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ワールド オブ フリー

このゲーム、「world of free」略してwofは、日本原産のゲームである。なんでこんなに海外ゲームみたいな名前なのか疑問なのだが、たぶんそれっぽい名前って思って付けたのだろう。


MMORPGゲームという物らしく、意味は良く分からないが基本皆と遊ぶRPGゲームだ。


ストーリーを簡潔にのべると、貴方はこの世界に転生してきた人間種だから好きに生きて。ただし怪しい奴らとか危ない集団が世界各地にいるからそれの駆除を手伝ってくれると嬉しいよ、というものらしい。


自由な世界とは言え、主軸になるストーリーがあるようなのでまずそれをやっている途中で、僕はとある人と出会った。


「こんにちは。初心者の方ですか?」


「はい。」

「よろしければお手伝いしましょうか?」


「ほんとうですか?おねがいします」


それから一緒にストーリーを進めてくれた。

僕の文字打ちに対して相手は凄く速くて、なんか申し訳ないなと思っていたが、その人は結構良い人で僕の遅さを気にせずに操作テクニックやストーリーの補完などをしてくれた。


「ツイラビさん、オンラインゲームは初めてですか?」

「はい」

「では僕から一つ重要なアドバイスです。今日の僕みたいに、いきなり手伝いましょうか?と言う人は要注意ですよ。」

「え」

「僕が言うのもなんですが、初心者に間違った知識を植え付けて楽しむ愉快犯や、禁止事項に手を出させようとする悪人など悪い人がいますから。次からは気をつけて下さい。」

「はい」


「という話からですが、僕とフレンドになってもらえますか?」


ネット初心者である僕に優しくしてくれた彼からの提案を断る理由も特に無かったので、僕は彼とフレンドになった。

でも彼からの忠告もあるから、自分でもこのゲームについて調べることにしよう。最悪彼が騙してたとしても、ちゃんと知識を持っていれば縁を切れるだろう。


こうして僕はこれから長いこと付き合っていく「スペードワン」さんと友達になった。


・・・て、うぉ!?もう12時!?早く寝ないと明日寝坊する!

お休みなさい!!



##########


「・・・ふぅ。完全新規なんて久々に見たなぁ」


ヘッドフォンを外しながら一息つく。意外と集中していたようで、肩が固まっていたようだ。


「いやぁ、ナイトプレイ出来ないかなーって話しかけたらまさか本当に初心者とはねぇー。キャラ造形も相まって私のスペードが完全にイケメンナイトだったわ・・・いいなぁ、なんてね」


私のスペードワンは私の理想だ。私と同等の身長で少し細くて、私が守らなきゃ!と思わされる容姿だけど戦闘能力が高くて逆に私が守られる現実ではありえない系男子。


一部の馬鹿どもは「そんな空想に時間かけてて馬鹿らしくならない?」とか吐き捨ててくるけど、むしろこっちから問いたい。「そんな現実に時間かけてて死にたくならない?」と。


現実の男なんて大半はクソだ。生殖能力があるから尊重されてるだけだ。女に守って貰わないと生きていけない癖に、自分たちが希少だからと驕っている。


私も昔は現実の男と付き合いたいと思っていた。そのために努力もしていた。でもその幻想は中学生の時に砕かれた。とある男子に告白した時にこう言われたのだ。


「金持ちでも美人でもねーくせに。身の程知っとけよ」


別にその男子は美人では無かった。能力もごく普通で、クラスに2,3人しかいないというだけの男だった。なのに自分に似合う女は自分が贅沢出来る金持ちか、周りに自慢できる美人だと思っているのだ。


それ以来私は現実の男なんてクソだと考え、高校生、大学生とオタク街道を走っている。


まあ、実際にはいるのだろう。女性に対して優しくて、かっこ良くて、料理がうまかったりする男性も。でもそんな人物は少数も少数で、そしてそんな人物ほど既に誰かの隣に立っている。

スペードワンとまでは言わないけれど(まずあり得ないし)、最低でも私に対して優しくしてくれて、その上に結婚して子作りしてくれる男性なんて、きっといない。希望を持っている方が辛い。このまま私はオタク街道の果てで朽ちるのだ。


「・・・あー。嫌な事考えちゃったなぁ」


楽しかった気分から一転、ネガティブになってしまった頭をリセットするためにぶんぶん振りながら、先程のビギナーについて考える。


「ツイラビさん・・・・男だったり、いや、そんなわけないわよね」


このワーフリにて密かに囁かれている噂として、女性キャラでやっているプレイヤーの5割が男性というものがある。そう言われる原因の一つは、女性プレイヤーの大半は男キャラを使うからだ。ゲームの中までケバい女を見たくない、イケメンで生きたいという願望を反映させた結果、フィールドの男女比は男4:女1くらいになる。現実と真逆だなと思うが、やはり仮想世界くらい別の自分でという気持ちが強く出るのだ。


(少数の女性初心者は同じ女性でプレイするみたいだが、)男性側も男のままより女の方が面白いと思うようで、多くが女性キャラらしい。だから始めたばかりの女性キャラが男性である可能性は高いのだが、このゲーム途中から課金アイテムで容姿を自由に変更出来るのでその影響で五分五分にまで確率が落ちるのだ。


「だけどツイラビさんはまだアイテム買えないはずだし、ワンチャン・・・・いや。何考えてるんだ私。どうせ現実では威張り散らしてるデブか妻子持ちのおっさんに違いない!馬鹿な考え捨てて、ツイラビちゃんとして向き合おう」


私は現実の男に理想を抱かない事にしているのだ。それに直結馬鹿は晒されるのがオチだし、本当に怪しくなったらオフ会でも開けば良い。その程度の事なのだ。


「んー、まだ12時手前かぁ・・・。明日はバイト無いし、もうちょっと張ってくるかぁ」


こうしていつものように私の夜は更けていく・・・・。


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