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アンドロイド  作者: 中川 はじめ
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鎧の機械

ヒーローって理不尽ですよね。顔も知らない誰かのために自分がボロボロにならなきゃいけないんですから。ほんとヒーローって分からないですね。どうしてそんなことができるんでしょう?

鎧。

それは、戦闘の際に装着者の身体を矢や剣などの武器による攻撃から防護する衣類・武具のことである。

私は、その役目を担った戦闘兵器。通称アーマーロイドだ。

私の存在意義はただひとつ。我らの国を、軍を戦争で勝利に導くこと。

私は意思を持ったアンドロイド。


「ラータ?」

ぼーっとしていた「ラータ」という名前をつけられたアンドロイドに男が声をかける。

それに気付いたラータが男を見つめ、首をかしげた。

頭から生えている兎の耳のようなものと青い触覚のようなものがそれに連ねて動く。

「ぼーっとしてたけど大丈夫か? もしかして疲れてた?」

男はラータの主だ。名はショウ。

「いえ、大丈夫です。 疲れていませんよ。」

ラータがそう応えると、ショウはそうかと頷いた。

「…とっととアップグレードを済ませますかね。」

そう言ってショウは、伸びをしたあとにデスクに向かう。

今彼らが行っているのは、彼女の、ラータ自身のアップグレードである。

アップグレードの内容は鎧に変化したとき (これをアームドと呼ぶ。) の副作用を軽減するといったものだ。

ショウは天才プログラマーである。彼が言うには、ラータのプログラムにはいくつかさほどあまり必要性のないものがあり、それらがメインプログラムに干渉して副作用が現れるようだ。

しかしこのプログラムの除去が面倒である。

「…さすがに天才の俺もお手上げかもなー…

見たことない文字…はぁ、ほぼ直感だなこれ…いっそこの回線を除去するんじゃなくて_」

ショウがぼそぼそと呟いていた。

質素な部屋にキーボートの入力音と機械の発する音だけが鳴り響く。


この世界にはいくつもの国がある。彼らが住んでいる“セプト大陸”には5つの国がある。

1つは近代兵器の開発を進める「サテル」。

2つは子育て支援を重点的に行い、国民の生活を第1に考え、少子化未然防止に取り組んでいる「レディナ」。

3つは平和主義で軍隊を廃止し、自国防衛部隊を設立、運営をしている。

バランスの整った国、「ルアフ」。

4つは工業に力を入れているせいで汚染がすすむ国、「オーラモ」。

5つは軍事に力を入れているという非常に好戦的な国、「クワラ」。

彼らはルアフに住んでいる。

ショウがラータと出会ったのは数ヵ月前だった。

腕にはサテルの国旗が刻まれた腕章をつけ、人気のない裏路地で倒れていたところを見つけた。

その日は台風の影響でひどく雨が降っていた。

彼はラータを担ぎ、自身の家のソファーに寝かせた。

気が付いたラータは混乱したが、経緯を話すと落ち着いた。

どうして倒れていたのかをきくと、ラータはサテルから亡命してきたアンドロイドで、それ故にサテルの兵士に追われており、隠れているうちにエネルギーが切れ、倒れてしまったという。

