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#4 初めまして

初めての戦闘で魔物を倒したのは良いが、この後始末をどうすれば良いのか頭を抱える私……


「……しますか?」

声が聞こえた気がした……えっ?!空耳?!幻聴?!


「解体しますか?」

今度ははっきりとした女性の声が届いた


声のした方を向くと、スクリーンに

『解体しますか?【はい】【いいえ】』とポップが出ていた


「えっ?……解体……出来るの?」

呆然と画面を見つめる私に再び

「解体しますか?」と声がした


「あっ、はい。お願いします」

反射的に答えると画面には『しばらくお待ち下さい』の文字

そしてホーンラビットに視線を移すとホーンラビット達は『白いモヤ』の様な物に包まれていた


……これって解体中って事?

なんかワクワクしてきた


おぉ〜凄いね〜

何でも出来るんだね〜

それに喋ったし!

喋れるんだ!

なんか凄く嬉しくなった

だって話し相手なんていなかったし!!

独り言ばかりの危ない人になりそうだって思ってた所だったし〜!!


それにこのスクリーンがまさか意思疎通出来るAI的な物だなんて思いもしなかったから

まぁ、確かに高性能なAIって感じはするよね


「ねぇ、あなた私と会話出来るの?」

画面に向かって話し掛けてみる

「……」沈黙したままだ


「これまでも私の思った事してくれたよね?

それってあなたがしてくれた事じゃないの?」

「……」返事がない……


「私、あなたと話がしたいの……

お願い、応えて?」両手を合わせて『お願いポーズ』を取って目を瞑る……

チラッと片目だけ開けて画面を見る……

「……」やっぱり返事がない……


『しかばね』じゃないんだから返事してくれたって……

って愚痴ると「ブンっ」と今度は本当に小さな音がした

慌てて画面見つめる


「……ワタクシは……貴女様の道具に過ぎません」

さっきより硬い機械的な音声が響く


「道具? まぁ確かにあなたは人間ではないけど、こうして私と意思疎通を図れるのよね?」


「……はい……」


「だったら何の問題もないじゃない」

私は嬉しくて小躍りしてしまった


「あっ、ごめん……置いてきぼりだね」

「……」

「ん〜嫌だったら強制は出来ないけど……

仲良くして欲しいな。って私は思ってる」

「……」

「どうかな? ダメだったらもう話しかけないから……」

話し掛けないなんて寂しいな……悲しいな……

でもこの子がそれを望むのなら仕方ない……

そんな思いが言葉に乗ってしまって声はトーンが沈んでいた


長い沈黙の末……

私の感覚だからホントはほんの少しの時間だったのかもしれない

「……貴女様がそれをお望みになるのなら……」

そんな答えが返って来た


「ホント?!嬉しい!ありがとう! じゃぁ……

これからよろしくね」

彼女に手があるのならブンブン握り締めていた所だけどそれは無理だから思いっきり微笑んだ


「そうだ」

「あなた名前は?なんて言うの?」

「……」

「あっ、私はサクラミサキ!!22才

よろしくね」


「……道具であるワタクシに名前などありません」


ふむ……そうなんだ……

「ん〜じゃあ、私があなたの名前考えても良い?」

「……はい……」

「そうね……どんな名前が良いかしら?」

少し逡巡して……


「うん!!『シェリー』ってどうかな? 」

「……承知いたしました」


ん〜なんか固いけど……

『会話する』って事がなかったから仕方ないのかな?

超優秀なAIっぽいからこれから学習してフランクな喋りも出来るようになるかもだし

まぁ『執事』っぽい丁寧な感じも悪くはないかな?


私は新しく仲間が出来た喜びを噛み締めた


話し相手、しかも超優秀っぽいシェリーが仲間に加わり私はニコニコだった

……傍目には1人きりなので危ない人に見えるかもだけど……


「ブンっ」小さな音がして画面に視線を移すと

『しばらくお待ち下さい』が『解体終了しました』に変わっていた

ホーンラビットが居た場所を見ると何やら包み紙が数個落ちている


じ〜〜〜って感じでシェリーを見つめる……

「これ「解体が〜」ってやつ、シェリーが出したんだよね?」


「……はい」

「出来れば……シェリーの声で聞きたいな?」

ふふ〜んって感じでシェリーを見る

……って言ってもスクリーンを見てるだけなんだけど……

「……承知いたしました」

シェリーから返事が返って来た

「ありがと」と私もにっこり微笑む


せっかく話せるんだから文字より声の方が良いよね〜

そんな事を思っての提案だった


「もちろん、臨機応変で構わないから」

なんだったらテレパシー的なものでもOK?

