15精霊の森で野営
原っぱにテントを出す前……
先に結界を張る事にした
闇魔法をまとった魔物が大量に押し寄せて来ても大丈夫なのかは少し不安があったが……
……気持ち『光魔法』も込めて見た……
シェリーにアイテムボックスからテントを出して貰うとまたしてもブラザーズがポカンとしていた
アイテムボックスの容量もなんだろうけど、テントは……この世界にもあるよね?
素材? いや、この距離じゃ素材なんて分からないだろうし……
やっぱりまんまで出てきた事に驚いてるのかな?
何やら2人で「精霊様の御使い様なんだ、もう何があっても驚くのは止めよう」なんて言い合っているのが聞こえた
……うん、そうして下さい
私だって不思議に思ってるんですから……
テントを用意して、中で食器の用意をする
これから夕飯を食べるのだけど、さすがにいつもの容器のまんま出す訳にはいかない……
大きさや深さなど数種類のお皿やお茶碗、お箸にコップ等購入……
なるべくこの世界でもありそうな地味な物を選んだ……
そして購入したお弁当達をお皿に載せて……
……まぁ、見栄えなんて気にしなくて大丈夫
お腹のなかに入れば同じなんだから
……くっ……酷い……
私のリアルはここまで酷くはなかったと思うぞ〜
あの『弱点』って……誇張し過ぎじゃない?
と、憤慨してみたが誰が応えてくれる訳でもないので余計に凹んだ……
シェリーはあえてなのか? 何も言ってくれなかった……
……いや、私の心の声は聞こえない様にする事も出来るんだっけ……
天ちゃんはちょっとつまみ食いしたりしてシェリーに叱られていた
あ〜その前にブラザーズ達のテントも用意しなきゃだから……
冷めるのも勿体ないのでとりあえずアイテムボックスにしまってもらった
外に出ると、ブラザーズは火を起こして焚き火を作っていた
流石だね〜なんか『The 野営』って感じ
テントを組み立てを手伝って貰って……
ほぼ2人で組み立てましたが……
2人にはこの中で休んで貰う事にした
交代で見張りをすると言うので素直にお任せする事にした
結界を張っているから大丈夫だと思うけど、相手は未知の『闇魔法』だしね……
もちろん2人には結界を張ってある事も、『闇魔法』に有効かは断定出来ない事も話しておいた
そして、何か異変を感じたらまず私達を起こす事、絶対に2人だけで判断しない事を約束して貰った
食事は好評だった
最初は見た事のない食べ物に躊躇していたが、
……断じて盛り付けが綺麗ではない事が原因ではない!!……と、信じたい……
美味しそうな匂いと、バクバク食べてる天ちゃんを見て恐る恐る口にした……
一口食べてからのスピードは凄かった……
あっという間に出した食事を平らげ……
ちなみに私はほとんど食べずに2人の食べるスピードに呆気に取られていた……
しこたま食べて我に返ったのか、
「すみません……あまりに美味くて……」と2人そろって顔を真っ赤にしていた
「大丈夫だよ、 美味しそうに食べてくれるのは嬉しいし、おかわりいる? 」と聞くと、
「はい」と良い返事が返って来た
「やっぱ男の子だね〜よく食べるわ〜」なんて呟きながらお弁当の追加を購入した
食事を終えて私達は自分のテントに戻った
流石に今日は疲れた……
天ちゃんも疲れたのか、布団の上でスヤスヤ眠っている
色んな事があり過ぎた……
『精霊様の御使い』とか言われて
『闇魔法』の存在に自分の『光魔法』
まだ見合っていない魔法の使い過ぎで倒れたり……
精霊の森を、精霊様を助ける事を決めたり……
これ全部今日の出来事だよね?
何だがもう随分時間が経った気がしてしまう
今頃言っても遅いけど、今日は一晩村に泊めて貰って明日の朝出発でも良かったんじゃない?
