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始まり

いつ失踪するか分からない。でも妄想を続ける限り、時間の許す限り、書きたい所存。



「変っ身!」


☆☆☆☆☆☆☆☆



「待ちなさぁい!その短パンから覗くつるっつるの美味しそうな膝をペロペロしてあげるからぁ♥️♥️♥️♥️」


「こんなピンチは想像してなーーいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」



☆☆☆☆☆☆☆☆


「え・・・、これ、なに?これ、僕?」





~~~~~~


これは波乱万丈すぎる僕の未来の一端である。



僕の名前は桜沢 二兎。高校に入学したばっかりのピカピカの一年生だ。でも入学した高校が偏差値60手前の学校なだけあり、今のところ苛めやらヤバい奴は見つけていない。友達も出来たし順調なスタートと言えるだろう。


ではそんな希望に満ちた未来を歩いている僕の悩みとは、妹の反抗期だ。(たぶん)

最近妹は僕に対して凄く攻撃的接し方をする。中学二年生ということを考えるときっと反抗期からそうなってると思うのだが自分の反抗期を振り替えると非常に強い反抗期のような気がする。


やはり妹としては兄がイケメンじゃないから気にくわないのだろうか?

僕の容姿は(自分では)中の中くらいはあると思うのだが。もしくは「これ」という一芸が無いからだろうか。スポーツ万能とか超頭良いとかだったら自慢の兄と言えるのかも知れない。


「あ、おはよう」

「・・・なんか用?」

「あ、いや。朝御飯用意してあるから・・・」

「あっそ。あ、今日赤色の傘持っていくんだから絶対持っていかないでよ。」

「わかった。じゃあ、行ってくるね」

「・・・」


これは先日のとある朝の一幕である。

一応、傘を持っていく様に(たぶん)言ってる所から考えるに嫌われてはいないと思うが、反抗期としては強いと思う。やっぱり挨拶が返ってこないと悲しい。


でも僕にはどうにも出来ない。お父さんとお母さんは2ヶ月程出張でいないから仲裁を頼むことも出来ないし、かと言って「反抗期なのは分かるけど挨拶は返そう?」って言ったらうっさい!と一喝されて終わりそうだ。


そんな風に反抗期の妹との接し方に悩みながら眠ると、変な夢を見た。



「━━━青年よ。力を貸してください」


「・・・?はい?」


「世界に脅威が迫っています。その脅威を排除するために、アナタの力を貸してください」


夢には暫定女神様らしき人物がいた。ついいつもの癖で全体を見たが、服が明らかに浮いてたり後光に虹色が混ざっていない事から、尋常の事態ではないと判断した。


「脅威、とは?」


「姿形は千差万別ながら、それらは人類を害する能力と本能を持っています」


「貴女には出来ないのですか?」


「残念ながら出来ません。私に出来るのは、最悪の際に地球もろとも災厄を消滅させることです。」


つまり、自分の最低威力でも地球を壊してしまうから代行人を求めてるってことか・・・。


「それは僕では無くてはならないのですか?僕は格闘技も出来なければ、これと言った一芸を持ってる訳でもありません。年齢ならば世界最強の高校生、性別ならばプロの格闘家などが良いのではありませんか?」


「アナタを選んだ基準はそのような物ではありません。アナタが最も活躍出来ると判断したからです」


「・・・・・・」


「力を貸していただけませんか?アナタの協力があれば、大事な家族も守れますよ」


基準も言うかなと黙っていたがまったく具体的な事は言わなかった。都合が悪い事なのか、余計な情報を与えないようにしているのか。


この女神的な人に対する信用度が下がり断ろうかと思ったのだが、最後の言葉が僕に刺さった。


家族を守れる。つまり、この怪しい人に協力すれば妹を守れるということだ。僕は重度ではないがシスコンではある、と思っている。でなければ妹との接し方なんかで悩まないだろう。

そして今の僕達の家には両親がいない。だから家を守るのは兄である僕の仕事だ。


よって、悩む要素は無くなってしまった。


「分かりました。協力します」


「ありがとうございます。目が覚めた時、アナタの側には私からの使いがいます。そしてこれも渡しておきましょう」


そう言うと僕に光が流れ込んできた。


「今お渡ししたのは戦うための力です。詳細は使いの者から聞いてください。」


「・・・はい」


「ではあなたの武運を願っていますよ。そして、ようこそ」


「はい?」






「・・・・・・夢?」


「モー」


「牛?」


変な夢から覚めると、ミニサイズの牛がいた。先ほどまでの夢がただの夢では無い事は確定的と考えて良いだろう。


