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反少年主義 第四幕  作者: 椎家 友妻
其の一 たたずむ乙女
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7 ナーナー弁の考察

 カバトンの家にたどり着いてインターホンを押すと、

玄関の扉を開けて、息子とは対照的にスリムな体形のカバトンのおばちゃんが出て来た。

 「あら、キタヤマ君じゃないの。もしかして、学校のプリントを持ってきてくれたの?」

 「はい、そうです」

 「あらぁ、わざわざありがとうねぇ。この前の事(第三巻参照)といい、

キタヤマ君にはお世話になりっぱなしねぇ」

 申し訳なさそうにそう言うおばちゃんにオレは

「そんな事ないですよ」

と言いながら学校のプリントを渡し、

 「じゃ、オレはこれで」

 と言って帰ろうとしたが、そんなオレをおばちゃんが慌てて呼び止めた。

 「あ、ちょっと上がっていかない?きっとトシオも喜ぶから」

 「でもトシオ君、まだ体がしんどいんじゃないですか?」

 「夕べはひどい熱だったけど、今はたいぶと落ち着いたの。

それに今朝、寝言でキタヤマ君の名前を呼んでいたから」

 「え?オレの名前を?」

 「ええ。きっと仲良しのキタヤマ君に会いたかったんじゃないかしら」

 「そうですかねぇ?」

 「さっきちょうど目をさましたところだから、少し顔だけでも見せてあげてくれない?」

 「はぁ、わかりました」

 おばちゃんに招かれ、オレはカバトンの家に上がらせてもらった。

そしてカバトンの部屋に入ると、

ベッドに寝ころんでいたカバトンがガバッと上半身を起こし、

見た目通りののっぺりした口調で口を開いた。

 「ノ(・)シオ君、ニ(・)てくれたんだね」

 カバトンは言葉の最初の文字がナ行に変化するクセ(?)があり、

オレはこれをナーナー弁と呼んでいる。

ちなみにナ行で始まる言葉は、ふた文字目がナ行に変わる。

例えば『夏休み』なら、『ナヌ休み』。

『日曜日』なら、『ニニ曜日』。

『納豆』なら・・・・・・

あれ?

ふた文字目が小さい『っ』の場合はどうなるんやろうか?

ホンマにどうでもええ事やけど、

とりあえず気になったオレは開口一番その事を聞いてみた。

 「なあカバトンよ、お前『納豆』って言うてみ?」

 「え?ナ、ナッノウ・・・・・・」

 なるほど、ふた文字目が小さい『っ』の場合は、

三文字目がナ行に変化するみたいや。

ホンマにどうでもええわ。

ていうか毎度毎度ナーナー弁の説明すんの、

ええ加減めんどくさいんやけど(著者注※僕もめんどくさいです)。

それはともかく、オレはランドセルを置いて床にあぐらをあきながらカバトンに言った。



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