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20 今後について

シェリーに精霊様からの言伝を聞いていたので、私と神官殿は精霊様の祠に残り、他の皆は村へ帰る事になった


精霊様の祠の前で神官殿が跪く……

祠が緑色に輝き精霊様が登場した


《うむ、来たか……少し話をしておきたかった……

まずはサクラと共に現れた草原じゃ……

近いうちにダンジョンが産まれるであろう……》


ダンジョン?!ダンジョンってあの魔物がうじゃうじゃ、お宝ザクザクのダンジョンですかっ?!

《ほっほ……そうじゃ、そのダンジョンじゃ》

あっ……すみません……心の声がダダ漏れだった様で……恥ずっ……


《これを機に『町』を作るが良い

必要な者や物は徐々に集まるであろう……》

神官殿は驚いてはいたが、はは〜って感じで頭を下げていた

《今ある村の場所は『精霊の森を守る社』とし、南に町を……良いな……》

「承知致しました、早速準備に取り掛かります」

神官殿は村へ戻って行った……

えっ?!それだけで分かったの?! もう行動するの?!

ほぇ〜凄いな〜こんな話聞いてすぐに動けるなんて……


《サクラよ……お主のおかげじゃ……》

精霊様がさっきとは変わって穏やかな声で語りかける

《闇魔法が現れた時、儂は正直人間を助けるつもりがなかったのじゃ……》

えっ?!それって……

《じゃが、お主が現れた……

人間が儂の力に頼らず、闇魔法と戦うのなら……と、神官にお主の存在を伝えたのじゃ……》


《お主は秘めておる力とは裏腹に人間に見えたからのぉ〜》精霊様が面白がる様に言った


《全てが終わり、村人にお主が言った言葉……

儂は自分が驕っていた事に気付いた……

そう……精霊も人間も魔物も……

この世界の全てが共にある事を忘れておったのじゃ……

その事にお主に気付かされた……

儂もまだしばらく、この世界で共に生きたいのぉ〜》

最後は少し照れた様な声色に聴こえたのは気のせい……かな?


《サクラよ、町作りに力を貸してやってはくれぬか?

儂らは本来ならば人間の生活には干渉せぬのだが……

お主を通して今回は少しばかり手助けする事としようぞ……

あの温泉()も望む場所に作る事が出来るからのぉ……》


おぉー、確かに『温泉』がある町として栄える事が出来そうよね……

湯治としても良さそうだし……

それにダンジョンが出来れば、確かその周りって発展していくものでしょう?!

凄いっ、どんどん発展して行きそうじゃない!


《それからサクラ……

お主をこの地に呼び寄せたのは儂ではないぞ……

もっと……もっと大きな力じゃ……》


えっ?!聞こうと思ってた事……

先に答えられちゃった……

精霊様じゃなかったんだ……

『もっと大きな』……って……


《お主にはこの世界で成すことがあるのじゃろうなぁ〜》精霊様は独り言の様にポツリと言った……


『私の成すべき事』……ってなんだろう??

……う〜ん、考え付かない……

頭をぐしゃぐしゃと掻いた……


《おぉ〜そうじゃ、もうひとつ……

シェリーと天にも能力(ちから)を授けたでのぉ〜

上手く使うと良いぞ〜》

そう言うと精霊様は不意に消えた……


《困った時は森に助けを求めよ……

大地が力になってくれよう……

それから……精霊の森は他にもあるからのぉ……

機会があれば訪ねてみるが良かろうぞ……

一筋縄ではいかぬ精霊(もの)もおるがのぉ〜

ふぉっふぉっふぉっ》

精霊様の声が響いた……


最後の一言が凄〜く気になるんですけどぉ〜

だけど『精霊の森』かぁ〜

この森の精霊様は『土の精霊様』だったよね

って事は、他には『風』『水』『火』の精霊様が居らっしゃるとかなのかな?

まぁ、精霊様になんて簡単にお会い出来る訳じゃないだろうし……


その前の『シェリーと天ちゃんに力を授けた』って何っ??

さっき二人を呼んだのはその事??

わぁ〜どんな力なんだろう??

