# 54 台所用洗剤と洗濯用洗剤
翌朝、朝食を済ませて準備に取り掛かる
薬草類の水栽培に必要な道具は『ボトル』と『魔力水』
天ちゃんにボトルをいくつか作って貰う
『魔力水』は文字通り『魔力』を込めた『水』の事だ
ボウルに張った水に魔力を込める……
その水をボトルに移し薬草を切り花の様に活けるのだ
薬草類は大き目のボウルに張った魔力水の中で水切りした
天ちゃんが不思議そうに見ているので「こうやってお水の中で茎を切ってあげると、お水を沢山吸い上げて元気に育ってくれるんだよ」と説明する
切り花の様な効果があるのかは分からないけど、ダメって事は無いよね? と試してみたのだ
「お花や薬草はお水がご飯なんだよ」そう言うと
《魔力水って美味しいの?》と聞かれた
「うーん、どうだろう? でも植物さん達には美味しくて栄養があるからお水を沢山飲むんだよ」
《ボクも飲んでみて良い?》天ちゃんに聞かれて再度『魔力水』を作り鑑定みる。飲んでも害はなさそうなのでコップに少し入れて天ちゃんに渡した
「どう? 美味しい?」
《うーん……分かんない》そんな天ちゃんの返事を受けて私も一口飲んでみる……
「確かに……分かんないね……普通のお水と一緒だね」
そんな会話をしながら和やかに『水栽培』の薬草達をボトルに活けて行った
魔力水の魔力は時間の経過で薄れて行く様なので水換えは毎日の日課になりそうだ
薬草の形状はまだ覚えてないので、何の薬草か一目で分かる様にボトルにマジックで名前を書いて窓辺に並べた
……と言ってもここは亜空間なので日差しはないんだけどね
「さてと! 実験を始めますか!」
昨日作った『洗浄液』を取り出す
洗浄用の植物は確かに洗浄効果がある様だ
でも台所様洗剤や洗濯洗剤に比べると効果はかなり小さい……
でっ! この洗浄液に異世界の洗剤を混ぜたらもっと良くならないかな? って思ったのだ
まずは『台所用洗剤』を作ってみる事にする
2リットル程の洗浄液に『台所用洗剤』を入れて行く
「んっ?!これでOK? こんな少しで?」10ml程しか入れていない……
「サクラ様?」私の独り言にシェリーが反応する
「あ〜なんか出来たっぽい……簡単過ぎるって言うか……ははっ……ちょっと試してみるね」
キッチンに移動して食後に飲んだコーヒーカップとさっきの魔力水を入れたコップを洗ってみる事にする
「えっと……洗い桶にぬるま湯を入れて洗剤はキャップ1杯弱……位かな?」スポンジを浸してクシュクシュ泡立てる……うん、普通に泡立った
それから洗う物を洗い桶につけて……スポンジで洗う……
「うーん……大して汚れてないから洗えてるのか不安だけど……スポンジの泡立ちは良い感じだね。とりあえずカップはキレイに洗えたかな?」ソーサーやスプーン、コップも洗ってみる
「うん、泡も無くならないしちゃん洗えてるっぽい。成功……で良いのかな?」今ひとつ自信はないけどいつもの台所用洗剤で洗うのと変わらない感覚だった
『台所用洗剤』が完成した!
鑑定結果は『台所用洗剤。食器等を洗う事の出来る洗剤。汚れがキレイに落とせる』となっている
『洗浄液』だった時は『汚れを落とす事の出来る液体』としか鑑定されなかった
仕上げに……「天ちゃん、『浄化雲』貰えるかな?」天ちゃんに声を掛ける
「はーい。ちょっと待ってね」天ちゃんが『浄化雲』を出してくれる
雲をひとつまみ洗い桶に入れると泡が一瞬で消える
食器を洗い桶から取り出し水切りラックへ……
「食器洗い完了!」もう少し効果の検証したいかな~
「シェリー、今日のお昼は少し洗い物が増える物を作ってくれるかな? この洗剤がちゃんと役立つかどうか確認したいの」
「畏まりました。何が宜しいですか?」
「う〜ん……そうだね……ナポリタン! とかどうかな? あ〜カレーも食べたいなぁ〜。晩御飯はカレーで!」
「畏まりました。……でも夕飯は町で摂らなく宜しいのですか?」シェリーに聞かれる
「うん……だってここではカレーっぽいお料理ってないでしょう? 無性に食べたくなる時があるのよね〜カレーって。何かもう頭の中はカレーで一杯になっちゃったから! 晩御飯はカレー作ってシェリー!」ワガママ炸裂……シェリーはにこやかな声で「承知致しました」と答えてくれた
「カッレェー♪♪ カッレェー♪♪ 今夜はカッレェー♪♪」
今夜のカレーを楽しみに作業を再開した
『台所用洗剤』と同じ手順で『洗濯洗剤』も作る
鑑定すると『洗濯洗剤。衣類等の汚れをキレイに落とす事が出来る』と出た。こっちも成功……かな?
