5W1Hは結構大事
お勉強の時間です。
今回は単純な文章を組む時に必要な知識、5W1Hのおさらい。
おさらいってのは、学校でこれか似たようなのを習っているのが前提にあります。
みんなそこそこ知っているけど、書いている内にこれを忘れてしまう~なんて事も有ったり。
なので、今一度確認も兼ねてコレですよ。
……と言っても、そもそもこのタイトルの5W1Hが何を指しているのかが間違っているなら、その時点でかなりアホっぽい。
でもまあ……書いた内容は、小説の描写に大概必要なモンなので、覚えといた方が良いのは確かなんですがね。
ほい。
自分もあんまり上手く使えてない自信しかないけど、文章を書くには重要な事なので、ご紹介。
これね、英語……と言うか推理小説で見かけたりするワイダニット、フーダニット、ウェアダニットとかダニダニ書かれるけど、日本語訳もあるんですよね。
“いつ” “どこで” “だれが” “だれと” “なにをして” “どうなった”
これですね。
文章を書くのに、伝えるのに重要な要素。
これが抜けると「んん?」なんて首をひねったりします。
実例を出してみましょうか。
祝日に ケーキ屋さんで ぼくと お姉ちゃんが ケーキ食べ放題して お姉ちゃんが出禁になった。
………………お姉ちゃん、何やったん(´・ω・`)
とまあ、なんか気にはなるけど今はそこに引っ掛かってる場合じゃない。
これで伝わるものは伝わりましたね?
うん。 じゃあ次は1つずつ要素を隠してみようか。
ケーキ屋さんで ぼくと お姉ちゃんが ケーキ食べ放題して お姉ちゃんが出禁になった。
へー、ケーキ屋でケーキバイキングやってるんだ。 何時行ったの? 祝日? へー。
ねえ、そこは何時でもケーキバイキングしてるの? え? やってない? じゃあ何時やってんの?
祝日? だから行ったんだ! ……次は~。 うわ、もう今月は祝日が無いじゃん!
はい。 聞き手に誤解が生まれましたね。
まあ大元の何時開催しているケーキバイキングかって情報が抜けてるから、それも影響しているかもですが。
祝日に ぼくと お姉ちゃんが ケーキ食べ放題して お姉ちゃんが出禁になった。
食べ放題!? ケーキ食べ放題!!?
ねえ、それはどこで食べ放題!?
ケーキ屋? あーあそこかっ!
はい。 抜けてる情報だもん。 場所を訊くよね。
祝日に ケーキ屋さんで お姉ちゃんが ケーキ食べ放題して お姉ちゃんが出禁になった。
は? それ誰から聞いた?
あの人が自分の恥になるような事を言う訳ないだろ。
あ、お前とお前のねーちゃんが行ったのな?
見てたんなら、そりゃあ確実な情報だぁ。
お姉ちゃんがケーキ屋へ単身で行った感じになりましたね。
“ぼく”が喋っていたのだろうけど、あの文だけの情報からは単身で。 と受け取ってしまいますね。
祝日に ケーキ屋さんで ぼくと ケーキ食べ放題して お姉ちゃんが出禁になった。
お姉ちゃんはどこから出てきた!!?( ; ゜Д゜)
いきなり出てきたよ!? なに?
お姉ちゃんはどこで出禁になるような事をしたの!?
つーかどこのお姉ちゃんよ!?
店で見かけたお姉ちゃん? 全然わかんねぇ!
なんかこえーんだけど!!
祝日に ケーキ屋さんで ぼくと お姉ちゃんが お姉ちゃんが出禁になった。
お姉ちゃん!?
お姉ちゃんが を2回って!!Σヽ(゜∀゜;)
ちなみにこれ、片方の“お姉ちゃんが”を消すと“ぼく”も出禁になる。
根本的な文章の書き直しが発生するので、ちょー面倒。
祝日に ケーキ屋さんで ぼくと お姉ちゃんが ケーキ食べ放題した。
へー、そっかー。 ケーキバイキングしたんだー。
で?
いやいや、ん? じゃないんだって。
ケーキバイキングしたから何だってのよ。
ケーキバイキングしたよ。 で終わって、何が面白いのよ?
せめて 美味しかった 位は付けて終わりにしてよっ!
とまあ、最後のは伝えるだけなら十分かもしれないけど、結果報告が無いと据わりが悪いんですよ。
あーーー……例えばアレです。
戦争なんかでオペレーターや伝令が「我が軍の○○隊。 □□国の△△と接触しました」
と言われただけだと、何してんの? になりませんか?
接触したって、戦闘してるのか話し合ってるのか、はたまた何かほのぼのと平和的なゲームでもしてんのか。
気になるでしょ?
正確な情報は大事。
この時点で報告されたのだから、時間はついさっきだと察せる位。 場所は……その隊をどこに展開させるかの命令をした側への報告だから、分かるね。
でも“どうなった”が無くて、その情報が欲しい状態。
とっくに戦争が始まってて、その地点で接触する(そして戦闘を始める)予定だったなら、既にそこは前提知識としてあるから、わざわざ言葉にして報告するのは余計になる訳ですが。
話のツッコミやすい隙として会話に乗ってきてくれるような、そんなのを演出するなら便利なんですよ?
変な所、その部分こそ知りたいとか言う連中には。
でも、小説の会話にそんなのばかり入れたら、クドさしか感じられなくなるんですね。
――――他には、時間の所を突っ込まれないよう誤魔化しつつ取り除いて「実はあのやり取りは、○○の時にしたんだよ!」と時間を誤解させるマジックを使う離れ業も、あったりするのは別の話。
似た会話ばかり読まされてみ?