早く戻って二人に聞かないとっ!!

私は小走りに村へ戻った


村へ戻るとアレクが駆け寄って来た

「サクラ様、お待ちしておりました、神官様がお待ちです」と、私を神官殿の元へ案内してくれた


「サクラ様……どうか我々に力をお貸し下さい」

神官殿をはじめ、村長さんやこの村の主要人物と思わしき人たちが一斉に私に頭を下げた


「あ、頭を上げて下さい……」私は慌てた

こんな小娘にお偉いさん方が頭を下げる姿なんて落ち着かな過ぎる……


「村の……いや、町の将来の為にはサクラ様のお力が必要なのです。どうか……どうかお願いでございます」

更に頭を下げられ……私は困惑しつつも

「私に何が出来るかは分かりませんが……

私で力になれる事があるのなら……」

言い終わる前に「ありがとうございます」と神官殿が前に出て来て私の手を取った……

いや、だから近いって!!あなたの距離感は!!


☆☆☆☆☆☆


ダンジョンが産まれるまではまだ時間が掛かるらしい……

それまでにある程度の町を作っておきたい

大きな町を手本に建物を作る事は出来る

しかし、あの『温泉』が分からない

どうやら私に助けて欲しいのは、『温泉』をどうすれば良いのか知恵を貸して欲しいと言う事だった

なるほど、やっと事情が飲み込めた……


私は日本有数の温泉地を思い浮かべたが、

まずは『スーパー銭湯』的な『大衆浴場』について説明した

そして、誰にでも気軽に利用して貰える事から始め、

温泉付き宿や、長期滞在向けの宿など広げて行くのはどうかと提案した


精霊様のお力で、『温泉』は何処にでも引く事が出来るって言うのが最大の強みだ

建物にスペースさえ確保しておけば後付けて『温泉』を入れられるのだから……

『男湯』『女湯』『露天風呂』貸切が出来る『家族風呂』

宿には『大浴場』部屋に付ける『内風呂』などはどうかな?

『浴場』以外にも『脱衣所』とか『休憩スペース』とかも必要よね

鍵付きのロッカーとかは難しいかな?

治安はどうなんだろう?

脱ぎっぱなし、置きっぱなしでも平気なのかな?

まずは『脱衣籠』をあずかる形でスタートするのが無難……?

利用客が増えたりして管理が難しくなって来たらまた考える?

たまに利用していた『スパ』を思い出してあれこれ考える

泉質が違えば効能別に更に細かく出来るのけど、それは出来そうにないのがちょっと残念……

そんな事をひとりブツブツと考えた


とりあえず……

まずは休憩スペースを含む『銭湯』……『大浴場』と

宿泊者の為の宿を建設する事になった

大まかな案を作り、建設に携わる人々が到着次第、具体的な事を詰めるそうだ


それまでに、村人の引越しの為の準備や、現在の村の場所を『森の精霊様の社』へ造り変える作業等、しなければならない事はてんこ盛り……


私は出番が来るまでゆっくりなさって下さい……と言われた……

町を作るってどれだけの時間が掛かるのだろう……

私はそれまでずっとここに??

いや、この村の人達はみんな良い人ばかりでここに滞在するのは問題ないのだけれど……


なんか……大掛かりな話になってしまって面食らってるって言うのが正直な気持ちだったり……

シェリーや天ちゃんに相談もしないで協力を決めちゃった事も気になってる……

早くシェリー達の所へ戻って説明しなきゃ!

と、私はシェリーと天ちゃんの元へ急いだ


今更だけど、私はこの世界について知らなすぎる……

この村は自給自足的な生活をしているみたいだけど……

でもね〜、なんかそれだけじゃない感じがするんだよね

この村には学校的なものがあるようには見えないんだけど、みんな教養があるって言うか……


うん、そう! みんな凄く賢い!!

そしてみんな素直で良い子ばかりだ……それは普通?


商店的な物もないのに生活水準は決して低くはないし……

この村は謎すぎる……


この村の事もだけど、この世界についてももっともっと知らないと……ってか知りたい!!

そんな『知りたい』気持ちがムクムクと湧き上がって来た



――つづく――

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