宣言
ルアフはなにもしていない。しかしそれ故に疑いが生まれた。サテルは反撃として、宣戦布告をした。
ルアフ国内の某所が戦場となっていた。そこに赴く兵士たちが次々と物言わぬ屍となっていく。そこに彼ら、サテル軍の一部隊の長、カズトがいた。金色と漆黒が交わった色の鎧を身に纏い、ルアフ軍の兵士たちを次々と薙ぎ倒していった。
戦車の砲撃にもある程度耐えられる程の防御力とそれをひっくり返す程の攻撃力を持ち合わせる化け物が誕生してしまったのだ。
ショウたちに出された指令は、その化け物を止めることだった。彼は現場に一人で向かった。
「てめぇがジクティアとかっていう奴か。」
カズトが顎をつきだし、見下すように言った。
「...そういうお前は何者だ?」
「俺ァ...サテルの兵士、カズトだ...。」
目が赤くて鈍い光を放った。その目を見ただけでも力の差を感じてしまっていた。だが引き下がるわけにもいかない。そう思った彼は、早速変身パッドとパワーナイフを使うことにした。
「...少しは俺を楽しませてくれるんだろうなァ...?」
拳を向けたと思ったら甲を下にし、人差し指を出してくいっと動かした。完全に挑発している。
それに乗ったみたいになって嫌だったが、構えをとって殴りかかった。空を切った。赤のオーラで加速したはずなのに見切られていた。カズトの肘が背中の真ん中にめり込んだ。勢いで数歩前に進んだが、踏みとどまって振り返りざまに蹴りをかます。が、足が捕まった。
「安直なんだよ...。全部全部全部!!」
足を離すと、すぐさまにパンチを連打してきた。最後の一発はフルの力を拳に込め、叩きつけた。その威力によって吹っ飛ばされ、地面を転がった。
「足りねぇ...。てめぇじゃ俺を満たせねぇ...。もういい......。」
ため息を吐いてそう言った。すると、後ろからそれぞれ赤黒と桃色の二人の女性が現れた。恐らくあれらもアーマーロイドだろう。だがなにかひっかかった。アーマーロイドが鎧を着ていたのだ。普通の鎧でないことは見てわかった。どういうことだ?
「終わりだ。ルアフの英雄、ジクティア...!」
赤黒のアーマーロイドが剣を抜く。ジクティアは立ち上がって応戦するが、相手の素早い動きについていけず、圧倒される。
「ショウ!!」
一人で現場に向かった彼のあとを、彼の相棒であるラータが追っていた。
「ラータ...なんで...!」
「普通では無理です...。二重にいった方が...!」
「...それもそうだったな...俺としたことが...!」
立ち上がり、ラータをアームドした。
「......その姿...。」
カズトがボソッと呟き、睨んだ。赤黒のアーマーロイドに助太刀するように桃色のそれも参戦した。
「さぁ...こい!!」
ジクティアのその一声に、二人が一斉にかかった。さっきよりはまともに戦えている。
「ルーラ!」
赤黒のやつが桃色の奴に何か言った。
「分かった、ムーナ姉ちゃん!」
そう言うと、二人が見事な連携を見せてきた。どうやらこの二人はそれぞれルーラとムーナと言うらしい。赤黒がムーナで桃色がルーラ...。双子か?
