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アンドロイド  作者: 中川 はじめ
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知るべき運命

あれから数ヶ月が経ち、雪が降る季節になった。

ずっとルーグたちに動きが無いのだ。ガーディアンズのショウ、エージ、カズト、ダイスケ、タクミらはそれぞれの時間を過ごしていた。

ショウはずっとカズトとダイスケのパワーナイフとパッドの一式を開発していた。

こんなときにミユの力が欲しいのに、しばらく姿を見ていない。配信もしていないため、割と本格的に行方不明になっている。


外ではキドラやミホ、ラータやグメアたちが雪合戦をして遊んでいた。

白いボールを互いに投げ、首もとに入り込んだときに感じる不快な冷たさに背筋がゾッとする。

エージとカズトが必死に雪を端っこによせるようにかいていた。

そう言えばグメアは性格が変わったみたいになっていた。何故だろう?

「ひゃああ!?」

キドラが投げた雪玉がグメアに当たった。どうやら首筋に入り込んだようだ。

前のグメアだったらこんな声出さないだろう。もしかしたら雪を当てられたらガッチガチに固めた、もはや凶器となっている雪玉をぶつけてくるだろう。いや、参加もしないか。

休憩にタクミが淹れたコーヒーを飲んだ。

「さみぃ...!」

エージがそれが入ったかっぷを両手で持って呟くように言った。

「平和な冬だな。」

そういえばサテルは北にあるため、ルアフよりずっと寒い。

「カズっち、俺は実はサテル育ちなんだよ。」

「は、そうなのかよ?」

エージとカズトが同時に言った。

「あぁ。サテル国内で有名な野菜ブランド、“(さかん)”には世話になってたなぁ...。」

「お前、盛を食ってたのか!?」

「ん? あぁ。野菜本来の甘味が引き出されていてな、食感はもちろんのこと、当然栄養も豊富だ。その分の値は張るが、個人的にそれは気にならないな。知ってるか、盛のじゃがいも。外側を洗い、皮を向かずに__。」

「当たり前だろ! あれァ、うちの両親が営んでる農家のブランドなんだよ!」

「...はぁ...!?」

どうやら二人が意気投合し始めているらしい。しかしエージにはてんで分からず、キドラたちを眺めていた。

「この戦いが終わったら、親父さんによろしく言っといてくれるか!? 俺は盛のファンなんだよ!」

「珍しいな! わかった、任せろ!」

楽しそうに横で会話していた。

寒さに凍えていると、エージの顔に雪玉が当たった。

「ご、ごめん!! エージ、大丈夫か...!?」

「やったなこの!」

駆け寄ってきたキドラをしっかりと捕まえ、引き寄せ、転ばせた。自分をクッションにさせたから怪我はしない。

「わー! 冷たいよ! はなせー!」

「こんにゃろー!」

楽しそうに遊んでいると、グメアが嫉妬してエージを攻撃してきた。

「キドラちゃんを離せこのケダモノー!」

「誰がケダモノだおい!!」

キドラを離し、ムキになって雪玉を作って投げた。

「おいエージ、お前...。」

タクミが制止を試みるが、すぐに諦めた。

「俺らも混ざろうじゃねぇの。」

カズトがタクミを誘うと、しばらく考えたあとに頷いた。

「男組だコラぁ!」

気迫が凄かった。一瞬静まったが、ラータが投げた雪玉が顔面に直撃してドッと笑いが生まれた。

「やるじゃねぇかコンニャロォ!」

楽しそうに雪合戦が再開された。



「...はぁ、やっとできた。」

カズト専用のパワーナイフ一式と変身パッドがようやく完成した。チャージロイドだからということで、ある程度容量を増やし、その上に改造した。だから手間が増えてしまった。

あとはダイスケのものだけだが、ここであることに気付いた。

「タクミのやつ...どこでセットを入手したんだ...?」

そして気付いたことはそれだけじゃない。ダイスケには契約しているアーマーロイドもチャージロイドもいない。だから開発する必要がない。

それに気付いてから足や腕、胴をうんと伸ばした。そして机に突っ伏すと、そのまま眠った。


《ニホンの人間は我々の文字を古代文字のようだと言った。そこの文字は一つ一つが独立しており、それが連なってひとつの言葉になる。》

《ビビもナツミも、血は繋がっていないが、家族だと思っている。》

《「あなたを愛している。」》


ハッと目が覚めた。

また同じような夢だ。白衣を着た赤い髪の女の人がニコッと笑ったのが見えた。あれはいったい誰だ?

