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アンドロイド  作者: 中川 はじめ
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不器用な少女

エージ「今回は俺の凄さが分かるな!」

ショウ「は!? そんなのさせないし! 急いで行ってやる!」

エージ「結構の距離あるだろ!」

ショウ「うっさいね! 主人公の俺より目立たせねーよ!」

ラータ「はぁ…子供みたいなことはやめてください。7話が始まりますよ。」

エージは亀のような甲羅を背負ったエンディアと戦闘を繰り広げていた。

キドラからもらった瓶を開けて全部のうち半分ずつをそれぞれ両方の拳に塗ったエージは、ボクシングのグローブどころかメリケンサックを両手に付けているようなものだ。しかもエンディアに効果抜群のものだ。

上手く亀エンディアの攻撃を避けて隙を突いて攻撃する。元々ボクサーなだけあってエンディアはたまらずよろめく。そこを見計らってエージはもう一発拳を食らわせてやった。エンディアは倒れ、早々なノックアウトだった。かと思われたが、頭や四肢を甲羅の中に引っ込めると、それはひとりでにスピンしてエージをの方に飛んで襲った。もちろん数々のボクサーの拳を避けてきたエージの動体視力は一般人とは違うため、軽々とそれを避けた。エージを通りすぎた甲羅はUターンして戻ってくる。エージはそれをまた避けるが、再びUターンしてくる。

「くそ…こっちが先にバテちまう…! なんかねぇのか…?」

エージは独り言を呟きながら相手の攻撃を避け続ける。すると、ずっと握りしめていた拳が青色の光を放っていることに気付く。なにか思い付いたエージは、再びとんでくる甲羅に、当たる直前まで引き付けてから殴り飛ばす。青色の光はエネルギーの塊になり、それが当たった甲羅は5、6mまで吹っ飛んでいった。引っ込んでいた手足と頭は堪らず現れ、それを確認したエージはとどめの一発をかまそうとするが、足元の地面を光の弾丸が貫いた。

「やるな、生身の人間。」

銃を撃ったのは、黒色の質素なアーマーに身を包んでいたイスパードだった。

「てめぇ…邪魔しやがって…!!」

「素手で俺とやりあおうと言うのか?」

「上等だ! やってやんぜ!!」

拳を握ってそれをイスパードに向ける。イスパードは躊躇なく2発ほどまた銃を撃つ。

またしても地面に当てた。威嚇射撃だろう。

「調子に乗るな。貴様が俺に勝てるわけないだろ。分からないのか?」

こんなときにアーマーロイド装着者になっていればと、エージは心の底から思った。

エージは身構えると、そのままイスパードに背を向けて走る。そして瓦礫の陰に隠れると、電話でショウに連絡する。

「ショウ! もう一体のエンディアと戦っていたらイスパードが出てきやがったんだ!」

《…!? わかった、今向かう!》

向こうから通話を切断すると、イスパードが手当たり次第に銃を撃ちまくる。

「どこに隠れた…? しかし見つかるのも時間の問題だ。潔く出てこい。」

エージにそう呼び掛ける。しかしエージは、じっとしてショウが来るのを待っている。待っている間、相手の様子を伺って隙を探る。

「そこか?」

エージがいない方向に銃を撃つと、そこが爆発した。先刻連絡したばかりだからいくらショウでもすぐには到着しない。このままではまずいと思ったエージは、意を決して隙を突くことで時間稼ぎをしてやろうと思い付く。問題はどうなるかだ。相手は銃を物袋いるため、見つかったらすぐに殺されてしまう。自分なりに色々と考える。その辺の石を投げて物音でイスパードの意識を逸らさせるか、匍匐してバレないように瓦礫の陰を移動し、近付いていくか。しかし、殺されると分かったとたん考えが止まってしまった。見つかるくらいなら下手に動かない方がいいと思い付く。だがイスパードはいい加減に銃を撃ちまくり始めた。

「出てこないなら、自分から出てこさせるだけだ。」

まずい、死ぬ。 エージの脳裏によぎった言葉はそれだった。混乱したエージをよそに、弾丸は次々と瓦礫に穴を開け、どんどんと削られていくそれの面積が小さくなっていく。陰に隠れられるのも僅かだ。そんなとき、自分の塵や埃に汚れた手のひらを見つめていると、なにか決心したように勇気がわいてきた。

