# 74 新しい仲間 その4
「えっと……ずっと猫さんって呼ぶのも変だし、あなたの名前を教えてくれないかな?」唐突だけど話を逸らしてみた
「名前? そんなものないわよ。あたしはサクラの使い魔よ。サクラが呼びたい様に呼べばいいんじゃない?」
「……そうなの? 私が名前を決めても良いって事?」
「す、好きにすればっ!」そう言ってそっぽを向いているけど何だか頬が赤くなってる様な雰囲気を醸し出している
「じゃあ……レイヴン……ってどうかな? 愛称はレイちゃんで」
「やめて、イヤよ」……即答されてしまった……凹む……
「あっ、いやそうじゃなくて……『ちゃん』は要らないって意味で……『レイ』なら良い……」
「ちゃんは要らない……わ、分かった……じゃあ、レイ、今日からあなたは『レイヴン』よろしくね」
そう言った瞬間、レイヴン……レイの身体が眩い光に包まれた……デジャブ?
「な、何これっ! 力が……溢れて来る……」
レイは光り輝く自分の身体を眺め回していた
「ネイムド……」シェリーが呟く様に言う
「名前を授かった事で力が解放……付与されたのでしょう。ワタクシや天ちゃんと同じです」
「ネイムド……サクラがあたし主になったって事ね」
「あ〜主とか主従関係とか良いから! 私たちは仲間! 家族よ。よろしくねレイ。後でダイアナも紹介するね。あっそれとノーム様の所にもご挨拶に行かなきゃ」
「あれっ? そう言えばレイって天ちゃんと普通に話してたよね? どうして? 天ちゃんの声は家族にしか聞こえないはずだけど……」
「おそらくですが……サクラ様はレイの事を初めから……魔石の時から受け入れておられました。そしてレイもサクラ様を主として認めた……その時点で仮契約的なものが発生したのではないでしょうか?」
「仮契約……なるほど……腑に落ちるね」
「そうね、それで合ってると思うわ……突然あの子の声が聞こえる様になったから…………あの時……あたしはサクラと……」
「あの時?」私の声に「な、なんでもないわよっ」と答えてくれないレイちゃんだった……心の中でちゃん付けするのはセーフだよね?
「でっ! レイはどうして子猫の姿なの?」
「はぁあっ!? 聞きたいのはこっちよ! どうしてこんななのよっ!」
「えっ? どうしてって……」思わず狼狽える……
「サクラ様のイメージではないでしょうか」
「イメージ? 私の? ……まぁ確かに魔法使いのパートナーは黒猫ってイメージはあったけど……」ん? なんかレイってば嬉しそう?
「使い魔って言われてたら違うイメージだったかも?」そう言った瞬間ハッとした表情で「今、なんか猫耳でしっぽがある獣人的な姿が見えたんだけど……」そう言ってキッとした顔で私を睨むレイ
「凄いね、どうしてわかったの?」
「し、知らないわよ」またそっぽを向かれてしまった
「じゃあ、レイはどんな姿になりたかったの?」
「どんな……って……」言おうかどうか迷ってる表情がとても可愛い……
「……フェニックス……」恥ずかしそうにポツリと呟いた
「フェニックス?」記憶を探る……
「な、何よっ……悪い?!」
「ごめんごめん。違うの。フェニックス……もしかしたらなれるかもよ?」
「????」クルクル変わるレイの表情……感情表現が豊かだね、レイは……
愛猫の事を思い出す……怒ってる時の目は怖かったなぁ〜しっぽをパタパタさせて……イカ耳になって……
甘えてくれる時はまん丸の瞳がキュルンってなって可愛かったし……撫でると目を細めてゴロゴロ喉を鳴らしてくれた……愛すべく家族だった……
「サクラ様?」シェリーの声に我に返る
「ごめん……レイがあまりに可愛くてリアルなにゃんこの可愛らしさを思い出してた」
みんなの頭の上に????が浮かんだ……
「フェニックス! そうっ、さっきレイが消える前にね、レイの後ろに大きな鳥みたいな影が見えたの。もしかしたらあれがレイの本当の姿なのかも。フェニックスかどうかは分からないけど……」嬉しそうな顔をするレイが可愛い……
「大きな鳥の影……影……黒……なるほど……だから『レンヴン』ですか……」シェリーがひとり静かに納得している。単純過ぎるかもだけど、黒い鳥って言ったら『烏』が浮かんじゃったのだ。
クロウより大きなレイヴンがイメージある的にマッチしたのだった
《フェニックスって鳥さんなの?》天ちゃんの声がする
そうか、天ちゃんは知らないよね
「うん、そうだよ。不死鳥って言ってね、永遠の時を生きるって言われてる伝説の鳥さんなの」
《ふーん。伝説? カッコイイ?》
「そうだね。かっこよくて綺麗かな」
「それに空も飛べるわ」レイが嬉々としてそう言う
「空?……レイは空を飛びたいの?」
「そうよ。空を優雅に飛ぶフェニックス……絵になるじゃない」得意げな顔のレイも可愛いなぁ
「その姿で飛べば良くない?」
「えっ?!」心底意外って顔をする。ふふっ
「ペガサスだって天を駆ける馬でしょう? 猫の姿で飛んでもおかしくないと思うよ?」
《うん。ボクも鳥さんじゃないけどお空飛べるよ》天ちゃんがクルクル飛び回る……まぁ、天ちゃんは鳥ではないけど雲がモチーフだから飛べるんだけど……
「イメージしてみたら?」
「イメージ……」レイが魔力を練る……ポンっと天使の羽根がレイの身体から生えた……かっ、可愛い〜〜
「もうっ! 違うっ! こんなんじゃないっ!」
「えっ? ダメなの? 可愛いじゃ……」キッと睨まれた……
「と、とりあえず飛んでみたら?」
怖い顔をしたまま魔力を込めるレイ……そしてふわふわと浮かんだ……
「凄い凄いっ。飛べたね」
「こ、こんなのは飛べたとは言わないわよっ……それに魔力の消費が激しい……くっ……あたしは寝るわ」
レイはポンっと魔石になって天ちゃんの中に消えた……
「あらら……またねっレイ。おやすみ」
「サクラ様、よろしいのですか? レイのあの態度は目に余るものがございます」
「んっ? ……そうだね〜。でもああいうキャラだろうし……ツンデレだから許してあげて?」
「ツンデレ? ……なるほど……しかし……」考え込むシェリー
《つんでれってなぁに?》
「あぁ……ツンデレは……ちょっとツンツンしてるけど本当は優しくて可愛い子の事を言うの。レイみたいにね」
《ツンツン? ……分かったぁ〜》
理解したのか《ツンツン、デレデレ〜》と歌いながら天ちゃんは飛んで行った
「サクラ様……教育上、天ちゃんにその様な言葉を教えるのは如何なものでしょうか……」
「……うん……分かった、善処します……」
――つづく――




