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14 精霊の森の中

新たな仲間も加わり、私達は精霊の森に足を踏み入れた

森は、何だが薄暗くヒンヤリとした空気が流れていた……

闇魔法のせいか、私の思い込みかは分からないけど……

一応、アレクさんとアレスさんに聞いてみる

「ねぇ、アレクさんアレスさん……

この森ってこんなに……怖い感じの森なの?」


「いえ、この森は精霊様の護りで綺麗で穏やかな森です」アレクさんが答える、続けてアレスさんが

「……そうです、この精霊の森はとても美しい森なのです……なのに……なぜこんな……」

悔しそうにギュッと拳を握りしめた


「……そっか……分かった!!

取り戻そう!!本来の森の姿を!!」

私達は決意を新たに森の奥へと進んだ


私達が最初に出逢ったのは大型犬に似たファングと呼ばれている魔物だった

大きさや色で〇〇ファングと名前が変わるらしい

〇〇が付いている分強さも増す

私達が対峙したのはファング系の1番弱いポピュラーな魔物らしい


これまでの様に動きを止めて……

闇魔法の黒いモヤを祓う

モヤが無くなっても魔物は好戦的だった……

「天ちゃん」と声を掛けると天ちゃんの雷属性の技が炸裂した


天ちゃんの攻撃が魔法なのか良く分からない為『雷属性の技』も呼ぶ事にシェリーと決めた


おそらく『雨属性』の技や『雪』……『氷』かな? まぁ、その辺の『雪・氷属性』の技も使えるのではないかと想像出来る


シェリー曰く、私が雷魔法を使うので天ちゃんもそれに倣っているのではないかと言う話だ


って事は、雷魔法以外の魔法も天ちゃんに見せた方が良いって事なんだろうな〜と漠然と思う


ただ、1度発動してしまうと次からの発動が楽なのよね……

だからつい雷魔法に頼ってしまう……


今後、雷魔法が効き辛い魔物と対峙する事もあるだろう……雷属性の魔物とか?

そんな事も考えると偏りなく色んな魔法を使える様になっていた方が良い……

……善処します……


今対峙した魔物は幸い1体だった為、『光魔法』を発動しても平気だった

やはり1度発動した魔法を使うのは負担も軽減される様だ


私と天ちゃんの様子を見ていたアレクさんとアレスさんは何だがポカンとしている……

あ〜天ちゃんの攻撃見たの初めてだもんね

まぁ、いいか……


「シェリー、ファングって食用? 貴重な部位とかあるのかな? 」

「いえ、ファングは食用に適さないかと……

大きな個体だと牙等が素材として使われる様ですがこのサイズでは……」

「そっか、じゃぁ埋めて焼却した方が良いかな? 」

と、私は『土魔法』でファングの下に穴を作り『火魔法』でファングを焼却した


アレクさんとアレスさんは更に目を見開いてファングと私達を見た

……ごめん……また驚かせた……


「シェリー、地図に魔物の位置とか出せる? 」

「はい」とシェリーの声と共に地図が出る


2人はついにペタンと地べたに座り込んでしまった


「ごめんね、驚かせて……大丈夫? 」

私の声にハッと正気に戻り私を見つめた……


「え〜と、今のが私たちの能力? 」

「天ちゃんは攻撃出来るし結構強いと思うよ? 」

「そしてシェリーはこんな風に敵の位置や数を表示させる事が出来るの」

凄いでしょう!!と言わんばかりに自慢げに語った


「す、凄いです!!」

「さすが精霊様の御使い様です!!」

……御使いじゃぁないけど……まぁ、良いか

その方が都合良さそうな事もあるしね……


それにしても……

シェリーの出した地図に表示された魔物の数は多かった……


「あなた達、精霊様の祠まで行ったのよね?

こんなに魔物居て大丈夫だったの? 」

「……いえ、俺たちが入った時は魔物は殆ど居ませんでした……」

「精霊様の祠に着いた時に魔物に囲まれて……」


……なるほど……

急激に魔物の数が増えたって事なのね……

もしかして私たち敵としてみなされたのかな?

これは気合い入れて行かないと!!


シェリーの出してくれた森の地図は魔物は白い丸で、真ん中より少し上には緑色の光る点があった

もしかしてこれが『精霊様の祠』?


「ねぇ、アレクさんアレスさん、ここが精霊様の祠? 」と緑の丸を指さした

「あ〜はい、位置的にそうだと」

「あの……サクラ様……我々の事はどうぞ呼び捨てて下さい……さんを付けられるのは……」

……私は基本、呼び捨てはしない主義なんだけど……

これまでの流れからは仕方ない……かな?

「……分かった、じゃぁ、アレクにアレス、よろしくね」


「シェリー、この白丸の大きさの違いは何?

