5 恋バナナ
「ホンマにそうやな。そういえばお前、例の彼女とはうまくいってるんかいな?」
「アミちゃんか?お前事あるごとに聞きたがるよなぁ。そんなに人の恋バナナが気になるか?」
「バナナやのうて恋バナやろうが」
「おれとしてはヨシオが二股をかけている、
カスミちゃんとレイコちゃんの事の方がよっぽど気になるけど」
「二股かけてないし!そもそもあの二人は全くそういう対象ではない!」
「そうか?まあええけど。おれなぁ、実は、アミちゃんと別れようと思うてるんや」
「ええっ⁉な、何でやねん⁉ケンカでもしたんか⁉」
「いや、ケンカとかはしてないんやけど、
やっぱり小学生のおれが女の人と付き合うっちゅうのは、
まだ早いんとちゃうかなぁと思いだしたんや」
「何でやねんな?お互い好き同士なら、付き合うのに早いも遅いもないやろ?」
「まあ他のヤツはどうか知らんけど、おれにはまだ早いと思うわ。
だってアミちゃんは可愛くていい人やけど、
結構なヤキモチ焼きやし、まめにメールの返事をせぇへんと怒るし、
休みはヨシオと遊びたくても、アミちゃんとのデートを優先せなあかんし。
おれ、そういう生活に何か疲れてきたんや。
前みたいにヨシオと『反復横飛びドッジボール』とかして遊びたいわ」
「オレ、お前とそんな遊びをしたおぼえは全くないけどな」
「だからまあ、最近はアミちゃんと少しずつ距離を置くようにしてるんや」
「そうかいな。女の人と付き合うっちゅうのも、楽しいだけとちゃうんやなぁ」
「そうやで?だから色んな女の子の心を惑わせるヨシオは凄いなぁと、おれは尊敬してるんや」
「何でやねん⁉オレは誰ひとりとして惑わしとらんわ!」
「またまたぁ」
「ホンマやっちゅうに!」
などと言い合っているうちに、オレ達は庵地小学校へたどり着いたのやった。