飽きるから。
それと紙幅ばっかり食っちゃって、紙やインクの無駄遣いだし。
なので、会話する相手じゃなくて読者を意識して、伝わりやすい文章を組むのはとても大事になります。
例文で使ったものも、“なにをして”の部分を細かくして、休日限定で開催されるケーキ食べ放題に って書けていればもっと正確になった。
ただ、ひとつ注意。
毎回毎回で律儀に5W1Hを守っていたら、それはそれで読者側がクドいと感じます。
なぜって?
分かっている情報を何度も何度も何度も書かれてみ?
分かるでしょ?
ぼくはお姉ちゃんと祝日にケーキ屋で行われる、ケーキ食べ放題に行きました。
ケーキ屋では祝日にだけ食べ放題をやっていて、ぼくとお姉ちゃんはとてもワクワクして入店しました。
祝日にだけ食べ放題をするケーキ屋はとても繁盛していて、ぼくとお姉ちゃんはお店に入るだけでワクワク。
食べ放題を祝日だけやっているケーキ屋の中には、沢山のケーキをいくらでも食べられるんだと興奮している客が沢山です。
この祝日に食べ放題をしているケーキ屋で座席を決めたぼくとお姉ちゃんは、沢山のケーキを食べようと興奮している客に負けないくらい、沢山食べてやると気合いを入れました。
………………中略。
それでお姉ちゃんは、祝日だけ食べ放題のケーキ屋から連れ出されて、出禁になってしまいました。
どうよ、このウザさ(´・ω・`)
これは極端な例だけど、本当に酷い文を書く人ならやってるかもよ?
……ん? なんで姉が出禁にされたか、教えろ?
まあいいじゃん。 気にするところ……って言うか本題はそこじゃないし。
ただ、既に書かれた情報だからって言っても、連載して文字数とか連載日数とか。
だいぶ進んで「前に書かれた事なんて、そんなの覚えていられる訳が無いだろ?」になる場合もある。
これには要警戒。
読者は人間。
前に書いたのを完全に覚えているよ。 なんて普通は無いわけで。
状況が変わったり、ある程度の間隔があいたなら、再びの記述はとても有効。 むしろこっちから要求しちゃう。
だからって親切心が溢れすぎて、田舎のおばあちゃんがくれるお土産みたいに、ホイホイと書き足してもらってもやっぱりウザい。
それでいて、全く無いなんてなったら、全然分からんと言われる。
……この塩梅が恐ろしく難しいんですよねぇ。
こいつは本当に、本当に面倒なんですよね。
“いつ”や“どこで”なんかは、前提として置いといて(大きな)動きがあったら張り直す感じの使い方じゃないとクドくなって。
特に時間は面倒。 動いても、細かく刻む(記載する)とウザい。
セリフとセリフの間に、イチイチ20秒経過~とか、現在時刻○○って書かれるのを想像すれば分かりますよね。
で、場所は使い所次第っつー、より難解なモノに。
普段は△△に移動して・移って~とかで良いものの、位置が重要な描写なら、半歩動いただけでも描写が必要になる。
大上段に構えた敵からの唐竹割りを見切り、“半歩”ずれて半身に構え、躱す。
とかってね。 他にも。
「━━━━以上の証拠から導きだされる犯人は」
と、そこまで言ってから、まるで勿体ぶるようなゆっくりとした動きで、緊張する面々の前で一歩……二歩……三歩……四歩……と、わざと靴音を響かせながら歩く。
なんて心理描写が混じってる様に書かれたり。
ただ単純に、
真っ暗な舞台で、目印となる蓄光テープ……バミテープが貼られたバミり線まで、役に成りきり堂々とした姿勢で歩く。
なんて、動きとして見せる場合もあったり。
……上手く使えれば、本気で臨場感だのなんだのの演出として有効なんだけど、これがまた難しいorz
他にも“だれが”と“だれと”もイチイチ書く必要は無いけど、掛け合いなんてやっててドッチがドッチだか?
なんてよくある話。
他にも会話中の動作だって、誰がやったかが分からなければ想像もなにも出来ないわけで。
細々と使えば助かる場面と、あまり細々と書けば逆効果になる場面と。
使い方が難しい。
“何をして”と“どうなった”は……。
少し離れた位置から見直せば、大体おっけー。
普通こうなら、こうなるよな?
なんて因果の連結が出来ていれば、大体問題ない。
どうなったの部分で、店から出禁を食らった~ってんなら、それだけの何かをしたんでしょうよ。
その辺が意識できてれば問題ないです。 ええ。
……いい加減姉の出禁理由を語れ?
分かった、分かりました。
弟の前で良いところを見せようとして、無理して食いまくった結果、ケーキをリバースしまくった。 もちろんリバースはトイレでだけど。
んで、こりずに食べてはリバースをし続けた結果、店側からの「無茶しないでくれ、体を大切にしてくれ」って願いを込められて、ストップがかかっただけ。
いやー、いくら格好いい姉と見られたくて頑張るにしても、リバースしてまではアカンですわぁ。
…………これは実体験かって? NO、妄想です。
まとめとして、じゃあそれぞれの5W1Hは、どんな頻度で使えば良いの?
ってなるんでしょうが、これに明確な答えがないってのが、一番厄介。
作者側がこのむ頻度は、そりゃあもう沢山。
反対に読者側が好む頻度は、こちらも沢山。
どうすりゃいいのよ(´;ω;`)
これが実態。
種類の数じゃなくて、好む頻度の平均値を求めるのも有りと言えば有り。
ただ、作者側としてはそれで自身が好む頻度から遠ざかると、違和感の波にやられてモチベーションダウン~なんて事もあり得る。
この絶対的な正解がない地獄よ……。
物書きは、その地獄と一生付き合っていく宿命を持つ、因果な存在なり。