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アンドロイド  作者: 中川 はじめ
49/49

次世代へ

ショウ「さて、今回で最終回。」

ナツミ「長かったですね……」

ショウ「途中からふざけた前書きも無くなってたしね。」

ナツミ「ええ、そうでしたね…。」

ショウ「作者がノリで書いたからどっかから影響受けてるのがモロに出てる作品が終わりをむかえ__」

ナツミ「ショウ、やめておきましょうよ。」


さて、最後の日曜日にお届けするAndroid最終回、どうぞ。

異世界から現れたルーグが引き起こしたスラフ州の国々を巻き込む戦いが勃発した。ショウたちの活躍によって最悪の事態は免れた。

それから5年の時が経過した。

街はもちろん、ルアフ国もサテル国もレディナ国も平和になった。

まだ運良く逮捕を逃れたテオス残党による犯罪行為もあったが、それも年々減ってきている。

世界を救ったことに貢献したと言われているアイドルのMoonも、今では売れっ子になっており、以前のようにミユがショウの家に遊びに来ることもなくなってしまった。それはそれで寂しく思った。

そんなある日、たまたま休日ができた彼女が彼の家を訪ねることにした。

彼女はもう23歳になった。事件当時は18歳だ。

家の前に着くと、目の前のインターホンのボタンを押して鳴らした。

《はーい?》

スピーカーから女性の声がした。ナツミだ。

「久し振り。ミユだよ。」

《! ミユちゃん! 待ってて!》

プツンと音がしてしばらく待つと、今度はドアが開いた。

「久し振り! 大丈夫なの、ここに来て?」

ナツミの顔が見えると、懐かしさをおぼえた。...恐らく年齢は聞かない方がいい...のか?

「うん! ショウは...?」

「ショウ? いるよ! 入って入って!」

誘導されるまま家に入ると、懐かしい香りと感じがした。5年前は自分もここに居候していたことを思い出した。

地下から誰かが上がってきた。

「お、ミユじゃん! 久し振り!」

ショウだ。相変わらず茶色の髪がはね、可愛らしい顔でやんちゃさが伺える。これでも彼はもう27だ。とてもそうは見えない。

「うん! 元気だった?」

ミユは彼の顔を見ると、少しだけ安心した。

「もちろん!」

笑顔で答えてくれた。

かつて自分も恋した男だ。結局想いを告白することもなく終わってしまった恋だったが、今ではそれで良かったと思えている。ナツミとショウは結婚した。彼らの薬指にはダイヤモンドの指輪がちらついている。

「コーヒー出す?」

彼がそう言うと、ミユは

「うん、いただくよ。」

と言った。

彼女はソファに腰掛け、ショルダーバックを隣に降ろした。

「最近仕事の方はどう?」

ナツミが彼女の隣に腰掛け、心配そうにきいてきた。

「まぁ忙しいけど...充実してる感じがするから、毎日楽しくやってる。」

「良かった...! 今じゃワイドショーにも出てるもんね!」

「まーねー! ネットアイドル時代からやってたから、得意っちゃ得意だし!」

あの頃も楽しかった。ミドリと二人でわちゃわちゃしながら作る配信用動画も、必死に貯めたお金で買った器具やソフトを使って作曲したり、配信用にニュースからネタを仕入れたりした日常。ミドリとは今でも一緒に暮らしているし、仕事もしている。しかし彼女には彼氏がいるため、いつ出ていってもおかしくはない。相手の名前は、深海(ふかみ) 波瑠(はる)。女の子らしい名前だが、れっきとした男の子だ。

「ほら、コーヒー。」

ショウが淹れたコーヒーを一口飲むと、それは当時と比べて格段と旨くなっていた。

話によると、どうやらタクミが喫茶店を開いたらしく、淹れ方を教えもらったらしい。ミホも看板娘としてそこで働いているという。...それより、教えてもらったということは、ショウが淹れたこのコーヒーは豆から淹れたのだろうか。そう考えると驚いてしまう。