剣で斬りかかってくるムーナをなんとかしてやりたい。攻撃を避けつつ隙を探るが、そんなことはさせないと言うようにルーラが攻撃してくる。
『ショウ、青の力を起動させます!』
「頼む...!」
その力で攻守の濃緑を上げた。ルーラのパンチを胸部で受け止めたあとにその手をつかみ、蹴り飛ばした。剣で戦うムーナにはバリアを張って斬撃を防ぎ、それを蹴り飛ばして吹っ飛ばした。
「よし...!」
ジクティアが小さくガッツポーズをしてみせた。二人が起き上がると、構えをとって様子を伺うことにしたようだ。
「退け、お前ら。」
カズトが二人の間を通った。
「やっぱてめぇは楽しませてくれそうだな...!!」
不気味な薄ら笑みを浮かべて近付き、一気に殴りかかってきた。それをさばいて膝蹴りを入れ、溝を殴った。
「...!」
元々攻撃力が高いのに、更に青の力で強化された一撃を食らってさすがに一堪りもないようで、余裕だと言わんばかりのあの薄ら笑みは消えていた。
「...ッヘヘ..! 最高だな...てめぇはァ!!」
戦闘狂なのか、それでも彼は乱れることなく__ いや、攻撃の仕方は元々荒々しい__ 攻め続けてきた。
両手を拘束し、頭突きを食らわそうとしたが、それは相手も同じだった。ゴッという音が聞こえた。
「俺はこの国を...守るんだ!!」
極限まで近い彼に叫ぶように大声で言った。まるで守護を誓ったヒーローのように。
「俺ァこの国を潰してやる!!」
再び笑みを浮かべ、そして同じく大声で言った。まるでそれを嘲笑うように。
今度はそれぞれがそれぞれの腹に蹴りを入れた。すると二人はやっと離れた。
「“てめぇをぶっ潰す!!”」
親指を下に向けてカズトが言った。
「“今からお前に魅せてやる! 最ッ高の勝利を!!”」
人差し指をピッと向け、ジクティアが言った。背後から弾丸が飛んできた。それはジクティアではなく、カズトでもなく、後ろにいたムーナとルーラに当たった。
振り返ると、そこにいたのは...。
「イスパード...!?」
「今は貴様に手を貸してやる...。こいつらを追い出すぞ...。」
そう言って彼はマチェットを取り出した。今度は彼の後ろから多くの兵士たちが集まってきた。
「なにこれ...?」
「ルアフの援軍だ。俺が連れてきた。」
「...どうして...?」
「......究極の力を手に入れるためだ...。」
「いやそうじゃなくて何であんたがルアフの援軍を___」
「お喋りは後だ!」
増援に来たルアフ軍は周りのサテル兵たちを相手にした。
「言っとくけど、許してないからな。」
「ふん...。」
2対3...不利ではあるが、なんとか凌ぐくらいはある。イスパードはムーナとルーラを相手にすることに、ジクティアはカズトを相手にすることにした。
「さて、本気でいくとしますか!!」
アクティベーションフォームとなり、カズトを圧倒する。しかし相手はそんな状況をも楽しんでいるように見えた。
攻撃が当たる度に白い輪っかが現れる。
「フフフ...! もっとだもっと!! もっと俺を楽しませてくれよ!!」
ジクティアのパンチを素手で受け止め、そしてカウンターの蹴りをお見舞いされた。
一方のイスパードは、1対2だ。しかも圧倒的にこちらが不利である。何故なら、相手は恐らく新型のアーマーロイドであるのに対して彼は旧型とほぼ同じ性能だからである。
「身の程知らずが!! 私たちに楯突くでないわ!!」
ムーナがそう言って剣を振りかざす。降ろしてきたところを見計らって回避し、銃を撃った。ルーラが飛び蹴りをしてイスパードを吹っ飛ばす。横になってしまったがすぐに立て直し、構えをとった。
「コア・システムなんぞ、私たちの敵ではない。」
剣の先を彼に向け、挑発した。
「なめるなよ、小娘ども...。」
持っていた銃をホルスターにぶちこむと、今度は二丁ショットガンを取り出した。
「大いなる目的のために...貴様らを...!」
ショットガンを相手に向け、発砲した。
サテルの某山の頂に一人、ルーグはいた。
「さて、これで2つ目だ...あとは...」
端末に世界地図を表示させ、ルアフを中心とするスラフ州を見た。
「...オーラモはマコトのおっちゃんがやってかれたから3つめか。」
指でルアフとオーラモとサテルのそれぞれにばつ印を書いた。
残されているのはレディナとクワラだ。
「あともう少しだ...! フッフッフ...フッハッハッハッハ!!」
ルーグの声が山に響き、それが山彦となって帰ってきた。
Android #21 宣言
ルーグ「 のおっちゃんか。」
「あぁ。作戦は順調かな?」
ルーグ「まぁ、そうだな。」
「ならいい。そのまま続けてくれ。」
ルーグ「そっちはどうだ?」
「こっちも順調だ。」
ルーグ「分かった。」