「…ここで…負けねぇ…!」

覚悟を決めたエージは、陰から出てきて銃を構えるイスパードを睨み付けると、力強く拳を握って構える。

「そこにいたか。ふん、今すぐに殺してやる。」

イスパードはすぐにエージに銃口を向ける。

エージの拳は青色の光を纏ってエネルギーを溜めているため、徐々にその光は大きくなっていく。そして、思いきり拳を突きだしてやると、拳の形をした青色の光の塊がイスパードの方向に飛んでいく。それをイスパードは見切って避ける。そして再び銃口を向けるが、そこにはエージの姿はなかった。

「…また隠れたか…だがそれも無意味だ。アーマーロイド装着者でもない貴様はそう遠くまでは逃げられまい。」

やべぇ。エージは今度こそ死を完全に予感した。しかしここでくたばって堪るかという戦意もあった。その意思を行動に移すのに多少の時間はあったが、ぎゅっと握った拳は再び青い光を纏い、そしてエージはイスパードの方へ走って行く。拳を振りかざし、イスパードがそれに気付いて振り向く頃には、エージの拳がイスパードの目の前にあった。そしてそれはやがて頬にめり込み、青い光の影響で体ごと後方にとんでいった。

数メートルまでとんでいったイスパードは上体を起こし頭を抑える。しかしフラフラしている様子からすると、軽い脳震盪を起こしているのかもしれない。エージはもう一発かましてやろうかと思ったが、イスパードが謎の機器を取り出し、刺さっていたナイフのようなものを一度抜いてから再度刺し直すとすぐに立ち上がった。

「くそ…! 貴様ァ!!」

怒ったイスパードがエージに銃口を向けると数発ほどでたらめに撃つが、エージはひたすら当たらないように全力で自分から見て3時の方向に走る。背後から迫りつつある、弾丸が地面に当たる音が背中を冷やし、それが加速になる。無我夢中で走っていると、その弾丸が止んだのに気付いた。助かったと思って足を止めるが、疲弊しきってそのまま転倒する。イスパードの方を見ると、キドラがイスパードど肉弾戦を繰り広げていた。

「あいつ…大丈夫なのかよ…!」

戦いなれていないであろう彼女の弾丸が方はでたらめに殴っているように見える。イスパードは彼女の攻撃を手で受け止めて流す。持っていた銃を彼女に突きつける。そこで危機を感じたエージはイスパードに体当たりをする。その衝撃でイスパードの銃が火を吹いた。その先にあったエージの胸部を弾丸が抉る。転倒する寸前で体制を整えたイスパードがエージにとどめを刺そうとする。それに気づいたキドラは、倒れて血を流している瀕死のエージを庇う。

「ふん。貴様も殺してやる…!!」

銃口がキドラの頭に向けられると、さすがに死を覚悟したが、どうせ助かっても殺されるのに変わりはない。キドラは全身を金色のオーラで包み、イスパードに殴りかかろうとするが、イスパードの後ろから赤と青の光に身を包んだ者が飛び蹴りをかました。

「正義のヒーロー、ここに参上! 待たせたな!!」

『キドラさん、エージさんを安全な場所へ運んでください!』

ショウとラータだ。いや、正確にはラータを鎧として纏ったショウだ。

「チッ……アーマーロイド使いか…!」

「あんたもしつこいんだね。まっ、うちのゴリラを半殺しにしたお礼だ……ありがとう!」

『言ってる場合ですか。』

「ふざけられるのも今のうちだ。アーマーロイド使い!!」

「余裕なんだね。でーも、もうその口聞けないようにしてやる!!」

足を赤いオーラで包み、地面を蹴ってイスパードのもとに一気に駆けると、その足で胴体部分を思いきり蹴った。

痛みで怯んだところをさらにもう一発蹴りをかます。

2、3歩ほど後退した彼はついに片膝を地面に着けた。

武器を取り出したショウは、動けない状態のイスパードをホールドアップした。

「動かない方がいい。じゃないと死ぬかもよ。」

ショウはエージを痛め付けたイスパードに怒っていた。そのためにその言葉は動かさないためのただの脅し文句ではなく本気なのだ。

「クックックッ……貴様こそな……!」

「_ッ!?」

ショウを背後から何者かが刺した。

「残念だったな、ジクティア…だったか?」

耳元で聞こえたその声は、明らかに加工されており、しかしそれでも伝わる狂気はなんとも言えない恐怖を感じさせた。だんだんと苦しくなってきたショウは、ついに意識を失った。





Android #7 不器用な少女

エージ「どーよ! 俺マジ最強! それに比べて誰かさんは後ろから刺されちゃって…。」

ショウ「あんたも人のこと言えないでしょうが。」

エージ「キメ顔して後ろから刺されるよりましだろ!」

ショウ「あーもーうるっさいなぁああ!!!」

ラータ「…次回に続きます…。」

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