誰だか分からないハズなのに、何故か懐かしさがある。そしてその人を思い出そうとすると、家族の記憶が見えてくる。何故か分からない。

「ショウ...?」

彼の相棒、ラータだ。その後ろにダイスケもいる。

「お前、どこで知った?」

ダイスケがきいてきた。ショウにとってはなんのことを言っているのか分からなかった。

「アーマーロイドの設計者、“荒井(アライ) (モモ)”のことだ。」

「アライ モモ...? どうしてそんなこと...?」

「お前がうなされながらボソッと言っていた。『アライ モモ...。』ってな。」

身に覚えが無い。

汗だくのセーターを着ていることが不快になって急いで脱ぎ、着替えを服のタンスから持ってこようと移動した。

「...アライはテオスの科学者だった。記録では、人一倍に働いていたらしい。最後に基地に来たのはもう23年も前だ。」

「23年前...。てことは今は...。」

「辞めているんだろう。探すか?」

「...探せるなら、探す。」

ショウは着替え終えると、コンピューターがある机から紙とペンを持ってきた。

そこに、「アライモモ」、「ナツミ」、「ビビ」と書いた。

「なんの手掛かりも無いんだぞ。どうやって探すんだ。」

「20年も前なら研究員の個人情報は紙の資料として残されているはずだ。」

「...だがルアフの拠点は俺が__」

「レディナにはないのか?」

子育て支援を重点的に行い、国民の生活を第1に考え、少子化未然防止に取り組んでいる国、レディナ。国際平和賞を受賞した経歴がある。張り合うわけではないが、ルアフにだってある。

レディナとルアフはそれほどまでに平和だということだ。だがそんな国だからこそ、テオスのような組織に狙われたのかもしれない。

「レディナか。なるほど。軍事力に集中しているクワラやオーラモは戦力が高い...だから低そうなレディナを...。」

「行こう。レディナに。」

コンピューターを起動し、航空券を買うためにサイトを開いた。

「会員制か...まぁいい...。」


数十分後

「席とったぞー!」

ショウが嬉しそうに1階にいる皆に言った。

「...だけど、4人分だけだ。俺とラータと...あと2人だけ。」

エージが名乗り出たが、賛成するものは居なかった。何故なら、あの時__ 初めてチャージロイドになったキドラとアームドしたときだ。動けなかったのだ。戦力としては申し分ないが、それを扱うことができないと、意味がないのだ。

「俺が行く。」

名乗り出たのはイスパードのダイスケだ。残りの一人をパレンにした。彼がいればテオスの内部情報を仕入れることができるし、パレンがいればフォームアップができるからだ。(選んだ理由は、ショウが弓を使ってみたいかららしいが、もしもの時はクートに飛んできてもらう。)

出発は来週になっている。

「何泊するか分からない。から、それなりに着替えを用意しておいて。」

「何泊するか分からないってお前...金は...?」

ダイスケがきいた。

「それなら問題ない。魔法のアイテム、カードがある。」

ショウは黒いカードを取り出して言った。彼は何気に8桁くらいの金を持っている。どこからその金が来ているのかが気になったタクミは、彼に聞いた。すると彼は真顔で

「不働収入。」

と言った。

酷い奴だ。エグい奴だ。怖い奴だ。

もうボロクソだ。

「嘘に決まってるでしょ。国守ってるんだから、それなりにお金入るでしょうが。ずっと貯めてただけだよ。」

ショウは本気で信じている皆に呆れながらそう言った。

「嘘つけ...!」

カズトが言った。ラータは彼に、本当のことだと言った。ずっと隣にいた彼女が言うのだから本当なのだろう。


当日...。

ショウ、ラータ、ダイスケは大きめのリュックやスーツケースをそれぞれ持っていた。

「行ってくる。あ、ミユが帰ってきたら言っておいてくれ。」

ショウが見送る皆に言うと、カズトが何かに反応した。

「ミユって誰だ。」

「あぁ、言ってなかったか。ネットアイドルの女の子だ。知ってる...わけねぇか...。」

ショウがクスッと笑うと、カズトの大きな手が彼の肩をガッシリと掴んだ。

強めに掴んでいるため、痛い。

「ミユたんと...ミユたんと...同居してるだと...!?」

あ、めんどくさいやつだ。

ショウは瞬間的に悟った。

「ミユたんと!! 同居しているだとぉお!?」

両手でそれぞれの肩を掴み、前後に揺らした。

「お前、ミユと知り合いなのか?」

エージが呑気な調子でカズトにきいた。

「ミユたんはなぁ...ミユたんはなぁ...! 俺の激推しアイドルなんだよ!!」

大声で、エージに怒鳴るように言った。それによってエージが肩をすくめる。

「お前...オタクだったのかよ...。」

ダイスケが少し引いていた。

「...『カズ』...カズト...お前! もしかしてmoonの配信コメントで一際目立ってる奴か!?」

ショウがハッとして言うと、カズトは嬉しそうに

「あぁそうだ!!」

と言った。

「マジかよ...。」

ギャップが凄すぎる。

「ま、まぁその話は今度にして...い、行ってくる...!」

彼は逃げるようにラータとダイスケを連れてさっさと行ってしまった。




Android #29 知るべき運命

ショウ「あれ? なんで前書きのコントがないの?」

エージ「あー、そういえばな。」

カズト「どうやら『何書けばいいか分からなくなってしまった。』らしいぞ。」

ショウ「こうなったら...作者をボコボコにしよう...。」

タクミ「行くぞお前ら。」



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