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背景の動物に転生したシリーズ

乙女ゲームの背景の子猫に転生しました。せっかくなので、シナリオの行方を観察します

作者: シャチ

設定ガバガバ、背景の生き物転生シリーズの2作目です。

こんにちは、子猫です。

人間の方々からはいろんな呼び方で呼ばれます。

猫名はニア、前世は日本で人間をしていました。


私が前世の記憶を思いだしたのは数日前。

カラスに襲われて思わずこの学園の中庭にある木に上ったはいいものの、あまりに高くて怖くて降りられなくなっていたところ、一人の女の子が助けようとしてくれようとしたのです。

それが、私が前世で楽しんでた乙女ゲームのヒロインであると分かって、思わず落下。

ヒロインの腕の中に落っこち、バランスを崩したヒロインを王太子殿下が受け止めるという乙女ゲームのフラグを担う”背景の子猫”だと分かったのです。

なお、ゲームにはこの後この子猫は出てきません。

ライブ2Dのゲームだったのですが、アイテムや小物の変更はできますが、手荷物などのアクションはゲームになかったので、受け止められたスチルがなく、木の上でおびえているスチルにだけ出てくるのが私、ニアというわけ。


この乙女ゲーム、異世界転生モノの流行からヒロイン選択式でどちらの主人公を選んでも異世界転生者としてプレイヤーになり、断罪回避or攻略対象との恋愛をたのしめるゲームでした。


1)男爵家に引き取られた平民の娘

2)筆頭公爵家のご令嬢(王太子の婚約者)


どうも1)は王太子攻略ルートに入ったようです。

私アイツ顔だけだから好きじゃないんだよな…ぶっちゃけアホだし。

さて、これでもう私のゲーム本編への出番は終了してしまったわけで、後は好きに生きればいいのだろう。

猫だし。

しかし、現時点で私がいるところはゲームの舞台である貴族学校。

こんな野良猫がうろちょろしていていいのだろうか?

ヘタに保護しようとした生徒とかをひっかきでもしたら、物理的に首が飛びそうな気がするのだが…

折角なので、ゲームでは語られない箇所の探索をしてみよう。

ゲーム本編では主人公のマップ移動指示の時、校庭などに猫のイラストがあったから、きっとうろつけるはずだ。

流石に校舎内には入れないだろうが。


一通り敷地内を探検してみた。

魔法の練習や剣術を教える場所もあるせいか、思ったよりも広く、隠れられる場所もたくさん見つけた。

ゲームイベントのスチル発生個所についても校舎外でのイベント発生個所を確認して同じであることが分かった。

聖地巡礼みたいで楽しい。

何度か見回りの騎士の人とすれ違ったが、特に誰にも気に留められなかった。

植木を揺らしてしまい、不審に思った騎士の人に見つかった時も、「なんだ、猫か」の一言だった。

なので、試しに正門から堂々と出たり入ったりしてみたがお咎めなしだった。

猫、どこへでも行ける。

なんなら主人公選択によっては近寄れない箇所にもいくことができた。

例えば、男爵令嬢だと入れる下級貴族寮も、公爵令嬢がいる上位貴族寮もどっちの中庭にもお邪魔できた。

なんなら、男子寮に食堂裏とか騎士訓練場裏とか。

後、食堂裏では優しくて恰幅の良い食堂のおばちゃんがご飯をくれた。

貴族飯の残飯はとても美味しかった。


勝手気ままに生活をして数日が過ぎたころ、魔法訓練場でダブルヒロインの片割れ、公爵令嬢を発見する。

魔法の授業中のようだ。

たしか、こっちの公爵令嬢は成績上位者で常に1位をキープしている才女だったはず。

ちなみに、彼女のルートを進めると、育成ゲームのようになる。

ヒロインにかかわりすぎると成績も落ちて、冤罪による断罪で国外追放になるのだが、勉強や魔法訓練を重ね、成績上位をキープし、学校が休みの時に孤児院へ訪問したり、生徒会の仕事を率先してやることで、悪役令嬢ゲージを減らして、周りからも認めてもらえるようにすると、断罪を回避できる。

遠目から見た限りは皆からも慕われているようで、悪役令嬢ゲージはしっかり低そうだ。


この場合どうなるんだろう?

男爵令嬢を選択すると、公爵令嬢を断罪ざまぁできるんだが、その断罪対象がきっちりと断罪回避で動いている。

公爵令嬢ルートで成功すれば、逆ざまぁ発動なわけだ。

ちょっと面白そうなので観察を続けてみることにする。


*****

いろんな人たちと仲良くなっております。

食堂裏ではおばちゃんからお昼をたっぷりもらい、正門の兵士からお菓子のクッキーをもらい、強面の剣術の先生からミルクをもらう日々です。

狩り?したことないわ。

モブですらないキャラから慕われている。

なかには外のサロンでお茶をしているご令嬢の膝の上でお昼寝させてもらったりしている。

お菓子ウマーであるよ。

公爵令嬢はその地位を盤石としているらしく、お茶をする生徒たちは称賛していた。

対して男爵令嬢は尻軽女と陰口をたたかれている。

猫の前では口の軽い方々ばかりであるよ。

王太子殿下への不敬ともとれる発言も多く聞いた。

これは、逆転ざまぁルートかな?

最近、男爵令嬢は本来なら立ちはだかるライバルの公爵令嬢を見つけられなくて学校中うろうろしているらしい。

とうの公爵令嬢は一般の生徒が入れない生徒会室にいるか、外出許可を得て孤児院改革だとか教育改革をしているらしい。

どちらも転生者という設定があるので、現代日本を知っているはずだが男爵令嬢ちゃんは逆転ざまぁ回避を考えないと身を亡ぼすぞ?


そんなことを思っていたら、男爵令嬢に動きがあったようだ。

なんと、他国へ嫁ぐらしく急遽留学ということになったらしい。

まさかのヒロイン退場である。

ゲームシナリオ通りだと逆ざまぁされて国外追放なのだが、罪に問われる前に逃げたようだ。

そこで取り残されたのが男爵令嬢側の攻略対象達。

ご令嬢達のお茶会に愛想振りまいてお邪魔して話を聞くところによると、どの殿方も婚約者がいるのに男爵令嬢にうつつを抜かしていた事をとがめられ、婚約者の令嬢たちは円満に婚約を解消し慰謝料をもらったらしい。

家によっては家督は弟や妹に変わったところもあるとか。

王太子殿下も、選考からやり直すことになったらしい。

どうも噂によると、公爵令嬢と男爵令嬢はつながっていたようだ。

公爵令嬢の策略で、使えない攻略対象者たちを失脚させ、王弟殿下や第二王子を次の王にしようという貴族内の流れらしい。


私はおいしいクッキーをもらいながらいろんな話を聞いた。

ゲーム本編はどうやら終わってしまったらしい。

その後も当然新入生の貴族たちは入学してくるし、卒業していく。

結局、ここは現実なんだなぁと思いながら、私は人懐っこい学園のマスコット猫として

死ぬまでお気楽に暮らしたいなぁと思っている。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「暮らした」ではなく「暮らしたいなぁ」なのが若干不穏。 [一言] この後カラスに追いかけられて餌にされそうになったり、魔物(いるのか?)に追いかけられて晩御飯にされそうになったりと波乱…
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