、ちょっと休憩ね

お昼ご飯食べる」


何食べようかなぁ〜


お昼って事で、某ファミリーレストランのランチメニューを眺めて……ポチッと注文した

便利な世の中だよね……

今は自宅に居ながらレストランの味が楽しめるんだから……

まぁ、私はコンビニやお弁当屋さん、スーパーのお惣菜がメインだったけど……


た、たまには自分で作ったりもしてたわよっ!

全く出来ない訳じゃないんだからねっ!

…………虚しい独り言だ……


お腹も一杯になってちょっと休憩

そう、お昼休みは必要だよね

最初は思いつかなったけど

テントを購入した時にレジャーシートも一緒に購入したので、それからはそれに座って食事をしている

それなりの大きさがあるのでゴロンと横になる


「良い天気だねぇ〜」

眼前に広がる青い空にそんな言葉が自然と出る

あぁ〜何かこのまま寝ちゃいそう……

そんな事を思いながら風に流されてゆっくりと移動する雲を眺めた……


『雲っ!』

そうだ、良い事思い付いたっ!


雲、雲、雲……

イメージを広げる……


ふわふわでモコモコで……

ありったけのイメージを注ぎ込む……


あぁ〜何かイイ感じで魔力が凝縮されて来た……

行けるっ!これなら大丈夫……


「いでよっ!空飛ぶ雲っ!」

唱えると『魔法陣』の様な物の真ん中にイメージした通り……

50cmX100cm厚みは30cm位の雲の塊が現れた

程よくモコモコで『The雲』って感じ

地上1メートル付近に浮いている


「やったぁ〜出来た〜

空飛ぶ雲を召喚したよ〜」


「……サクラ様……それは……」

シェリーが呆気に取られた様な声で言う

おっ、シェリーも段々人間っぽくなって来た?


「ふふ〜?空飛ぶ雲よ」

雲に近づき

「空飛ぶ雲さん、私サクラミサキ、よろしくね」


「良かったら私たちの仲間になって一緒に旅をしてくれないかしら?」


ほんのりピンク色の部分が出来て……

ほっぺが染まった感じ?

雲が私に擦り寄って来た

「かっ、可愛い〜〜」思わず雲を抱きしめる


「空飛ぶ雲さんじゃダメね、

あなたの名前を決めなきゃ」

……う〜ん、そうね……


(てん)ちゃん』ってどう?

空飛ぶ雲……天ちゃんは私の周りをくるくると回った

「気に入ってくれたみたいだね」


「シェリー、新しい仲間の天ちゃんよ」

「天ちゃん、こっちはシェリー」

ケータイの画面を天ちゃんに見せると画面にスリスリした……

可愛いなぁ〜


「て、天ちゃん様……よ、よろしくお願いいたします」

シェリーが呟いた……

何か戸惑ってる感じのシェリーも新鮮ね……


……じゃなくて〜

「シェリー、「様」は要らないから

私たちは仲間なんだから、お友達よお友達

友達に様なんて付けないでしょ?」


「……承知いたしました

天ちゃん……これからよろしくお願い……

よろしく……です」

天ちゃんも嬉しそうにくるくる回っていた


「……サクラ様……

召喚獣と言うものは召喚された一時のみ出現が許される魔物だと思っていたのですが……」


「んっ?」

…………深く考えてなかった……

「そ、それはさぁ〜、ゲームとか物語の中の設定? 私、この世界の召喚獣の事分からないし……

だから……ずっと一緒に居て仲間になってくれる召喚獣もいて良いんじゃない?」


まぁ……現に天ちゃんは消えずにここにいる訳だし……

それに天ちゃんって召喚獣なの?

私のイメージだと、雲の精霊……とかそんな感じなんだけどなぁ〜


「ねぇ、シェリー? 確かに『召喚魔法』で天ちゃんを召喚したけど、『召喚獣』じゃなくて『精霊』……『雲の精霊』的な? そんな感じをイメージしたんだよね〜」


「……承知いたしました」

……言葉少な目だけど納得してくれたのかな?


「ところで、天ちゃんご飯食べる?」

この子は何を食べるんだろう?

とりあえず、昨日のキャットフード?

器にキャットフード(カリカリ)を入れて出してみる


天ちゃんがシートまで降りてきてキャットフード(カリカリ)をフンフンって感じで確認して……

キャットフード(カリカリ)が天ちゃんの中に入って行った……

もちろん口がある訳じゃないけど……

モコモコなわんちゃんが器に顔を突っ込んでご飯食べてるみたい……

ふふっ、何をしても可愛いっ!


