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アンドロイド  作者: 中川 はじめ
3/49

バカと天才は紙一重

ショウ「うーん。マスクマン…ラビットマスク…うーんかっこいいのないかなー…?」

エージ「ウサギマンでよくね?かっこいいだろ!」

ショウ「ブフッ!お前は本気で言ってるのか!?」

エージ「あんだゴラァ!やんのか!?」

ショウ「あーうるっさいなー。ちょっと言っただけでしょうが。」

ラータ「それが問題かと。」

ショウ「な……もういいや。はいはい、さぁどうなる第3話~」

エージ「雑かよ!!」

「ここに住んでるからには少しでも働いてもらわないとな。」

エージが居候し始めて二週間が経過したある日、ショウがエージを自室によびだした。

「…隠れ家の紹介か?」

「一見したらお爺ちゃんお婆ちゃんが住んでそうな家。中身もそう。けどキッチンにある地下室への扉を抜けた先はなんと近未来的な地下室が広がっていましたーってか。誰に対しての紹介だよ。」



「お前も戦ってもらうの。俺より強くなるでしょ?」

コーヒーの芳ばしい香りが充満している部屋でソファーにくつろぎながらショウが、腕立て伏せを終えたばかりで汗に濡れながら床で横たわっているエージに提案した。

エージは現役でボクサーなのだ。そりゃあ強いに決まってる。

「戦うのか…。」

エージはそう言って自分の拳を見つめる。

「…何か不満でも?」

エージには何か思うことがあったのだろう。二人の会話を横で見ていたラータはそう思った。確かに彼がアーマーロイド装着者になると即戦力だ。いつも怠らずに筋トレで鍛えた肉体を存分に活用してもらえれば、もしかしたらショウをも越えるのではないだろうか、という期待もあった。

なにかを誤魔化すように深く息を吸い、

「いや…てっきりバイトとかされんのかと。」と言った。

そして腕を広げて伸びをした。

「ラータ、確かお前の主人は俺だから俺にしかアームドしないんだっけ。」

ショウがアーマーロイドと主人の基本知識を確認する。その通りだ。アーマーロイド自身が認めた主人にだけ、アームドすることができる。又、アーマーロイドの主人は1体につき1人までだ。

「じゃあ新しいやつを作るかー。」

「…そんな簡単にできんのかよ?」

「まずはお前の適性検査だ。肉体的には申し分ないだろうしそこはいいや。」

ショウは立ち上がってデスクからタブレット端末を取り出した。

「アーマーロイドにはタイプがあって…いや、タイプといってもまぁ、エキスなんだけどな。見た目、性格、基本的、又は応用的な機能を決めるエキスと、攻撃力…まぁ戦闘能力に特化した機能のためのエキスの2つがある。例えばラータは兎の耳があるし、すばしこいから兎のエキス2種。高い俊敏さと、大地を蹴る力。それが赤と青。

そのエキスの適性検査をする。」

「何いってるかわかんねぇ。」

「つまりアレルギーがあるかないかの検査だ。」

「なるほど。」

ショウがエージを鼻で笑った。それに気付いたエージがムッとした表情でショウを見る。ショウが早く立てと急かす。それに応えてエージが上体を起こし、あぐらをかく。

「検査って何すんだ? その端末でなんとかなんのかよ?」

「なるわけないでしょうが。これはあくまで参考の資料として記録を保管するの。時代はアナログよりデジタルなんだよ。」

「時代は変わったな。 まぁいいや。始めてくれ。」

「待ってな。」

端末を置いてまたデスクの中から小瓶のようなものとスポイト、綿を取り出した。エージのところまで戻り、ふたを開けてスポイトで1滴分吸い、綿に染み込ませてエージの手の甲に付ける。

「なにこれ?」

綿に染み込ませたエキスを手の甲にとんとんと付けるショウを見てエージが質問した。

「ゴリラのエキス。」

作業をしながら答える。

「なんでそれをチョイスした。」

ショウの目を覗きこむようにして見て質問する。

「お前にピッタリだろ?」

作業を止めてエージの目を見て答える。

無言の間が生まれた。エージが怒りだすかと思ったらそうでもなく、体勢を戻すとショウも作業を続けた。

3分後。

「さて…どうだ? 痒いとか痛いとかないか?」

ショウが端末を再び持って経過を聞く。

「めっちゃ痒い。」

エージが冷静に答える。

「そうか。手を洗ってこい。」

言われたエージは洗面所で手を洗いにいった。

「ゴリラ…バツ…っと…。」


ハリネズミ

「チクチクする。いてぇ。」

パンダ

「なんか痒い。」

タカ

「なんかいてぇ! めっちゃいてぇ!!」

「早く手を洗ってこい!!」

サソリ

「なんかきもちわりぃ…。」

「ラータ、解毒剤持ってきてくれ。」

タコ

「いてぇ。」

おばけ

「………光明幻影神亥魔界奇怪豪噴怨念……」

「ラータ、お札持ってきて。」


お札…?