さらっとエネルギーのはなしをしたが、それの詳細は分からない。

ラータ自身が話してくるないのだ。

どうして亡命したのか。ラータは戦争の兵器として開発されたが、そのように扱われるのが嫌だったのだ。

だからラータは平和な国ルアフへと逃げた。

ラータは自分を助けたショウに感謝して契約を結んだ。

こうしてショウはラータの主人となった。


「よし、これでおわりっ! はーっ、疲れた。」

13時間の時を経てようやくアップグレードが終わった。

「これであんな目に合わなくて済む!」

ショウは喜んでいた。

アーマーロイドを扱うことができるのは、アーマーロイド自身が認めた人間のみである。

だからラータを扱うことができるのは、ショウだけである。

「お疲れ様です。 ショウ。」

ラータは彼の肩を掴む。

「こっていますね?」

「あー…わかる? ずっとデスクとにらめっこしてたからかな。めちゃくちゃこってると思うんだ。」

ショウは自分の肩を揉もうとしてラータの手と重なった。

「…アンドロイドなのに暖かいよなお前。」

ショウがラータの目を見る。

ラータの表情に陰りが見えた。

「…人間の手の温度も感じられますよ?」

ラータがショウの手を改めて握りしめる。

「ついに人工知能はその領域に達したということか…?」

ラータにとってその話はなんのことなのか分からない。

ショウは立ち上がってラータに体を向ける。

彼の顔つきは疲れはてていた。

このままベッドに向かうのかと思われたが、

急に笑顔になり、カフェに行くぞとラータのてを引っ張って行ってしまった。


「今日は平和だなー。」

「そういえばエンディアも現れませんね。」

エンディアとは、兵士が特殊な方法で肉体を改造した、言わば生物兵器だ。

バイオ版のアーマーロイド…言うなれば、バイオアーマーだろうか。

このエンディアには意思がない。文字通り、ただの兵器に成り下がった。そして強靭的な肉体や能力と引き換えに、被験者は死亡したこととなり、当然人権は無くなってしまう。

エンディアはここルアフに現れては大暴れする。

どこから送られたのだろうか。

ルアフ政府はこれの存在に気付いており、政府はショウとラータに排除を任せている。

と言っても行動不能にして確保するくらいだ。

ショウは、殺生はいけない、と言っていた。

ラータがコーヒーを一口分飲んだ。

「こういう時に限ってエンディアが出ないんだからなぁ…暇だよなぁ…」

ショウがブツブツ言っていた。

「ショウ、そんなこと滅多に言うものではありませんよ?」

「分かってるよ。ただ、アップグレードしたお前の性能を確認したいだけだ。」

「私の出番がないのが一番いいのです。」

確かにその通りだ。皮肉ではあるが、彼女の出番がないほうが市民にとってはもちろん、世界にとっても良いことだ。

さて、それはさておきここまでフラグを立てるとその内どこからか爆発がしてエンディアの登場からの俺参上がパターンではあるが…

なにもない。

結局そのまま家に帰ってしまった。早く事件が起きないか、なんて不謹慎なことを思いながら。


「ショウ、起きてください。」

アップグレード作業に疲れたせいか、いつのまにか眠ってしまったようだ。

寝起きで働かない脳だったが、多分今夜のメニューを問うために起こしたんだろうと考える。

「…夜ご飯はカレーがいい…。」

「言ってる場合ですか。エンディアが暴れてますよ。」

その言葉を待っていた。テンションが上がって眠気もとんだ。

「来たの!? ほんとに!? ヒャーッホホホーイ!!」

ハンガーにかけていたコートを羽織って拠点の扉を開けて駆け出した。

「ショウ! むやみに外に出たら_」

言ってるそばから目の前の建造物が爆発してその瓦礫が落ちてきた。

すると、赤い光をまとった何かが落ちてくる瓦礫を吹っ飛ばす。そして俺の隣に赤い物体が来ると、光が粒子になって散っていき、そしてラータが姿を見せた。

「さすが、相棒だ。」

「面倒な主を持つと厄介ですね。」

「冷たいねぇ。」

そういっていると目の前に2体のエンディアが破壊活動をしていた。

さて、ここからが見せ場だ。


「ラータ。“アームド”だ。」

「了解。出力5%解放します。」

再びラータの体を赤い光が包んだ。やがてそれは強くなり、ショウをも飲み込んだ。

紅の光が更に強くなる。この光に仕込んでいる対エンディア兵器のひとつである物質がエンディアらに微妙なダメージを与え、ちょっと吹き飛ばした。

そして光が弱まると、赤と青のオッドアイで外側が赤色で内側が青色のロングコートと黒色のプロテクターを身に付けたショウが立っていた。

「さてさてさて…! アップグレードしたアーマーロイドのテストといこうか!」


Android #1 鎧の機械

いかがでしたか?切れの悪いところで終わりましたね。「このあと気になる」とかにもならないし。でも安心してください。どんどん上げていきます。

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