もしかして魔物のレベルの違いとか? 」

「はい、大きいほど強い魔物です」

「なるほど……じゃぁ、この辺の魔物を討伐してレベルアップしよう」と地図を指差し歩き始める


「さ、サクラ様! そちらではございません」

シェリーの声に立ち止まり振り返るとブラザーが慌てた様子で追いかけて来ていた


……ごめん……私、地図読めない人だったわ……

いわゆる『方向音痴』ってヤツだ

これまでも初めての場所で自分がどの方向を向いているか分からずケータイのナビを手にグルグルと方向転換して確認してた……

初めての場所は……いや、過去に行った事があっても時間が経てば忘れる……ナビがあっても迷うので到着時間には余裕を持たせて出掛けていた……

たまにすんなり到着して時間を持て余す事もあったが、時間に遅れるよりは全然良い


そんな過去を思い出しながら……

「ごめん、シェリー、私地図読めない

この地図……進行方向を上に持って来る事って出来る? 」

「……進行方向を……ですね……はい、承知いたしました」

地図がクルっと回転した


「アレク、アレス、ごめん」と頭を下げ

「私地図読めないから……

この地図、進行方向を上にしてもらった

方角……方位? とか無視して」と手を合わせた「わ、分かりました……」

ブラザーズは首を傾げながらも了承してくれた


そうか……さっき魔物と戦って……

埋めたりしてて入ってきた時と違う方向を向いてたんだね……

だから地図の方向が変わった……

……いや、地図は変わらない、私の方向感覚がダメなだけだから、うん……

だけどこればかりはしょうがない……


とにかく!!前に進めば目的地に辿り着くのよ、うん、それで十分

私以外の人は地図が見辛くなったのかもだけど……ごめんっ! と、心の中で手を合わせた


気を取り直して、比較的数が少なくて強くなさそうな魔物の群れを選んで移動を開始した


その後、対峙したのはファングや狼の様なウルフ系、イノシシの様なボア系、草原でも出逢ったホーンラビット達と戦闘を繰り広げた


ボアのお肉や牙・ホーンラビットのお肉や毛皮等、価値のあるものはシェリーに解体をお願いした


ブラザーズはまた呆気に取られた表情で解体が終わり肉の塊と毛皮に分かれた魔物を見つめていた


最初の頃は不要な内蔵等もアイテムボックスに入れていたが今は焼却処理している

どうやら解体処理をすると不要な物は自動的にアイテムボックス行きになっていたようだ


村の精鋭と呼ばれるだけあってアレクとアレス兄弟は強かった

動きに無駄がない……って言うのかな?

戦い慣れている感じがした


私の『光魔法』も精度を上げて行った

戦闘直後は多少の頭痛を感じたが、回復も早かった

良い感じでレベルアップ出来ているのだろう


陽も傾いて来たのか、薄暗かった森の中が更に暗くなって来た

そろそろ今晩の野営場所を探した方が良いかもしれない


「シェリー今晩休める所、この辺にありそう? 」

私がシェリーに調べて貰おうと声を掛けると

「それでしたらこの先に少し開けた場所があります」

と、アレスが言った

子供の頃から精霊の森は遊び場で、この広い森も庭の様なものだと2人は屈託なく笑った

そっか、そんな大切な森だからこんな事になって居ても立ってもいられなかったんだろうね……


「こっちです」とブラザーズの後を付いて行く


っ!!!!皆が身構える……

何か来る……今までの魔物より強い何かが……


………っ!!

熊〜〜!!

熊が凄い勢いで走って来るっ!!

ど、動揺している場合じゃない!!

私より先にブラザーズは戦闘態勢を取っていた


そして天ちゃんも……

私より先に魔物に……ベアと言うらしい

……まんまだね……

電撃を浴びせて魔物を動きを止めてくれていた

ベアは、強力なスタンガンでも浴びせられたかの様に体勢を崩していた


……いやぁみんなホント優秀だねぇ〜

……私が気を抜き過ぎてるだけかもだけど……

既に休憩する体になってたし……反省……


ってそんな悠長な事考えてる場合じゃぁない!

ベアは少しずつ電気ショックから立ち直りつつあった

私は意識を集中して黒いモヤを剥がして消滅させた

これまでの魔物より大きくて強さもあるせいか、少し時間が掛かった

闇魔法を解いてもなお襲って来るベアをアレクとアレスが華麗に倒す……

う〜ん、一段とキレが良くなってる気がする……

もしかして彼らもレベルアップしてるのかな?


ベアのお肉も美味しいらしい

そして、毛皮も価値があるという事で

シェリーに解体をお願いした


ブラザーズに案内された場所は原っぱの様な場所でテントを出しても余裕の広さがありそうだった


――つづく――




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