「・・君が使い?」


「モー」


「なるほど。・・・なるほど。」


この牛の鳴き声から何故か言っている事が分かってしまうようだ。先程のモーでは「そうだよ」と言っていた。長さ的には最初と変わらないんだが。


「君が力の使い方を教えてくれるの?」


「モー」


「その時になれば・・・ね。概要だけでも教えてくれない?」


「モー」


今の体のままでは使えないから変身するとは。・・・。・・・僕はもう高校生だけど、変身ヒーローへの憧れを捨てたかと言えばそう言う事はまったく無い。無いったら無い。だから考えねばなるまい。


カッコいい変身ポーズを・・・!!!


「よし、とりあえず朝御飯の準備するか。君は何か食べるの?」


「・・モー」


「牛乳って、それ牛の君が飲むものなの?」


「モー」


「付け合わせにフルーツとは贅沢だな。」



二階から降りてリビングに入るとキッチンから物音がした。もしかして早めに起きたのだろうか?


「つぼみ、早起き」


「!?お、お坊っちゃま。お早うございます。朝食はまもなくご用意出来ますのであと少しお待ち下さい。」


「誰!?」


キッチンには謎のメイドさんが立っていた。朝っぱらから不審者沙汰とか辞めて欲しい。


「・・・お坊っちゃま?」


「・・・・・・桜?」


「はい、その・・・」


「ちょっと待って。おい、お前の上司か?」


「モー」


今僕は非常に混乱している。何故なら記憶に無い記憶が頭に存在していることだ。目の前のメイドは桜。2年前から正式採用された我が家のメイドの一人である。


そんな記憶僕は持っていないはずだ。うちにはメイドなんていなかった。でもいた記憶もある。

気持ち悪くてしょうがないが、こんなことが出来そうなのはこいつの上司だけだろう。


そう思い尋ねるとたった一言「はい」と返してきた。今すぐ子牛の丸焼きにして捨ててやろうかと思ったが、流石に実行には移せない。後程この牛に状況説明をさせることを決め、とりあえず現状を乗り切ることにした。


と言っても何故か僕にはこのメイドさんに対する記憶を持っている。であれば振る舞うべき姿は簡単だ。


「いや、どうもまだ夢遊病だったみたい。今目が覚めたからご飯ちょうだい。」

「そ、そうですか。わかりました」


桜さんは軽くお辞儀をするとキッチンに戻っていった。

匂いからすると朝御飯は魚と・・・久々の朝米だぁ。やはり本職の人となると朝食一つでも手が込んでいるみたいだ。


「どうぞ、お坊っちゃま」


「ありがとう」


「!?は、はい!」


ん?お礼をしたら桜さんはびっくりした顔をし、そのまま赤面してキッチンに戻っていった。もしかして僕の貰った力には僕のルックスを上げる効果とかが含まれてたのだろうか?


「桜さーん!予備のエプロンどこだっけー!?」


「キッチンにございます!こちらから」


「ほんと、ひぇっ!?」


リビングの扉を開けて入ってきた蕾は僕の姿を見るなり悲鳴を上げて尻餅を着いていた。


「お、おにいちゃん・・・?」


「っ!」


蕾がお兄ちゃん!?いや、蕾にお兄ちゃんと呼ばれたのが久しぶりだったため変な言葉になってしまった。身の回りに起きた異常はこんなところにまで及んでいたのか・・・。


「お、お嬢様。こちらエプロンです。」


「へ?あ、うん、ありがとう。じゃ、じゃあ」


「お食事は・・・」


「今日は大丈夫!いってきます!」


「おは、あ・・・」


妹に朝の挨拶をしようとしたらあっという間に学校に行ってしまった。ご飯も食べずに行くなんて、早めに行かなければならない理由があったのだろうか?


ただ一つ気になる点はある。僕の観察が正しければ、蕾は僕に怯えていた。

そんな風に感じた。妹を守るために協力をするのに関係性が逆転しただけで何も変わってないとか、これはあの不審者に文句を言わねばならないだろう。


ただ今はまず学校に行かなければならない。


「さて、と」


「本日はどうされますか、お坊っちゃま?」


「学校に行くよ」


「え!?」


「え?」


「あ、えっと、学校の方への連絡が出来ておりませんので申し訳ありませんが、登校は明日から・・・はいかがですか・・・?」


「連絡?」


学校に行くだけなのに連絡?・・・これは異常値が許容ラインを越えたと判断して問題無さそうだ。


「わかった。明日から登校するって言っておいて」


「かしこまりました」


桜さんがお辞儀してるのを後ろに僕は自分の部屋に戻った。


牛、お話の時間だよ。




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