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21 新しい能力

私はシェリーと天ちゃんの元へ戻って来た

二人も私の帰りを待っていてくれた様で、すぐに私の所へ元へ駆け寄って来てくれた

……天ちゃんは空に浮いてるから駆け寄る……とは言わないのかな? まぁ、そんな事はどうでも良いか……


「サクラ様、お帰りなさいませ」

「ただいま、シェリー天ちゃん

遅くなってごめんね……あのね」

《うん、ボクずっとサクラさまが帰って来るの待ってたよ〜》

不意に頭の中に声が響いた……

「?!えっ?!今の声って……天ちゃん????」

まるでスローモーションの様に天ちゃんを見た


《うん、ボクね、サクラさまとシェリーとお話出来る様になったの、精霊さまがしてくれたの》

嬉しそうにクルクルと回りだす天ちゃん

「て、天ちゃん! そんな宙返りとかしたらシェリーがっ!!」

慌てて…天ちゃんを捕まえようと手を伸ばした、が……

「サクラ様、ワタクシはこちらです」

と、シェリーの声がした……

えっ?!え〜〜っ?!

シェリーが天ちゃん……じゃなくて天ちゃんの分離させた雲??に乗ってふわふわ浮いていた


「ワタクシも精霊様から新たな能力(ちから)を授かりました

これはそのひとつ『自己移動』です

そしてこれは……この方が見栄えが良いかと存じまして天ちゃんの分離体をお借りしました」

……なるほど……確かにケータイがふわふわ浮いてるよりは良いかもね……


「凄いねっ! ひとりで移動出来る様になったんだ! 良かったね」

これは……必要なのか? とも一瞬思ったが……

地味に? ……ジワジワ役立つ力なのでは……と思い直した

うん、シェリーだって自分の思う場所に自由に行きたいよね


「はい、その他にも精霊様から能力(ちから)を授かりましたので説明致します」


……確かに精霊様に2人に能力(ちから)を授けたって言われたけど……他にもまだあるんだ……

精霊様にきちんとお礼を言わなきゃ!!


と、その前に!!

「天ちゃん! 天ちゃん!!」

《サクラさま〜なぁに〜》と側に来た天ちゃんをギュッと抱きしめる

「天ちゃん! 天ちゃんとお話出来るようになって私、すっごく嬉しいよ、これから沢山沢山お話しようね」

《うん!!ボクも嬉しい〜

ボクもサクラさまとずっとお話したかったんだよ〜

いっぱいお話する〜》

そう言いながら天ちゃんが私にしがみついた……

精霊様……本当にありがとうございます……

あ〜なんか嬉しすぎて涙が出て来た〜


《サクラさま? ボク……ごめんなさい……

痛かった? 》天ちゃんがオロオロしていた

「えっ? あ〜っごめんごめん、

これはね、嬉し涙!

嬉しくって涙が出て来ただけだから天ちゃんは謝らなくても良いんだよ

逆に心配させちゃって私の方が謝らないと、ごめんね」

と、天ちゃんを優しくポンポンした

天ちゃんも安心した様に私に擦り寄って来た

相変わらず可愛いな、天ちゃんは。


天ちゃんとシェリーの新しい能力(ちから)も早く知りたいが、まずは事の成り行きを説明した


「なんかややこしい事になっちゃって……

勝手に決めちゃってごめんなさいなんだけど、

しばらくこの村に滞在する事になったの……

あの温泉の活用法についてのアドバイザー的な??」そう申し訳無さげに2人に告げると

「承知いたしました

村の方々に温泉についての知識がなさそうだったったので、そうなるのではないかと思っておりました」とシェリーに言われた

流石!!シェリーはやっぱり超優秀だわ〜

「ありがとう、シェリー」


そっか……シェリーにも一緒に考えて貰えば良いんだ

温泉の活用法……温泉宿とかスーパー銭湯とかシェリーに詳細なデータを出してもらえば……

「ねぇ、シェリー、温泉作りだけどシェリーの力を貸して貰えるかな?