ほんの少しの『台所用洗剤』『洗濯用洗剤』で『洗浄液・改』が出来た
汚れを簡単に綺麗に落としてくれる『洗剤』の完成だ
天ちゃんの『浄化雲』と一緒に使えば『汚水』が発生する事もない
ただ難点は……『洗浄液』を作るのがなかなか大変だと言う事だった
洗浄用の植物を採取して絞り汁を作る……ここまでの過程が時間を要する
「大量生産は厳しいかな〜」洗剤を普及させたい思いはあるけど、その道はなかなか険しそうだ
「栽培が上手く行って採取に時間が掛からなくなれば少しは時短にもなるだろうけどね……」そう言って薬草各種を活けたボトルを眺めた
薬草の絞り汁を作る為に『ジューサー』を使用する事に問題はなかった
ジューサーを使えば手早く大量の絞り汁を作る事が出来た
手作業はホント手が痛くなったけどジューサーは楽だった
文明の機器……凄いわ〜有難いわ〜
そして絞った後のカスも再利用出来ないかな? と、とりあえず庭で天日干し……乾燥させる事にした
なんとなく……煎じたらエキス? が出て使えるんじゃないかな〜って思ったのだった
試しに絞ってない薬草も少しそのまま乾燥させてみる事にした
お昼はシェリー特製ナポリタンを頂く
「うーん! 美味しい〜! シェリー、すっごく美味しいよ。ありがとう〜」
「お口に合ってなりよりでございます」シェリーも満足気に答えてくれる
ナポリタンにコンソメスープ、サラダに……デザートはプリン! 倖せなランチタイムを過ごした
お片付けは、私も効果を実感したくて洗い物をさせてもらった
『洗浄液』の効果は問題なく、通常の台所用洗剤と遜色なかった
作成に使った台所用洗剤の量が少ない上、洗い桶に入れる量もペットポトルのキャップ1杯程度で大丈夫だから経済的にも超優秀な代物だ。普及したら良いなぁ
洗浄液の効果も確認出来た事にも満足し、食後のコーヒーを飲みながらまったり過ごす
「そうだっ!」思いついてアコギ……アコースティックギターを取り出す
薬草達のボトルを意識しながらメロディを奏でる……
「植物って音楽を聴かせると育ちが良いって聞いた事あるんだけど……薬草にも役立つかな?」
《薬草さんにも聴こえてるの?》天ちゃんが不思議そうに尋ねる
「うん。植物も動物もみんな生きているからね。だからお花や植物も話し掛けてあげると元気が出るんだよ。」
《ふ〜ん。ボクもサクラさまのギター好きだよ》そう言って天ちゃんは私の隣にちょこんと座った
ランチの後はそんな風にまったり過ごし……
神官殿に提案しようと思っている事柄をシェリーと一緒にまとめた
シェリーは私が考えている事を簡潔に、そして具体的に書式化してくれた
神官殿1人で決められる事ではないと思うので、これからあれこれ詰めて行かなきゃならないとは思う
でも……軌道に乗れば国にとっても私にとっても財源確保になって良いと思うんだよね……
シェリーの意見も聞いたが『冒険者』メインより『商人』としての活動をしてくれる方が心配が少なくて良い。と喜ばれてしまった……
私としては『冒険者』としてあちこち旅をしてダンジョンに潜ったり魔物の討伐をしたり……と実力を上げて行きたいと思ってるんだけどな〜
収入は確かに不安定なのかもしれないけどさっ
シェリーは心配性過ぎるんじゃないかと思う……んだけど……
これまでも沢山心配させちゃってるから強気にも出れない所はあるのよね……
まぁ……これから徐々に信頼を回復して行こう! と密かに誓ったのだった
そうそう、午後からは天ちゃんとも沢山遊んだ
絵本を何冊か購入して読み聞かせをしたら、これがなかなか好評で天ちゃんは大喜びしてくれた
他にも見繕って色んなお話をしてあげたいな……なんて事を思ったり、のんびりとした1日を過ごす事が出来た
夕飯のカレーは私好みのゴロゴロ具材の家庭的なカレーで大満足だった
天ちゃんに辛いカレーはどうかな? とちょっと不安もあったので、ルウを入れる前に天ちゃんの分を別鍋に移して甘口のカレーにしてもらった
天ちゃんもちょっと辛いけど美味しいと喜んでくれた
後片付け後のシェリーに新しい台所用洗剤の使い心地も聞いてみた
これまでの台所用洗剤と変わらない洗浄力だとお墨付きをもらった
合わせて……「天ちゃんの浄化雲と合わせると水の節約も出来ます」と言われた
うんうん、だよね〜
――つづく――