そんな事を考えてたら

《承知いたしました》と頭の中でシェリーの声が響いた


「うわっ!…び、びっくりした〜」

「……申し訳ございません」

シェリーが謝罪の言葉を口にする

いや、口はないか……

「あぁ、いやいやごめん。ちょっと驚いただけだから」

深呼吸して気持ちを落ち着ける

「凄いねシェリー。ホントなんでも出来るんだね」

賞賛の眼差しをシェリーに向ける


「……ありがとうございます」


この微妙に間が空くのは会話する機会がなかったからなのかな?

だとしたらそのうち慣れてくれるかな?

積極的に話し掛けてくれるシェリーを想像して、楽しみだなぁ〜と笑みが零れた


んっ? ……テレパシー云々は私、声に出してないよね……

えっと……もしかして私の思考はシェリーに筒抜けって事?


うっ……

まぁ良いか……今更隠した所で……

それに思考を読んでくれるのなら説明しなくても良さそうだし……ね……


……そんな事より!

忘れるところだった

ホーンラビットよ、ホーンラビット!


解体の終わったホーンラビットは

肉の塊が6個……ふわふわの毛皮が6個……6枚??と、ファーで出来た丸いふわふわがあった


このお肉って食べられるの?

やっぱり食用……だよね?……

毛皮は……毛皮でしょうね……

そしてこのふわふわのファーはなんなのかな?

アクセサリー?


冷静になった今だから言えるけど、

私の知ってる……って言ってもゲームの世界だけど……

ホーンラビットって言うか一角うさぎ? あまり襲って来ないイメージなのよね……

あんなガツガツしてないって言うか……


私の世界の常識は通用しないって思ってた方が良いのかな?


まぁ、それはおいおい分かってる来る事なのかな〜

考えたってしょうがないよね


それよりも目の前のお肉の塊だよ!!

「どうすれば良いの? これ……

私のカバンには入り切らないよ〜」

う〜ん……


「アイテムボックスに入れてはいかがでしょうか?」

シェリーの声がした

「アイテムボックス?」

そうか、『ファンタジーな』この世界の仕様ならそんなのもありだよね

やったっ!助かった〜

……何かもう、ホントなんでもありな気がして深く考えるのはよそうと思った……


それはさて置き今更だけど、

あまりにも自分の状態を把握しない事に気づいた


ワラの家まで行こう!!なんて行動に移すのはまだ時期尚早……早かったよね……

その前にやる事あったじゃない……

私はこの世界で何者なのか……少しは調べようとしないと始まらない……


そんな事を思い少し落ち込む……


「ご主人様??」

黙り込んだ私にシェリーから声が掛かる

おぉ〜初めてシェリーから話しかけられた〜

わーい! と、単純に喜ぶ私

ちょっと落ち込んだけど、なんか元気出た!


んっ?!私の心の声を聞くのは止めてくれたのかしら?!まぁ、それはどっちでも良いけど……


「何? シェリー」

「……そちらのお品は回収してよろしいでしょうか?」

「回収?!シェリー出来るの?」

「……はい」

言葉と共に肉の塊たちが消える

「す、凄っ!

ホントなんでも出来るね

もしかして戦ったら凄い強いとか?」

「ワタクシは戦闘は出来ません」

おっ? おぉ〜今の返答は早かったぞぉ〜

やっぱり学習してるねシェリーさん

思った以上の速さで進化してるのかもしれないな。

なんて期待の眼差しをシェリーに向ける

「…………」

返事はない……か


あっそうだっ!!

「シェリー、今私の事『ご主人様』って呼んだよね?」

「……はい」

あれっ? また反応が少し遅くなった?

「私主人じゃないし、名前で呼んで? 」

「……いえ、あなた様はワタクシのご主人様で間違いございません」

……そう来たか……

「……ひゃ、百歩譲って私がご主人様なのは良い。分かった、了承する。でもその呼び方は辞めて?」


「……サクラミサキ様」

うっ……確かに名前呼びだけどフルネーム?

「サクラでお願いしても良い? 」

「…承知いたしました。サクラ様」

様……かっ……まぁ良しとしましょう


「オーケイ……それでよろしく」


……えっと、まずは私の能力?!ステータス?!

その辺から確認しときたいわね


さっき魔法を使った時、なんか結構な力がある気がしたのよね〜


勇者程ではないにしろ、異世界人だからそこそこ強いのかな?

それに……

ここまで結構な距離歩いて来たと思うんだけど

全然疲れてないのよね

これも不思議過ぎる

疲労を感じないって訳ではないんけど、

私インドア派なんで歩くとかチョー苦手なのにさ〜

体力的な数値が高かったりするのかな?

なんかちょっと期待してワクワクした



――つづく――

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