彼によると、カズトは実家の農家を継ぎ、“(さかん)”のブランドを守っているそうだ。グメアだったホノカとは連絡を取っていないが、どうやら研究員となって異世界について調べているという。

アーマーロイドだった人たちの連絡先は知らないが、首相から聞いた限りでは皆元気そうだ。

しかし、エージと、キドラだったアカリとはずっと連絡を取っていない。今どこで何をしているのか、把握していない。

「それで、何か用だったのか?」

「ううん、休みだし、顔が見たくなったから来たんだ。」

「そうかそうか、ま、ゆっくりしてけよ!」

「うん!」

3人で話していると、ナツミが夕食の支度のために台所に立った。立派に主婦をしている。

ショウはフリーライセンスの仕事をしており、時には企業から依頼を受けてアプリの開発をしているのだそう。本人曰く、お陰で財布の中身はホクホク...どころではなく、アッツアツらしい。(?)

「そういえば、ダイチたちは?」

「あー、変わらない。ダイチは研究者で、ダイスケは...なにしてんだろうな。ローナも連絡してねーなー。」

呑気に彼が言うと、テレビのリモコンを手に取り、電源を入れた。

....。

「...!?」

「!!」

二人がたまたま映ったニュースの画面に驚き、目を丸くした。

「ど、どうしたの...?」

ナツミが二人にきく。

「あのばか! やりやがった!!」

ショウが満面の笑みでそう言った。なんのことかと思ってテレビの画面を見ると...。

『よっしゃーー!!! やってやったぜー!!!』

汗だくのエージが両手でチャンピオンベルトを掲げていた。

柏木(かしわぎ) 影次(えいじ)選手! リーグ制覇おめでとうございます!!』

『あざーっす!!』

そう言えば今日はチャンピオンリーグがあった。そうか、あいつは優勝したのか。ショウはまるで自分のように嬉しくなって満面の笑顔になっていた。

「あいつまじかよ!! おーー!! 今日は祝うべきだ!!」

「本人がいないのに私たちだけで盛り上がってどうするんですか? 皆忙しいですよ?」

「...そうだったぁぁぁぁあ......!!!」

彼は膝から崩れた。


「タクミくん! テレビ!」

ミホに言われた彼は、急いで喫茶店にあるテレビの画面を見た。

「エージ...! あいつ...ほんとかよ...!」

つい口角がつり上がり、声に出た。

「どうした、マスター?」

それに気付いた常連が彼に声をかける。

「あぁいや...フッ...そうだな...。」

カウンターに戻ると、彼は店内にいる客全員にこう言った。

「今日はここにいる全員に一杯だけ奢ってやるよ!」

店内が一気に賑わった。


「ふー。これで収穫は全部か...。」

野菜が詰まったダンボールを軽トラックに乗っける作業が終わった。汗を拭いながら、カズトは実家の縁側に座り、そしてスマホでニュースを見始めた。

『【速報】ボクシングチャンピオンリーグ決着! 期待の新人チャンピオン爆誕か!?』

彼はそれをタップし、内容を見てエージの優勝を知った。

「...へへッ...。ついにやったな...エージ...。」


ダイチとダイスケはたまたま再会をしており、ローナだったカレンから情報を知った。

どうやらローナも結局人間に戻ったようだ。

「ほんとかよ...!」

ダイスケが目を丸くしてカレンを見た。

「...。さすがだな。」

ダイチがふっと笑った。

「しかし...あいつのなかにはキドラのエキスが染み込んでいるんだろ...?」

そんな彼にダイスケが問い出した。

「俺が作った薬によって、あいつからキドラのエキスは一滴も残っていない。体には一切ダメージはないし、ドーピングに引っ掛かるような成分も入れていない。つまり、優勝はカシワギの実力だ。」