私はショウのデスクの引き出しの中にあった小瓶を眺めていた。

すると1つ気になるエキスを見つけた。

「ショウ、その、お札…」

「え? あー冗談に決まってるでしょ。ちょっと手を洗わせてくる。」

虚ろな目でぶつぶつと呪いをかけるかのように言葉を発しているエージを洗面所まで連れていこうとしているショウに、私は改めて小瓶の中にあるエキスのことを言った。

「いえ……お札のエキスがあります。」

「……えぇ……?」


手を洗い終えたエージが復活した。

「あっぶなかった……! 死ぬかと思ったぞ俺! てかおばけのって…どうやって抽出したんだよ。」

「細かいことは言わないの。さ、つぎだ。」

さすがに少し抵抗するようになった。しかしその抵抗も無意味に終わり、問題のお札のエキスを付ける。

エージが黙りこむ。またダメか。そう思っていたが、着けた部分がかすかな青い光を放っていた。

「うそぉん。」

エージが情けない声と表情でショウを見る。お札とマッチしたようだ。

「お札…? 俺…お札…?」

「お札。安心しろって。お札って名前は俺が勝手につけたんだよ。これは“封印の力”があるエキスだったんだ。黎兎さんはこれのことを“鍵のエキス”って呼んでたけどな。」

エキスにも一応順位がある。上級、中級、下級だ。ラータは兎も戦車も下級のエキスである。下級同士のエキスで形成されたアーマーロイドであれば主に適性検査もさほど必要はない。だからラータは適性検査も無しにショウを主人とした。

なので、ラータの主人がショウであるのは、主人になる前のショウは当然これらのことは無知で、検査のことも全部知っていたラータの判断からそうなったのだ。しかし今回は違う。1から作るとなると、それにいくら下級とはいえ、拒否反応が出ることもあるため、適性検査をしたのだろう。

しかし…封印の力があるエキスは中級のエキスだ。まさかマッチするとは思わなかった。

「封印か……早速メモして……そして政府に……」

上級のエキスは政府が保管している。上級には、例えば“不死鳥のフェニックス”、“幻獣のユニコーン”、“伝説の龍”、“禁断の果実”などがある。

次はその上級エキスの中からお札のエキスとマッチするものを何通りか探し、エージと合うかを検査する。

まぁマッチしようがしまいがどうってことはない。


政府にエキスの手配に関する連絡を入れて返事が来るのを待っていると、ショウの目の前に置いてあった携帯がバイブで揺れる。やっと来たかと内心にある喜びを鎮め、それに応える。

「ショウ! A-56エリアにエンディアだ! 迎撃部隊を送ったが通信が途絶えた! 応援に行ってくれ! 繰り返す! 応援に行ってくれ!」

最後の一言を聞くと、問答無用で通話が途切れた。

「うそぉん……」

「どうしたんだよ。まさか化け物か?」

カップラーメンを立ち食いしながらショウに問う。

「…エンディアっていうんだよ。お前が言うその“化け物”ってやつのこと。 お前の言う通り、エンディアが出たみたいだからお前ここで待ってなさいよ。」

カップラーメンのスープを飲み干すと、床にカップを置き、戦う気満々で準備体操をし始めた。

「だから待ってなさいっての。」

「待ってられるか! あいつらは俺の恩師の仇だ…。俺が倒す。んで? エンディアってのはどこにいるんだ?」

エージはポケットから自前の携帯を取りだした。

「だから、お前じゃ勝てないっての。」

そう言ってエージの肩を掴む。それに反応してエージが肩を回し、ショウの手を退かした。

「るせ! 俺がやるんだよ! 確かにまだ見習い程度だけど…俺だって格闘技やってんだ!」

「そんなんで倒せるほどエンディアは甘くないんだよ。」

「やってみなきゃわかんねぇだろ!」

「落ち着けって。…お前じゃ無理なんだよ。分かれ。」

悔しそうに歯を食い縛る。そして険しくなった顔つきでため息をつく。

「…ならやってみるか?」

エージがショウを睨むと、思いきりショウの頬を殴った。

「エージさん!!」

騒ぎに気付いたラータが自室から出てくる。

「ほら、“正義のヒーローサマ”でさえも俺に手を出せねぇんだ。エンディアなんてイチコロだろ。」

頬を痛そうにおさえてショウがゆっくり立ち上がる。

「やるじゃん…でも…お前は俺にも勝てないの。」

瞬間でエージの背後に立ち、それに気づいて振り向いたエージを回し蹴りでノックアウトさせた。

「ボクサー相手に蹴りとは…ショウ…あなた…」

ラータを専属のアーマーロイドとしているショウは生身でもある程度の能力を使うことができる。アーマーロイド装着者は生身の人間相手ならアームドすることなく一撃でKOさせることができる。しかし、それなりに負担はある。色々あるが、中でも厄介なのはアームドした時に使える能力の威力が、生身で使った能力の発動時間毎に下がるというものだ。

「行くぞ、ラータ。」

「…はい…。」

俺とラータはA-56と呼んでいる地域に向かった。





Android #3 バカと天才は紙一重

ショウ「ていうか、サブタイトル前回となんか似てね?」

ラータ「雑な仕事ですね。」

エージ「おいお前!俺のこと蹴っ飛ばしておいてよくそんな平然といられんな!」

ショウ「うわぁエージ」

エージ「うわぁってなんだよ!」

ショウ「はいはい。では読者に挨拶でもしなさいよ。」ε=ε=┏(・_・)┛

エージ「話逸らすんじゃねぇよ!おい待てこのやろぉおおおお!!!」

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