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#11 ペタの村へ到着

ペタの村を目指して天ちゃんが飛ぶ……


天ちゃんの乗り心地は抜群で振動もほとんど無く、空中を滑る様に進んで行った


スピードにも少しずつ慣れて行き、オープンカーで草原を疾走している感じまでスピードも上がった


そして、ずっと草原だった風景に変化があった

遠くに森が見える……

……でも……


「ねぇ、シェリー? あの森……何か変じゃない? 何か……嫌な感じがする……」


……っっ! 何か来る!


魔物の気配を感じてそちらの方向に意識を集中させる

黒いモヤの様な物を纏った大型犬?

そんな魔物の群れが私達目掛けて突進して来た


モヤも変だけど何か……魔物の様子がおかしい感じがする

顔つきがおかしい?

焦点が合ってないって言うか……

何か凄く嫌な感じがする……


でもあれは魔物だ……

今は襲って来る魔物に集中しなきゃ……


この距離ならまだ冷静でいられる

意識を集中して魔物に照準を合わせ唱える……

「サンダースパーク」

魔物達は雷に打たれた様にその場に倒れた


「よしっ、出来た」軽くガッツポーズ

「……サクラ様、今のは……」

シェリーが驚い様に呟く

「ふふ〜ん、凄いでしょう?

私も頑張ってイメージトーニングをしたのよ」


☆☆☆☆☆☆


これまでの私は、夕飯後はテレビを観たりゲームをしたりネットしたり……

そんな毎日を過ごしていた


でもこの世界にはそんな物は無い


……とは言っても一応試したりはした……

だってケータイが手元にあるのだから……

でも、予想通りテレビもゲームもダメだった

ニュースも天気予報も見れない

『プライム○○』『○○フリックス』『ティー○○』とかも開かないし、メールも電話も出来ない……


とはいえネット全く使えない分けではない……

『魔物』なんて検索するとズラズラ〜と情報が出てくる

何処に基準があるのか分からないが、情報を得る事が出来るものもあるようだ


そしてデリバリーや通販サイトは利用出来る

どうしてそんな機能だけ生きていてこの世界と繋がっているのかは謎だけど……

そういう仕様なんだと深くは考えないことにしたした

だってもしこのデリバリーや通販機能がなかったら、私はとうに詰んでいたと思うから


そんな訳で、これまでの様にケータイを触る目的を無くした私は時間を持て余したのだっ!


この世界で生きて行く為……

そしてシェリーや天ちゃん……

大切な仲間を守りたい……

その為の力が欲しい……

強くなりたい……


そんな想いから私は夜な夜なイメージトレーニングをしたのだった


ステータスは高い

だからこの力を上手く使える様にならなければ……

剣を持って戦うイメージは難しかったけど、

魔法の方はイメージを広げ易かった


持っている魔法のイメージを広げて魔力を練りだし攻撃するイメージを膨らませた

実践になってどれだけ力が出せるか分からないけど、イメトレだけでもしないよりした方が良いに決まってるから……


☆☆☆☆☆☆


「私はステータス値が高いみたいだけど、ハリボテでしょう? 力は持ってるのかもしれないけど、それを有効に使う事が出来ない」


魔物の姿にテンパってばかりじゃ始まらない……


「だからイメトレしたの

魔法を自在に使える様になるにはどうしたら良いのか……

効率的な魔力の引き出し方、発動の仕方……

まだまだ分からない事だらけだけどね」


何だかシェリーは呆気に取られてるいる感じがする

そんなに意外? 私が魔法の練習してたってこと


「申し訳ございません……

夜になるとお声掛け出来ない雰囲気でしたので何をしていらっしゃるのだろう? とは思っていたのですが……

サクラ様……訓練をされていたのですね」


「うん、うん。そうなの! 」

頑張ったのです! 褒めて褒めて……


っ……また何か来るっ!

今度は狼の様な魔物だっ

「サクラ様、あれは〜」

と、魔物の説明をしてくれる……

ありがと、でも今はあれに集中したい……


そう言えば最初の魔物も説明してくれました……

大型犬みたいな『ファング』?

狼みたいなのが『ウルフ』

……まんまだね……

まぁ、色とかサイズとかで名前が違うらしいけど……


……と、そんな事はどうでも良い!

近づいて来る魔物に集中しないと!

意識を集中していると目の前が真っ白になった

……えっ? 天ちゃん?

天ちゃんが私の前で大きくなっている


「天ちゃん? どうしたの? 魔物が来るからそこ……」


えっ? え〜〜っ!


魔物たちの頭上にいきならり雲が現れた……

そしてその雲から多数の雷……の様な稲光が……

魔物たちはその場に横たわった……


……うそ……今の天ちゃん?

す、凄っ! 凄すぎるでしょう!


