イケメンのイケメンによる演出は合コンを制する
こんな出会いもあったよと
「お疲れさまでした~」
と帰り支度をして店を出ていこうとする李々子に伊織が
「今日の合コン楽しんできてねぇ~」
と声をかけた。李々子は目を点にして伊織をみて恐る恐る聞いてみた。
「もしかしてとは思うんだけど今日の合コンのことっていったい何人知ってるのかな」
すると伊織が満面の笑みで
「もちろん皆が知ってるわよ」
と言った。李々子はヤッパリと大きなため息をつきながら
「まぁいいですけどねどうせ今さらだし…まさかついて来たりはしませんよね」
と言うとギョッとしたあと
「まさかぁ~いくら私達でもそこまではしないわよぉ。そこまではしなくても報告はちゃんとしてもらわなくっちゃ待ってるわよ」
と言い去っていった。 李々子は思いっきりため息をつきながら
明日は何がなんでも出社拒否したいわ
と力なく店を出た。
李々子が待ち合わせのカフェ《フルール》につくと月子ともう2人が待っていた。
うわっ!なにすっごい綺羅びやかな子がいるあれはもしかして
「あっせんぱぁ~いお久しぶりで~す」
大学の後輩の澤 英里奈が言った。
「ひっひさしぶりだねエリチ、確か月子と同じ部所だったよね仕事どう」
と聞くと髪を指でクルクルしながら
「えっと~なんとなく無難に頑張ってま~す。
あっこっちは都塚 夏ちゃんて言って大学の後輩なんですよぉ」
と言った。
「はじめまして先輩のお噂はかねがね英里奈さんから聞いてました。会えるなんて光栄です」
とほほを赤らめる夏に戸惑い、李々子は英里奈にむかい
「エリチ、あなたこの子になに言ったの」
と問いただすと
「え~っと演劇サークルでの歴史的ミュージカルの話をちょこっと、あのDVDまだ残ってるんですよぉ~すごいですよね」
それを聞いた李々子は目を見開いて月子を見て
「なんであれは捨てたよね、あの時ガッツリゴミ箱に捨てたよね」
「ははは捨てるの勿体なくて拾っといた、だってリーコの…プッ」
「月子あんたねえ」
怒る李々子に月子は
「まあまあ気にしない気にしない恥はかき捨てってことで」
はぁ何を言うのよ
「だいたいあれは月子がやらせたんでしょうが」
と殴りかかりそうな李々子に驚いた夏が
「あの、そろそろ行かないと時間に遅れます」
ひきつりながら叫んだ。
しまった驚かせてしまったと李々子が反省しているとシレッとして月子が
「そんなに怒るとブスになっちゃうわよ。この話はまた次回にね」
と立ち上がった。李々子は納得がいかず
「私だけが悪いみたいじゃない」
と言うと月子はウフフと笑い
「そんな李々子が好きだから~」
と言って投げキッスをした。月子の不意打ちに毒気を抜かれた李々子は
またかよ、月子はいっつも調子がいいんだから
と脱力していると
「ホラホラ遅れるとなんだから、そろそろ行きましょ先輩方」
と英里奈が、李々子はここぞと帰ろうとすると奈月は首根っこを捕まえ
「もお李々子ったら逃がさないわよ」
ここの鬼、鬼、鬼
とジタバタする李々子を引きずり店を出た。
店につき入口でホール係に月子が待ち合わせだと説明すると奥の個室に案内してくれた。
「あっ月子ちゃんこっちこっち」
とラグビー選手に見える筋肉質で人懐っこそうな人が笑顔で手をふっている。奥には柔らかく微笑むイケメンがいるではないか。
そのイケメンに気付き興奮した英里奈が李々子に
「わたしあの人狙いで行きますから協力よろしく」
「えっエリチって筋肉質好きなの」
と言うと夏が驚いて李々子を見て
「違います李々子さん隣のイケメンの方ですって分かってますか大丈夫ですよね」
あ゛ははは
李々子はひきつり笑いするしかなかった。そんな3人を尻目に
「倉田く~ん八尾く~ん」
と言いながら嬉しそうに月子は2人に近よっていった。
慌てて3人がついていくと爽やかなイケメンが
「初めましてみんな可愛いね今日はラッキーだなよろしく」
「きゃぁぁあ」
月子と英里奈と夏が叫んだのを李々子はただビックリして聞いていた。
「あーあまたお前狙いかよいいよな~颯也は。
こいつ八尾颯也、俺は倉田源太よろしく。
あと2人来るはずなんだけどちょっと遅れるみたいだから先にやってようか座って」
と倉田が言うと隣で微笑んでいた颯也が
「どうぞお姫様達とりあえず注文はしてあるけど欲しいものがあったら何でも言って」
と言った。その言葉に3人は真っ赤になって
「おっお姫様だなんてぇ八尾くんたらぁ」
と喜び言う月子を李々子はポカンと見ていた。席につくと颯也が隣の李々子に
「はじめましてヨロシクえっと名前は」
とキラキラの笑顔で言った。
「ああ瀬名李々子です。月子とは大学からの付き合で…そうか月子がいってた小学校からの幼馴染みってのはあなたですか」
と冷静に聞いてきたので颯也は
なっなんだこの子なんで冷静なんだ?
俺の笑顔にこのオーラに落ちない子はいないはずなのに
「それは源太の事だよ気になる?俺は李々子ちゃんの事の方が気になるな今日はたくさん知りたい」
と李々子を見つめて言った。そんな颯也に戸惑った李々子は
なんてキラビヤカな人なんだろう
ただのイケメンにしておくのおしいなぁ~俳優とか絶対にいけそうなのに
と考えていたが我を取り戻し笑顔で
「月子いわく私は多趣味なオタクらしいです。あれでも月子の目は信用できるはずなのでそうなんでしょう。
まあ自分では自分の事よく分かりませんって事で」
と言った。その笑顔に颯也は
へえ、ここまでは許すけどこれ以上私のテリトリーに勝手に立ち入るのは止めてくださいってタイプか
と感じとっていた。
そんな2人に隣でメニューを見ていた英里奈が気付き
「なに話してるんですかぁ~あっ颯也さんでしたよね何飲みますかぁ」
と入ってきた。
やった助かったありがとうエリチ
と思いながら李々子は笑顔で
「えりち席かわろうかそこじゃ話しにくいでしょ」
と言って英里奈と席を変わった。英里奈はスゴく喜んで
「ありがとうございまぁ~す李々子さんLOVE」
と言いウインクをした。
なぜにウインク?
と李々子は思ったがきにせず飲み物を飲んだ。そして颯也と嬉しそうに話す英里奈を楽しそうに眺めた。
颯也は今まで経験したことのない李々子の反応がとても新鮮で気になっていた。
その頃やっと2人がやって来た。
「いやぁ~けっこう待たせちゃいました?なんか思ったより遅くなっちゃってすいません。こいつ巧馬の用意がスゴく遅くって」
とバリバリにチャラ男で決めている高畑の横で李々子を見て立ち尽くす巧馬がいた。