ダイチはそう言いながら小さなタブレットを二粒程取り出し、ダイスケとカレンに見せた。

「...フフッ...。まじかよ...。」


「エージ! やったね!」

アカリが泣きながら彼に抱きついた。

「おいおい...! 俺は汗だくだぞ?」

「いいよー!!」

「へへへ...!」

アカリが着ていたオレンジ色のVネックに彼の汗が染み込んだ。それすら気にならないくらいの感情だ。それもそのはずだ。

「アカリ、優勝したぞ...!」

ぎゅっと抱き返し、囁くように言った。

「...うん...!」

「約束、結婚してくれるか...?」

「する...!!」

嬉し涙が絶え間なく頬を伝う。一層強く抱き締め、密着する。彼女から香る良いにおいが幸せな気持ちにさせた。

なにより、今婚約を結んだことが嬉しいのだ。




ガーディアンズの絆が途切れることはない。

離れ離れになっても心のなかではいつも必ず繋がっている...。なんて臭いこと、ほんとにあると思う?

俺はあって良いと思うし、そうでなかったとしても一度結んだ絆が自分を成長させてくれることがあると思う。

一緒に戦ってくれた仲間たち...。俺にとってあいつらは友達とかそんなもんじゃない。多分この先も、一生...繋がってる気がする。

皆もそんな相手と出会えるといいな。

頼れる友人、ちょっと嫌なあいつ、好きな人...。“人との繋がりが世界を創る”...。...なんて、ちょっと盛ったかな...?



【作者から】

私は第一話の前書きにこう書きました。

「ヒーローって理不尽ですよね。顔も知らない誰かのために自分がボロボロにならなきゃいけないんですから。ほんとヒーローって分からないですね。どうしてそんなことができるんでしょう?」

結局その答えは…皆の笑顔、そしてそれが創る平和と、人の絆が創る世界を守るためでした。ありきたりでしたね。しかし彼らは、戦えない自分たちの代わりに戦うのです。なら、私たちがそんなヒーローを応援しようではありませんか。

もちろん空想のヒーローに限ったことじゃありません。

あなたの中にいる、あなたのヒーロー…スポーツ選手はもちろん、憧れの人だってヒーローみたいなものです。

応援は力になりますからね。



「今からお前に魅せてやる! 最高の勝利を!」





英雄之仮面 鎧の機械

アンドロイド 完結










【番外】英雄之仮面 氷河の狼

・ウルフ(タクミ)が主人公の番外編(全1話)

平和になった国ルアフ。

しかし、かつて世界を混乱に陥れた悪の秘密結社“『テオス』の意思を継ぐ者”と名乗る男が現れ、ルアフは再び混乱に陥る。

男はタクミと古くからの知り合いであり、手を出すなと言って彼の愛する嫁であるミホを人質に取った。

自分の身内がしでかしたことは自身でケリを着けると言った彼は、たった一人で敵に挑む。


【番外】英雄之仮面 溶炎の隷

・カズト(レイシス)が主人公の番外編(全1話)

どこから仕入れたのか、アーマーロイド技術を手に入れたとある組織がそれを使ってテロを起こそうとしていた。

交際相手が出来て浮かれていたカズトは、その組織を潰すために再びレイシスに変身する。

しかし、相手のアーマーロイドは今までのものではなく、苦戦を強いられていた。下手をすれば死ぬかもしれないこの戦いに一人で挑み、愛するもののため、そして何よりサテルやルアフの未来のために戦う。


【番外】英雄之仮面 魔王の月

・ミユが主人公の番外編(全1話)

残り話数やタイミング等の事情で本編では語られていなかった「魔王誕生」を描く。そして、新たなる脅威を前に、彼女は再び魔王としての力を覚醒させる。


ジクティアが暗い道を歩いていると、目の前に見覚えのある格好の男が現れた。

あの時、塔で助けてくれた紫コートと白い仮面の男だ。

赤い瞳が光っており、強い正義の意思を感じる。

ジクティアは右手を軽く上げると、男は通りすぎ様にハイタッチした。

パンッ! という音が空間に響き渡ると、白い仮面の男は体ごと振り向いてジクティアの背中を見届ける。彼はそのまま暗闇に消えていった。

男はその背中に軽くお辞儀をすると、向きなおして自分の道を進み始めた。


英雄之仮面 神の使者

化神-バケガミ-


次回スタート

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