あっあ〜〜

「ダメダメ、()()は食べちゃダメよ」

慌てて止めようとしたけど、あっという間に器は天ちゃんの中へ……

急に大きな声を出したせいか?

天ちゃんがしょんぼりする……


「ごめんね、大きな声出して

あれはご飯を入れる入れ物だから食べちゃダメなのよ?

天ちゃん……お腹痛くない?

さっき食べた器……出したり出来ない……よね?」

食器なんて食べて大丈夫なんだろうか?!


オロオロしていると

モコモコと天ちゃん身体が波打った……

そして天ちゃんの中からさっきの器の形と同じ雲が出てきた……


えっ??「え〜〜っ?!」思わず声が出る

「何これっ?!雲の器?」

凄く軽いけどちゃんと器の形してる……

「……これ天ちゃんが作ったの?」

びっくりして思わず大きな声が出た……

……なんだかまた天ちゃんを萎縮させちゃった?……

またダメな事をしたと思ったのかな?

いかんいかん、何か小さな子をいじめてるみたいじゃないか……


「ご、ごめんね天ちゃん……

びっくりしたね……大丈夫だよ」

そう言ってみるが天ちゃんはまだ固まったままだ

やばい……何とかしなきゃ……


「凄いね、天ちゃん……」


「この器、天ちゃんが作ったんでしょう?

凄く良く出来てる、凄いな〜」

と雲の器をしげしげと調べながら天ちゃんをチラっ見る……

興味深そうに私を見ている……

大丈夫かな? もう怖がってない?


それにしてもこの器……

軽いけどなんだか安定感がありそう

「天ちゃん、これ使わせて貰っても良い?」

そう天ちゃんに優しく問い掛けると

天ちゃんは嬉しそうにふわふわした


「天ちゃん、まだ食べる?」

と、器にキャットフード(カリカリ)を入れてあげる

「今度は器は食べちゃダメだよ?

中のカリカリだけね?」


「うん。」と大きく頷いて……

そう見える仕草なんだからしょうがない


あっという間にカリカリを平らげて、

器を私の方へ寄せる天ちゃん

「……えっ?!まだ食べるの?

いやいや、結構食べたよ……」

おねだりする様に天ちゃんがまとわりついて来る……

「わ、わ、分かったから!!ちょっと待って……」


「サクラ様……

望むままにお与えになるのはいかがなものでしょう?」

シェリーが硬い声で言う……

うっ……

「天ちゃんはまだ生まれたばかりです。

これからサクラ様が教育……育てて行かなければならないのではありませんか?

甘やかすだけで宜しいのですか?」

諭すような声が心に刺さる……


「……だね。分かった、ごめん」


「……天……あなたもですよ?

サクラ様を困らせてはいけません。

サクラ様はお優しいのですから……

あなたはとても賢い子です。分かりますね?」


シェリーが穏やかな声で天ちゃんに語りかける……

何か……お母さん? 先生? みたいな感じだ


天ちゃんもシェリーの言う事を理解したのか

深く頷いて私にも……これは「ごめんなさい」なのかな?

ちょこんと頭を下げた様な仕草をした


うっ……やっぱり可愛い〜

私は天ちゃんを抱きしめて

「天ちゃんは素直な良い子だね。」

と、わしゃわしゃと天ちゃんを撫でた


「ところでサクラ様」

「はいっ」

何か思わず背筋が伸びた

「天ちゃんにどの様な能力を授けたのですか?」


どの様な……ってあれこれイメージしただけなんだけど……


「え〜とね、形はふわふわでモコモコな雲のような子で……

人や物を乗せて飛ぶ事が出来る

乗せられる物の重さは無限??って言うか制限は特に考えなかった

スピードや移動する高度も自在で

分裂したり大きさを変えることも出来る

後は……」


「それですね」

シェリーが言葉を挟む

「それ? 」

「この雲の器です」

「………んっ??………????」

「……天ちゃんから分裂して器の形に形状を変化させた。と考えれば納得行きます……」

「……おぉ〜なるぼとっ!」

「……」

何か今、深〜いため息が聞こえた気がした……


「この器、保温・保冷効果があるようです」

「……永続的ではございませんが、時間の経過がかなり緩やかな様です」


………………

「凄いっ!!凄ねシェリー!!」


「天ちゃ〜ん」

思いっきり天ちゃんを抱きしめて

「天ちゃん凄いね〜

天才だよ〜凄いね〜偉いね〜」


天ちゃんを抱き上げ、小さな子供に『高い高い』をする様にクルクル回った



――つづく――



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