「天ちゃん? 今魔物たちに攻撃したの天ちゃんだよね? 」天ちゃんに尋ねる

天ちゃんはどうして良いのか分からいって感じでモジモジしていた


「凄いよ天ちゃん! 私の事、守ってくれたんだよね? ありがとう〜」

そう言いながら私は天ちゃんを抱きしめた

天ちゃんも嬉しそうに私の腕の中で擦り寄って来た


「サクラ様? 今のは天ちゃんの攻撃なのですか?」

「うん、そうみたい、凄いねっ! 」


「……確かに凄いですが……

サクラ様はどの様な能力を天ちゃんにお与えになったのですか? 」


「んっ? 能力??」


「備わっていない事は出来ないのではないのでしようかか? 」

「……あぁ〜そうだね……

能力……って言うか……

天ちゃんは雲だから、雨雲とか雷雲とか雪雲?

そんな雲のあれこれを呼び出せたら良いかなぁ〜とかイメージした」


シェリーが額に手を当てて天を仰いだ……

気がした……


「それから……」

「まだあるのですかっ? 」

シェリーが呆れた様な声を出した

「うん……色のバリエーションとかもあると良いな〜とか」

「………」

慌てて付け加えるように

「夕焼けに染まる雲って綺麗じゃない?

雨雲とかだったらグレーかな〜とか、

雷の稲妻はゴールドかな〜とか?

それから雲って元は透明だから透明もありかな〜とか」


「承知いたしました……

申し訳ございませんでした」

「んっ? どうしてシェリーが謝るの?」

「サクラ様の説明を遮ったのはワタクシでした

最後までサクラ様のお言葉を聞こうとしかなったワタクシの失態です……申し訳ございません」


……そうだっけ?

でも失態って、そんなオーバーな……

「大丈夫だよ、私もちゃんと説明しなかったし……」


……って言うより天ちゃんにこんな事出来るなんて思ってなかったし、知らなかったしっ!

私だって驚いてるんだから……


なんかまたシェリーに怒られそうで声には出さなかった……ごめん、シェリー


「それにしても……あの魔物変だよ……

あの黒っぽいモヤって何?」

とりあえず話を逸らそう……


「モヤって言うか、黒いオーラって言うか……」

倒れた魔物を指先して確認する……

あれっ? 魔物は?

「シェリー? さっきの魔物、解体してアイテムボックスに入れたの?」

「いえ、まだですが……」

シェリーも魔物がいなくなった事に気付き声にならない悲鳴をあげた……

気がした……


「どういう事でしょうか? 」

先に立ち直ったシェリーが言葉を発した


「……あの魔物達、何か変だったよね?

モヤみたいな黒いオーラみたいなのをまとってて……」


『闇魔法』……って言葉が浮かんだ……

この一連が『闇魔法』のせいとは言いきれない……

けど……この何だか凄く嫌な感じは『闇魔法』の悪い部分な気がする


あの魔物たち……あのモヤに操られてたのかな……


『闇魔法』がどんな魔法なのか正直詳しくは分からない……

確かに、危険な……邪悪なイメージもある

でも、それだけじゃない……とも思う


でも闇魔法だろうと他の魔法だろうと……

魔物を操って攻撃させるなんて許せないっ……

消えたって何? 消滅したの?

それとも操ってる者の所へ戻ったの?

……胸の奥がチリチリとした……


ふぅ〜〜大きく息を吐いた

ここであれこれ考えたってしょうがない

行こう!!

根源はあの黒いモヤに包まれた森にあるに違いない……

そしてあの森の近くには『ペタの村』がある……

村の人達は大丈夫だろうか……


「急ごう……」

私達はペタの村へ向かった……


☆☆☆☆☆☆


……魔法は思いの外上手く行った……

それに思いがけない天ちゃんの援護射撃もあった……

……それでも……本当はめちゃめちゃ怖かった……

膝がガクガクしていた……


でも……

私をサクラ様なんて呼んで敬ってくれるシェリー……

私の思いつきの様な召喚魔法で生まれたにも関わらず私に懐いてくれる天ちゃん……


私はこの世界に来てから正直もうダメだ……

お終いだ……

こんな訳の分からない所から逃げ出したい……

って思ってたのに……


ほんの数日一緒に居ただけの2人だけど、

私には全てになってしまった……

失いたくない……

今は 空元気でも強がりでも良い……

私は……私は強くなりたい


☆☆☆☆☆☆


程なくして村の入口が見えて来た

柵に囲まれた村……

入口から、中に見えた村人? に「こんにちは〜」と声を掛けてみる


ギョッとした表情で私を見て皆が止まった……

あれっ? なんかまずい雰囲気……かな??


「御使い様じゃ、精霊様の御使い様がおいでなされた〜」

村人が叫び声を上げながら村の奥へ走り去った……


えっ? 精霊様のミツカイ????


――つづく――






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