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アンドロイド  作者: 中川 はじめ
19/49

活性化!覚醒か!?

ショウ「ルアフ国のとある町に住む天才プログラマーの水上(ミカミ) (ショウ)。その正体は正体不明の化け物、通称・エンディアから町の人々を救う正義のヒーロー・ジクティアだった。

彼らに迫る謎の秘密結社・テオスの目的を暴き、そして彼と行動する相棒、アーマーロイドのラータと共にエンディアの脅威から平和を守っているのだった。」

エージ「俺が黎兎がルーグに変身したところを見ちまって…」

ショウ「ちょ、ちょっと待って?黎兎さんがルーグ…?」

エージ「あ。」

ショウ「言ってることが分かんないんだけど…!?」

キドラ「あーもう、本編で説明してやるしかない!」

「ショウ! 起きてください!」

ショウの部屋のドア越しにラータが大声を出していた。やっと目が開いたショウは何事かと思ってドアを開く。

「早く来てください…!」

寝巻きのままラータについていくと、驚きを隠せていない様子のエージとキドラがテレビを見ていた。ショウは内容を確認すると、まだ残っていた眠気が一気に消えた。

「サテルがルアフに宣戦布告」

画面の右上にその表記があった。

《我々サテル国政府の調査により、国内を騒がせている、エンディアと呼ばれる怪人による事件や事故をルアフによる攻撃行為と見なしました。》

画面ではサテルの首相が会見を開いている様子を中継したニュースが写っていた。

エージがテーブルを叩いた。

「でたらめだっつーの!!」

全くもってその通りだ。むしろ被害が大きいのはこちらである。

《どうして、ルアフによる攻撃行為と見なしたのですか?》

《我々サテル国の精鋭が、エンディアの出どころを調査した際、それはルアフに滞在している“テオス”という組織からであるとの結果に至りました。そして、なによりもルアフ政府がそれに気付かないわけがないでしょう? 故に、黙認していると捉えるしかありません。》

「…ショウ、どういうことだ?」

「……エンディアを産み出しているのはテオスとかいう組織で、それの根城がルアフだってこと…。そしてそれに気付かないってフリをして攻撃してたって言い分だ……。でたらめすぎんだろ…。」

《その判断に至る前に、ルアフ首相にその件について会談はしましたか?》

《もちろん会談の誘いはしましたが、ずっと拒否されていました。なにかやましいことがあるようですね?》

記者の質問に、サテルの首相は煽るように答えた。

「待て、どういうことだ…? ルアフの首相が沈黙し続けてるってことか…?」

《つまり、ルアフに滞在するテオスという組織そのものによる攻撃ではないと?》

《その可能性は充分に考えられます。しかし、ルアフはそれを黙って見ているのです。こちらは証拠となりうる情報を掴み、事実確認の場を設けても沈黙のままです。》

《しかし…エンディアによる被害ならルアフも受けているようですが?》

《確認済みです。エンディアから人々を守る、ヒーローなる存在がいることも…。我々の見立てでは、自国で暴れているエンディアは全て実験体であり、充分な破壊力があるものを我が国に送り込んでいる、そしてそれに満たなかったものは、ヒーローとされる者たちに始末させる、という感じではないでしょうか? いずれにせよ、沈黙が答えですね。》

中継を最後まで見る前に、エージがテレビの電源を切った。

ニュースの内容を纏めると、エンディアによる騒動はサテルにまで起こっていて、原因を探るとルアフに辿り着いた。正確には、ルアフを拠点にする謎の組織“テオス”を見つけた。このテオスの存在について、ルアフの首相に問い出そうと会談の場を設けようとするも、ルアフ首相がそれを拒否。サテル首相は、これらのことからエンディアを使った攻撃行為と見なし、反撃を開始する…といったところか。

そしてここからはサテルの首相らの考察で、ルアフ国内でも起きているエンディア被害は、サテルを攻撃するのに充分な力を持っているものを抽出する作業であり、不充分なものはヒーローと呼ばれている者たちに始末させているだけだという。

