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#3 初めての戦闘?!

この地に降り立ってパニクりアタフタしたけど……

現状を受け入れるしかない訳で……

気持ち的には少し落ち着いた……かな?


あっ……

今更ながら改めまして

私の名前は『桜 美咲』

桜が美しく咲くなんて痛い名前だけど結構気に入ってたりする


……「誰に向かって自己紹介してるんだ? 」ってツッコミは無しでお願いします……

今の私の心理状態で平静を保つ為に敢えての……って感じです……

……己の阿呆さ加減に呆れつつ……続けよう!


天の川銀河系太陽系第三惑星地球

……地球の住所って私の知識ではこれが限界

地球って惑星の日本と言う国に生まれ育ちそのまま生涯を閉じると信じて疑わなかった

でも……

気付いたらここが何処なのか分からないこの草原に立っていた


私は此処が『異世界』だと思ってる

もしかしたら地球のどこかの草原の可能性も無くはないって気持ちも正直あった

この場所は、ネイチャー動画で見る事が出来そうな風景ではあるのだから


でも……

ここは違う……

何か引っかかってるんだけど思い出せない大切な何か……

それが頭の片隅、取り出せないもどかしさと共にある

その『何か』が『ここは異世界』って言ってる気がするから……


そんな思いでアタフタした中、ケータイで地図を確認しようとしたら現れた地図が表示されたスクリーン

私の携帯電話にはこんな機能ありませんから〜

もう、これでここが異世界だって確信したね


こんな……私の感覚でなんだけど……

ハイテクな事が可能な世界……

正直不安が増したのも事実

私の中の『異世界』のイメージは私が生きてきた世界より文化・科学力はまだまだ発展途中の世界だったから……

って言うか、魔力とか不思議な力をメインに発展してる感じ??

だから……この草原を抜けて現れた都市が近未来的な場所だったらどうしよう……

そんな世界で生きていけるの?

不審者扱いされて拘束されるんじゃない?

そんな新たな不安が生まれ「はぁ〜」と大きなため息が出てるのも当然だよね


どっちにしても、ここがどんな世界なの確認しなきゃだよね

ここでウダウダ考えてても埒が明かない……

なので私はとりあえず地図の左上にある『ワラの家』を目指す事にした


《地図、閉じて良いよ》声には出さずに思ってみる

うん、思った通りスクリーンは消えた

便利な機能だね

どういう仕組みなのか気にはなるけど、とりあえず深くは考えない事にした

考えたってきっと解らない


「さてと、行きますか!」

自分を奮い立たせる様に少し大きな掛け声と共に私は歩き出した


しばらく歩いたが周りの景色は全く変化なし

時々地図を出してみるが先程のワラの家は近づいているのかよく分からない

出したり閉じたりするのも面倒なので地図は出しっぱなしにして歩くことにした

大丈夫かな?と思ったけど、ちゃんと私と共に移動してくれてる


何処までも続く緑の草原も初めは何だかワクワクしたけど、こうも何の変化もないと少し飽きて来る……

折角の草原なんだから草を食む牛さんとかヤギさんとか羊さんとか?……ちょっと可愛く言ってみた……居ても良いのにな〜

なんて事を思いながら

時折吹く爽やかな風に「のどかだなぁ〜」と、テクテクと歩き続けた


………っ、立ち止まって神経を集中させる

……何だろう?!このザワザワした感じ……

今にも鳥肌が立ちそうな不快感……


はっ!思考より先に身体が勝手に反応したかの様に左側を凝視する

「何か居る? こっちに向かって来てる? 」

遠くに何か……うさぎに似た動物……

いや、あれってもしかして魔物……なのかな?


とても友好的とは思えない形相で走って来るうさぎもどき!!

目は赤くギラついているし時折見せる歯は鋭そうだ

……なに?……あれ……


うさぎに似た……多分……魔物……が一直線に私を目掛けて駆けて来ている


「何あれぇ〜」やっぱり叫ばずにはいられない


すると『ブンっ』って言う効果音が付きそうな感じで新しい画面……スクリーン??が立ち上がった


駆けてくるうさぎもどきの姿が映る

拡大してくれたの?