私じゃ説明不足になるだろうからシェリーの知識を貸して欲しいの。どう……かな? 」

「はい、承知いたしました

ワタクシでお役に立てれば幸いです」


「ありがとうシェリー、

よし、そうと決まれば!!

私、ちょっと行って来るね」

私は神官殿達の元へ急いだ


神官殿の元へ行き私は改めて提案をした

シェリーは『大衆浴場』や『温泉宿』がどういう物なのか具体的な形を示す事が出来る事

だから、私がさっき説明したより分り易い提案が出来ると思う

なので、シェリーの知識を借りたいという事


神官殿は願ったり叶ったりだと喜んでくれた

「是非、シェリー様にもお力添えを願いたい」と


「……だけど、それには約束して欲しい事があるんです……」

私は真剣な眼差しで神官殿を見つめた


神官殿も、私の今までにない真剣さを感じたのか

「はい、どのような事でしょう? 」と姿勢を正し問いかけた


『シェリーに知識は貸してもらうけど、表には出ずにあくまでも私の意見として欲しい事』

『私が同席する時は出来る限り少人数にして欲しい事』

『その集まりに出席するのは信頼に足る人物のみにしてほしい事』

そして1番重要なのは

『町づくりに関して私達が関わっている事を決して外に漏らさない事』

これらを絶対に守って欲しいと、私は神官殿に伝えた


神官殿は少し戸惑いを見せていたので、私は続けた

「ペターソンさん、お気付きとは思いますが、私達は少し特殊な能力を持っています」

「はい、承知しておりますが……」

「その力に関しての情報は、出来るだけ表には出したくないのです……」

「…………??」

「もし……こんな不思議な力を持っている事が広まれば……」

そう言うと、神官殿が「はっ!!」と息をのんだ

「お分かり頂けますか?

私にとって、シェリーと天ちゃんはかけがえのない存在なのです……

私はシェリーと天ちゃんが危ない目にあったりする事が無いようにしたい……2人を守りたいのです」

神官殿は黙って大きく頷いた

「ありがとうございます」私は頭を下げた

「おやめ下さい」と神官殿を慌てさせちゃったけど、すぐに察して貰えて嬉しかった


「この村の方々にはあれこれバレちゃってますし、皆さんの事は信頼しています」そう言って微笑んだ

「でも、これから村に来る人達は別です

ごめんさい、信用しないって事ではないのです

ただ、少しでもリスクを減らしたい……って言うか……あはっ、信頼してないって言ってますね」ポリポリと頭を搔いた


「いえ、仰られたい事は分かります

これからは大規模な工事になります

人の出入りも多くなるでしょう

私達も全ての者を把握するのは難しくなってくるかもしれない」

神官殿の言葉に私は頷いた

「この村の者にはもちろんですが、工事の指揮を取る者達にもサクラ様方に関して、決して外には漏らさない事を誓わせます」

神官殿はそう強く言い切った


この世界にはない力を持っているシェリー

そして天ちゃんもこの世界には存在しないであろう唯一の存在……

2人の力を我がものに……とか悪用しようとか考える輩が居ないとは言いきれない

こんな事は思いたくはないけれど……ね……


私に出来る最大限の力で2人を守りたい

だから……出来るだけ2人の能力を人の目に触れさせたくはない……

そんな想いに私がこれから取ろうとしている行動は反しているとは思う……


この村の事は乗りかかった船だし……

精霊様にも頼まれちゃったし……

まぁ、何より私自身が私に出来る事があるのなら手助けしたいって思っちゃったし……

シェリーと天ちゃんを巻き込んでしまったけど、2人も私の気持ちに同調してくれるよね?!


私も……2人を守れる様に強くなりたい……


そんな事を考えながら私は2人の元に戻って行った


――つづく――



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