改めて考えてみると、考察以外の情報だけだと確かにルアフの確信犯だ。

ショウはコートを羽織って玄関に向かう。

「…どこ行く気だよ…?」

後ろからエージが声をかける。

「首相に直接確認する。」

「そんなことできんのかよ…?」

「言ってなかったけど…俺は対特殊兵器専用自国防衛部隊の部隊長やってるから首相との直接話すことは可能だ。」

「た、たい…??」

「言ってもわかんねぇか…。ラータ、行くぞ。」


政府官邸に着くと、役員たちが騒々しくしていた。電話の呼び出し音があちこちで鳴り止まなく、休む暇もなく対応していた。

奥の方にあったドアが開き、そこからスーツを着た初老の男性が現れた。

「やぁショウ君、そしてラータくん。久しぶりだね。」

「首相、お聞きしたいことが…」

「わかってる…。サテルの件だね? 簡潔に言うと、あのニュースにあったこと全て、全くもって知らない。むしろ初耳だ。」

首相が険しい顔でそう言った。

「待ってください、どういうことですか?」

「今私の補佐がサテルからの連絡履歴を探っている。あともう少しかかるだろうけどね…。」

あのニュースを見た国民は不安で仕方がないだろう。当然だろう。サテルは近代兵器の開発に力を入れている。ラータを始めとするアーマーロイドの開発も、元々はサテルだ。軍隊を無くしたルアフに勝ち目など無いと思った方がいい。唯一の反撃の手段は、ショウ…いや、ジクティアとクレイだけだ。しかし、それは相手に知られている。アーマーロイドを作った国からすれば恐らくとるに足らない戦力だ。

「首相!」

「あったか?」

何枚もの束になったプリントを持った男性がこちらに走ってきた。

「えぇ。3週刊前に。応答もしています。」

「誰が応答した?」

「ダイスケさんです。」

坂下(サカシタ) 太祐(ダイスケ)

副補佐官を務めている人だ。何度かエンディア情報を連絡してくる人でもある。

…エンディア情報…? 地域の住民から連絡が入っているのか? 警察ではなく、副補佐官に…? いや、そもそも政府官邸に…? どこから情報を仕入れている…?

「ダイスケ副補佐官!」

首相が大声を出してその人を呼ぶと、返事をしてこちらに一人の男がやって来た。

茶髪の若々しい人だ。この人が副補佐官を務めているのは意外かもしれない。

「君がサテルの会談を拒否したのか?」

補佐の人が持っていたプリントの束を奪い取ってダイスケ副補佐に見せつける。

「…えぇ、首相はお忙しいのだ、と。」

「どうしてくれる! 君のせいでサテルと戦争をすることになったのだぞ!?」

その回答に怒った首相はデスクにそれを叩き捨てた。

「え…!?」

驚いた様子だ。

その様子を見ていたショウのコートの裾をラータが2回引っ張って呼び出す。

「ショウ…。この人にエキスの反応があります…。」

彼女は耳打ちでそう言った。

やっぱり、この人が…。

「首相、待ってください。ダイスケ副補佐官とお話が_ 」

「ショウ君、後にしてくれるか? 今は_」

「そいつはスパイです。報告書にあったと思いますが、何度も俺たちを阻んだ『イスパード』というやつです。

証拠なら、まずその芝居。下手すぎ。周りの皆がその件で対応しているのにあなただけ知らないなんておかしい話です。それに副補佐なんて地位があるなら尚更。そしてもうひとつ、ルーグが言ってた。あと、うちのラータが示してくれた。」

