合コンのお誘いに動揺するってどうよ
壁に耳あり突っ込みどころあり
うなだれながら松岡が奥へ行くと李々子が携帯で誰かと話していた。
「ん~でもさ~合コンってあんまりお酒飲むんでしょ苦手なのよ」
え!?合コンってなんですかぁ!?
ついコンテナの影に隠れて聞き耳をたてた。
「だからちょっとまってってば月子!!つき…あいつ切りやがった、あさってってもぉ~」
あやつは昔からああだ。と言っても大学からの付き合いだけど
しゃ~ない、あさって合コンに行くかぁ
そう言い店内に戻っていった。
合コン…合コンって…リーコさんが合コン?!
まあ今のリーコさんはフリーなんだし合コンってのもありだろう。
でもリーコさんって歳のわりに若く見えるし、かわいいから絶対に声かけられるよ。
どうしようリーコさんに彼ができてしまったらどうしよう。
松岡は熊のようにウロウロ歩き回っていた。
「松岡、松岡、まつおか」
急に肩を叩かれて
うわぁ
と驚いて振り返ると沙代子がいた。
「あのさ合コンってリーコさんが行くの?
でぇ気になるから尾行とかする気だったりして~。
それはあんたの勝手だからいいんだけど、いいんだけどね松岡、独り言でかし!!うざし!!」
と言い去っていった。
なっうざいってデカイって。
そんなことより聞かれたガッツリ独り言聞かれたって事ですか恥ずかしい。
でも俺は尾行するなんて一言も言ってないのに…尾行かぁ~尾行ねぇ~。
そう呟きながら松岡が去っていくと、ひかる店長がやって来て隠れている沙代子に
「沙代どした?何でかくれてるのよ」
沙代子は突然の声にビックリした後ニヤニヤ笑いながら
「ひかる店長、今めっちゃ面白いことがあったの。」
「何よ気持ち悪いな早く言いなさいよ!?」
「実は明後日リーコさん合コンするんですよ。」
「えっ?リーコが合コン!?」
「そうなんです、さっき松岡がうなだれてバックヤードに入ってくから、いじめてやろうかとついてきたらねリーコさんが」
とひかる店長に耳打ちをした。
「マジか!本気とかいてマジか」
その突っ込み古いんですけどと思いながら
「てことでちょっと松岡いじめちゃいました~あの調子ならリーコさんを尾行するかも。」
その沙代子の話を聞いたひかる店長がニヤッと笑い
「へ~尾行ねぇククク本当に松岡っていじりやすい奴だよな~リーコとくっつくと面白いんだろうけど、なんかリーコをとられるって感じでムカつくし!
まあ肝心のリーコが松岡に気がないから大丈夫だけど。」
その言葉に沙代子が
「そんなこと言わずにきっかけ作ってあげましょうよ、きっかけ。たまには松岡に協力してやりませんか?明日の遅番2人にしちゃいましょうよ。」
と沙代子が言うと、ひかる店長が不敵に微笑み
「あんた何気に楽しんでるでしょ。一時期は松岡に気があったくせに。」
と言うと沙代子は焦って
「もぉ店長ったらぁ5年も前の事蒸し返さないのダーリンが怒りますぅ」
「あぁ弘樹くんね、あの草食系イケメンの彼でも怒るの?」
「愛ですから」
と照れまくる沙代子。ひ普段とは違う沙代子のデレデレぶりにひかるはイラッとして
「ちっイケメンとラブラブかよつまらん。
うちの旦那なんか、この間健康診断で引っ掛かってメタボなんだぞ!!ざまあみろ!!」
もはや何を張り合っているのか分からない2人になっていた。
「あの~店長メタボって自慢になるんですか。」
と沙代子が言うと
「まっメタボはおいといて、さっきの埋め合わせって事で松岡の恋路をいじってやろうじゃないか。」
とひかる店長が嬉しそうに言うと首をかしげなから沙代子が
へ?さっきの埋め合わせってなんなの…まあいいか
「とりあえず私達は急用で先に帰る事にして松岡には暗くなるからリーコさんを家まで送るようにって言うんですよ。
リーコさんには送ってもらいなさい!送ってもらわないと安心できないってだめ押しってのは、どうでしょうお代官様。
そして盛り上がった2人は一緒にリーコさんの家に…クックックッ」
「ほほう沙代子よそれは名案じゃなかなかお主も悪よのう。しかぁし、おそらく送り狼になれずに終わる松岡と」
「送り狼になるどころか告白もできずに終わるに一万円。」
と後ろで黙って聞いていた伊織が出てきて言った。
「いっ一万円って‼️伊織あんたいつから居たのよ」
と言うと
「ん~と松岡が入ってくる前からだけど。
みんないい味だしてて面白かったわよ。」
ひかると沙代子は顔を見合わせた。そんな二人を気にもせず
「ちなみにリーコに合コンの電話をして来たのは、ほら時々店に来る月ちゃんって子で集合はあさっての7時。
女子の待ち合わせはフルールってカフェ…なに?」
2人の視線を感じて伊織が聞くとひかる店長が
「あんたってさ一番怖いわ。」
伊織はちょっとムッとしながら
「へ~そんなこと言っていいのかしらぁ~明日の企みリーコにバラしてもいいんですけどぉ~」
と言った。沙代子は焦って
「一万円って、さすがに高くないですか?」
「え~自信ないんだぁ仕方ないなぁ。じゃあ千円に負けてあげる」
と言った。
金とるんかい!
と二人は心のなかで突っ込んでいたが沙代子が
「わかりました千円ですね、ったくガメツイんだから」
と言うと満面の笑みで
「ありがとう。本当~面白かったわぁ~今日のってサスペンスドラマみたいだったわよ~みんな素敵よん。」
と言いルンルンで伊織は去っていった。
「なんかさ結果的に伊織が一番楽しんでない。」
とひかる店長が言うと沙代子は頷きながら
「ですね何てったって新婚ですからね。自分はいじられたくないけど人の恋路をいじるのはめちゃくちゃ面白くて大好物なんでしょうね。
ってか松岡だからってのもあるのかも…
結婚してからむしろパワーアップしてるし。
かわいそうに旦那さん完全に伊織さんの仮面に騙されてますよ。」
と沙代子が言うと
「そうだね~まさにイリュージョンだよ。伊織の旦那も沙代の彼氏もかわいそう」
とひかる店長が言った。すると沙代子はムキになって
「なんで私も入るんですか!!
あのね確かに私は毒舌ですけど、伊織さんみたいに腹黒くはありませんからね。店長こそ旦那メタボにしてなに企んでるんですか…まっまさか。」
と言ったその言葉に、ひかる店長がビクツキながら
「なにも企んでないわよやめてよね、あんた達こわ!!ていうかなんか脱線してきてない私達」
と言うと沙代子が
「本当だいつの間にやら恐るべし伊織さんマジック」
と言った。