結構な数でこっちへ一直線って感じ

『ホーンラビット』って名前が表示されている

一角うさぎ……的な?


目視出来ると映してくれるのかな?

そんな事を考える


オマケに名前の所はリンクが貼ってあるかの様に色が変わっているではありませんかっ!?


これって地図機能以外にあれこれこの世界の情報を見る事が出来るツールなの?

……凄すぎでしょう!

他にどんな機能があるのか確認したくてウズウズするけど、今はそんな事をしている場合じゃないっ!


ホーンラビットはどんどん距離を詰めて私に迫って来るんだから


「ちょ、ちょっと待って!!ストップ!!ストップ!!ストップ〜!!」

叫びながら掌をホーンラビット達に向ける

さしずめ『待て』の合図的動作

……止まってくれました……律儀に……


……そんな分けないでしょ!!

躾られたワンコじゃないんだからっ!!

と自分に突っ込みを入れてみた……虚しい……


『待て』をくらったホーンラビット達は『金縛り』に合ったかの様に必死で動こうともがいてる感が満載だった

私を睨みつける目が怖いよ……


…………………

これは魔物だから倒して良いんだよね?

倒さなきゃいけないやつだよね?

誰も応えてくれないけどとりあえず自分自身に同意を求める様に確認してみる


この金縛り的なのって魔法の一種なのかな?

異世界転移してるんだから『魔力』とかあってもおかしくはないか……


チラッとスクリーンに目をやり「私のステータスとかも分かるのかな?」なんて言ってみる

『ブンっ』また新しい画面が立ち上がってる

「おぉ〜〜出た〜」なんか嬉しい……


ホーンラビットはこのままにしていても動き出す事はないって何か確信してる自分が居るんだけど、やっぱり落ち着かないので……


それに『魔法』ってやつを発動してみたい衝動の方が強くて魔物への恐怖心は抑え込まれてしまっていた


『魔法』ってイメージだよね?多分……

意識を集中させる……

『気』とか『念』とか『チャクラ』とか??……

そんな感じの力を身体に循環させるイメージ……

「何だか身体が暖かくなって来た」

掌に意識を集中させると……

『静電気の塊』が完成した様な感覚になる

掌をホーンラビットに向けて「電気ショック」と唱えてみた


ホーンラビット達は感電したかの様に身体を痙攣させて倒れた


うっ……ごめん……


魔法が使えた喜びより『命』を奪ってしまった罪悪感の方が先にたった……


襲われそうになったんだからこれは正当防衛だし……

そんな風に自分を正当化してみるが……


ゲームでサクサク魔物を倒してストーリーを進めて行くのとはやっぱり違う……


なんだか胸の奥がズシンと重たくなった……


そしてゲームの様に戦闘後に魔物の姿は消えること無く、動かなくなったホーンラビット達はそこに横たわっていた……


なんともやるせない気持ちになってしまったけど、いつまでも落ち込んでる訳には行かない

多分この世界はこんな風に魔物が沢山居るんだろう

そしてそれを討伐しなければならない事も……


……もしかしたら……

友達になれる魔物だっているかもしれないし……


そんな希望的観測を持ちながら

いつも間にか座り込んでしまっていたので立ち上がってホーンラビット達を見つめる


……これ……

どうすれば良いだろう?

放置したらまずいよね?


……はっ!

臭いを嗅ぎつけた他の魔物が寄って来る可能性ってない?

切りつけた訳ではないから出血とかはしてないけど有り得るよね?

さっきの様な気配を察知しようとグルグル辺りを見渡した……

だ、大丈夫……何もいない……


でも……な、なんとかしなきゃ〜

天を仰いで頭を抱える私……


「……しますか?」

んっ?なんか今声が聞こえた?



――つづく――


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