首相は驚いた顔つきでダイスケ副補佐を見つめるが、等の本人は無表情でいた。

「証拠…か。弱いんじゃないか?」

「すぐに否定しないんですね? なら、エンディアの情報はどこから?」

「住民からの通報だ。」

「ならまずは警察に連絡すると思うんですよね。番号2桁で繋がりますし。それに対してここに繋げるには固定電話の番号です。どっちにかけるべきかなんて明確ですよね?」

黙りこんだダイスケが目を細めてショウとラータを睨む。

大きく息をすって吐き、スーツの内ポケットから奇妙な機械を取り出し、ズボンのポケットからは小さなクリスタルの様なものを取り出した。

「そうだ。俺がイスパードだ…。この国を潰してから、“究極の力”を手に入れる! ルーグなんぞに先を越されて堪るか!!」

それを聞いた首相が急いで警備員を呼び出すボタンを押した。警報音が官邸に鳴り響く。

ダイスケはそれに構わずすぐに機械にクリスタルをはめると、電子音声が鳴った。

《コア・チェンジ! イスパード!》

「ショウ!」

ラータが彼の名前を言って腕を引っ張って離れさせる。

警備員たちが部屋に入ってダイスケを取り押さえようとしたが、彼の姿は既にイスパードのそれだった。

「ジクティア…貴様は今ここで殺す…。」

「正義のヒーローがここで果てるわけにはいかんでしょ…! ラータ、アームドだ!」



騒がしい官邸の一室の窓が爆発した。そこから二人の男が飛び出てきた。

地面に見事に着地した二人はお互いを睨む。

「俺の邪魔はさせない! ルーグにもな!」

「あんたらの目的がなんなのか知らないけど…そのために国民を巻き込むようなことは絶対にさせない!」

二人はそれぞれ剣を取り出して激しく激突した。

「平和を乱すお前たちを、絶対に許さない!」

「平和なんぞは幻想だ! 今に見せてやる!」

イスパードが強い力でジクティアを押し込み、そのまま畳み掛ける。

何とか避けることができたジクティアは反撃しようとする。

「お前なんかに負けるか!」

彼の力のこもった一撃を当てる。イスパードの鎧に深い傷が刻まれた。追い討ちで膝蹴りを頭部に当てると、頭から転んで武器を手放す。

「グッ…! ここで散るわけにはいかない…! 俺は…! 力を…!」

上半身をなんとか起こしたあと、膝立ちになる。

「うるっさいよ! 刑務所で反省してなさい!」

銃に変形させてイスパード目掛けて発砲する。

立ち上がってアクロバティックにそれを避けたあとに銃を取りだし、ジクティアの足下へ向けて発砲する。

あぶな、と短い声を出して3歩下がったあと、再び銃口をイスパードに向けたときには彼の姿は無かった。背後にいると直感して剣に変形させると、案の定背後から足音がした。

振り替えって剣を横に振る。避けられて腹に弾丸を喰らう。当然だがアームドしてなかったら確実に死んでいた。だが激痛があるのに変わりはなく、堪らなくなって膝から崩れる。

「いくら貴様が踏ん張った所で…勝てはしないんだよ…!!」

なんとか立ち上がると、奴は助走をつけてラリアットをかましてきた。

転倒して喉元の痛みに苦しんでいると、イスパードが先程手放してしまった剣を取り出した。

「トドメだ…! ジクティアー!」

逆さに持ってそれを刺そうとしてきたが、危うくのところでラータが回復させた。

そしてバリアを腕に纏わせてそれで防ぐと、剣の先が欠けたのが見えた。どかして脛を思いきり殴る。

「貴様…! この…ッ! じみに痛いところ…!」

脛を押さえて片足立ちになったところを見計らって立ち上がり、距離を離す。

「……さて…パワーアップを披露だ…!」

「なに…!?」

ジクティアの目がそれぞれ赤と青に光る。

『出力…50%解放します。』

次の瞬間、白い泡がジクティアを中心に四方八方へと弾け飛んでいった。

「な、なにがあった…!?」

「ジクティア…うーん…名前どうしよう? スプ⚫イト?」

『……何言ってるんですか…?』

「とりあえず、今は…アクティベーションでいい! ジクティア、アクティベーションフォーム!」

「……ふざけるのか…? ナメるな…!!」

今のやりとりで怒ったイスパードが剣を構えて走り出した。

ジクティアは赤と白の混じったオーラを纏って跳び上がる。予想以上に高く跳びすぎて本人も焦りだした。

「……は?」

完全に上を見上げているイスパードはもはや棒立ちだ。

予想外のジャンプ力ではあるが、機転を効かせて青と白のオーラに切り替え、右足を勢いよく前に付きだすと高速に落下した。

あまりのスピードに避ける暇もなく、イスパードの胸部にキックを当てると、遠くへぶっ飛んで地面のアスファルトを4、5ヶ所抉った。

「……な、な……んだ……こ……のちか……ら……」

「……お、俺も予想外なんだよ!!」

「な、め……てる……の……かぁ……!…?」

起き上がるも苦しみのあまりに立ち上がることはできない。

咳が止まらずにいる。

「ど、どど、どうだ! これが、正義の力なんだぞぉ…!」

どやっているが震え声でイスパードに言うと、彼は白い煙を出して姿を消した。

「あ…。」

辺りを警戒するが気配を感じないというラータの言葉に、逃がしてしまったと思ってアームドを解除する。

「…早く慣れなきゃな…。」

「そうですね…。」

ハッとして官邸に戻ると、首相が職員たちを気にしていた。

「やつは…イスパードは…。」

「すみません…。あと少しのところで逃がしてしまいました…。」

「そうか…でも君が無事で良かった…。」



Android #18 活性化!覚醒か!?

ショウ「アクティベーション、とは活性化って意味。」

エージ「長ぇな。面倒だからもっと縮めとけ。」

ショウ「えー。めんど。」

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