2 が
が、
オレが反少年主義をかかげて頑張るキッカケになったカスミは、
何と九歳のチンチクリンリンな子供でした。
それを知ったオレはひっくり返りました。
実際にひっくり返った訳ではありませんが、
心の中で後ろでんぐり返りを十回はしました。
ちなみにカスミは文通を始めた頃、『レイコ』というペンネームを使っていました。
なのでオレはレイコという空想の大人の女の人にあこがれ、文通をしていました。
レイコという女の人はさぞかしきれいで、
優しくて、物静かで、大人のみりょくにあふれた人なんだと思っていました。
そのレイコさんが実際には居ないという事がわかったのですが、
オレがカスミの住む神戸に遊びに行った時、
ひょんな事からレイコという名前の中学生の女と知り合いました。
が、
彼女はキャアキャアやかましくてアホでテンションが高いだけの女で、
オレが心の中であこがれた『レイコさん』とは似ても似つかない人物でした。
オレはここでまたもやひっくり返ったのです。
心の中で十回くらいバックドロップをくらった感覚でした。
まあ~、よく笑う女です。
箸が転がっただけで笑うという意味の言葉がありますが、
彼女は箸が転らなくても笑っています。
おそらく毎朝笑いが止まらなくなる毒キノコを食べているんだと思います。
オレはこいつの親ではありませんが、将来が、心配です。
ところでオレはここのところ、ずっと考えている事があります。
人は何故生まれてくるのか。
人は何故生きなければならないのか。
生きるとは何なのか。
生きた先に何があるのか。
何だか我ながらずいぶんこむずかしい事を考えているなぁとも思いますが、
自然に心の中にこんな疑問がわいてきたのです。
近所に住む高校生のタイスケ兄ちゃんに相談したら、
『それはこれから生きていく上で、ずっと考え続けていかなければいけない問題』
と言われました。
この問題には、学校のテストのようにハッキリした答はないようです。
世の中は、オレが思っているよりもずっと複雑なのかもしれません。
あるいは、オレが思っているよりもずっと単純なのかもしれません。
そんな、いかにも頭のいい人が考えそうな事に頭を悩ませているオレに、
しかし目の前のオレの母ちゃんはこう言うのでした。