なんて事を思った……
なんか勢いで出てきちゃった感が……
「明日の朝ここに来れば野営しなくても良かったのかもね?」
シェリーにそんな事を言ってみる
「……お気付きになりましたか? 」
シェリーがにこやかな声で言った
「サクラ様が直ぐに出発されて神官様達も戸惑っておられましたよ? 」
「………………っ!」
えっ??え〜〜っ?!そうなの??そうなの〜!!
だったら止めてよ〜
わ〜ハズっ!!ハズい!!恥ずかし過ぎるでしょ〜
「恥ずかしいよぉ〜〜」
私はしばらく布団の上を右に左にと転がり続けた……
☆☆☆☆☆☆
そんなこんなで一夜が明けました……
恥ずかしい事に気付いたけど、やっぱり疲れてたからか直ぐに眠りに落ち朝までぐっすりでした……
ちょっとブラザーズに会うのが恥ずかしい……
「おはよ〜」と既に起きていたブラザーズのそばに行くと何故かハイテンションな2人がいた
「「サクラ様、おはようございます」」
息の合った2人だ……ピッタリ声が重なってた
「サクラ様の結界、凄いですね」
「魔物が俺たちに気づかないんですよ」
「気付いたヤツもいたけど、
結界にぶち当たって……驚いて逃げたんです」
口々に昨夜体験した事を報告してくれた
へぇ〜……私はこれまでも結界張っただけで、その後なんて気にしてなかったな〜
結界の回りではそんな事が起こってたのね〜
と、逆に真実が分かってテンションが上がった
「それで、それで??」と、どんな魔物が現れたのかブラザーズの話を聞いた
概ね、昨日対峙した魔物だったが、森に居る虫系の魔物もいたそうだ……
「虫か~ちょっと苦手かも……」そう言うと
「大丈夫ですよ、俺たちがいます
それにそんなに凶暴なのは居ませんでしたから」と、ブラザーズ達が胸を叩いた
そう言えば……
昨日も思ったんだけどこの森の魔物ってランク?
強い魔物って居ない様な……
「ねぇ、アレクアレス、この森ってランクの低い魔物しかいないの? 昨日から闇魔法のあのモヤは厄介だけど、どれもそんなに強くなかったよね? 」
「それは精霊様のお力だと思います」
「この森は精霊様に護られていますから」
ブラザーズが言う……
…………
えっ? それでお終い?
「ごめん、もう少し詳しく説明して貰えるかな? 」
ブラザーズ達の頭上に????が見えた気がした
「この森にはほとんど魔物はおりません
精霊様の護りがあるので魔物が生まれにくいのだそうです
全く生まれない訳ではないので多少はいますが……」
と、アレスが言う
「俺たちもこんなに沢山の魔物を見たのは初めてです
それにいつもより凶暴でした
俺たちも森の見回りで魔物を狩ったりしますがベアなんて初めて見ました」とアレクが続いた
「ええ、昨日も言いましたが、急に魔物の数が増えたんだと思います
ベアもですが、ウルフなどもこの森には居ないはずです」アレスが言った
そして少し考え込む様に顎に手を当てて言った
「精霊様の護りが弱くなって……いや、そんな事は……」
もし闇魔法を仕掛けて来てるヤツらの目的が精霊様だったら少しずつ弱らせて……って言うのは考えられるかも……
「とにかく精霊様の祠へ急ぎましょう
……その前にご飯、朝食にしましょう!!」
ブラザーズは朝からガッツリで大丈夫そうなので……
ファストフードのハンバーガーをあれこれ見繕って山盛り出した
思った通り、ブラザーズは朝からモリモリとハンバーガーを平らげてくれた
私はそれを見ていただけで何だがお腹一杯になった気分になった……
なので軽く、ハッシュドポテトとコーヒーあとはアイテムボックスに常備してあるヨーグルトで朝食を済ませた
お腹も膨れたし、精霊様の祠へ向かうとしましょう!!
――つづく――




