03:デートってなんですかね?
アニメイトお使いをして頂いたので、本日は逃げられないデートなんですけど。
まあ、起きないよね。凛も、鬼電するより直接起こしに来た方が早いって分かってるから、スマホもスヤァですよ。
ドスドス廊下を歩く音でなんとなーく目が覚めたけど気の所為って事にして二度寝よろしく。
「いつまで寝てんだこのアホンダラァ!!!」
朝から元気がよろしいようで何よりです。おやすみなさい。
「蓮。もうすぐ昼。てめぇ今日もデートすっぽかすつもりか。」
「んー……行くって。あと15分寝かして。」
「今すぐ起きねぇなら添い寝するから。」
「……ちょっと滾るわそのシチュ」
「脳みそ1回天日干ししろこの腐れオタク!!」
ゴソゴソ布団に入ってくる気配がして、いやいや嘘でしょって目を開けたら、わっるい顔した凛にアイアンクローされた。
「いだだだだだ」
「このままはっずかしー事されんのと、仲良くデートすんの。どっち選ぶ?」
「デート行きます行きます行きます」
起きろ!!って布団引っペがされて昨晩ちょっと寒かったから凛がうちに置きっぱなしのTシャツ拝借して、いわゆる彼Tシャツでおはようございますしたんですけど。
「……ちょっとキた。」
「襲われる!?」
「悟り開いてる俺がそれ如きで盛るわけねぇだろ。」
「知ってた。てか今日どこ行くの?」
「それ毎回聞いてきてるけど、そこに行き着いたこと一度もねぇよな?」
「目指す場所はあった方がいいと思うんだ。たどり着けなくても!!冒険はそこにある!!」
「俺は冒険じゃなくてデート行くっつってんだよ!!」
人生は冒険だと思うんだけどな!!
何着ようかなーって下着姿でクローゼット開けて選んでたら、後ろから凛に抱きしめられて。
「凛の、そういう天然的なナイスシチュ提供本当に好きだよ!!!」
「俺はお前のその残念すぎる脳みそに毎度ブチ切れたくなるんだけど!?」
甘い空気をぶち壊す、スイートクラッシャーは私ですね!!でもこれ日常茶飯事なんで。
そもそも、オタクと猫かぶり王子がなんで付き合えてるのか、本当の事知ったら皆謎に思うよね。ぶっちゃけ謎ですけど。
「心の底から蓮のニーハイだけは褒める。」
「私も心の底から凛の萌え袖を崇める。」
春ニットの萌え袖マジやばい。滾るわぁ。
さり気ないオシャレ感も最高ですな。
2次元から出てきたの?って顔なんですよ?それが萌え袖!!!興奮するだろ!!!
「ほら、たまには手でも繋いでみるか?」
「そこは何も言わず繋げよ。トキメキをよこせ。」
「うるせぇな。行くぞ。」
はいきた!!!強引に手繋いで連れて行かれちゃう感じ!!!これ乙女心で興奮してたら可愛いのにね!!!全然違う意味で滾ってるからダメだ私!!
「で、クエストスタートしたけどまずはどこの中ボス倒しに行くの?」
「映画。」
「よいしょー!!私あの漫画の実写化の出来栄え確認するわ。」
「って言うだろうと思ってその上映時間に合わせて出てきたんだよこのバカ!!」
「わお。逆算なんて私そんなハイレベルなことできない。」
「俺は同時刻上映の話題作見るから。」
ええ。私達映画見に来ても、同じ映画を見ることなんて年に1度あればいい方、つまり数えるくらいしかないんだわこれが。
お互い見たい映画がある、強要したり無理に合わせるのは嫌、じゃあお互い別々で見ればよくね?
という、建物内デートである。ちょっとうまい事言ったかなって思ったけど全然そうでもないや。
2時間半くらいお互い映画を堪能して、先に見終わった方がカフェで待ってるっていうお約束なんだけど。なんせお互い目立つ容姿だから。凛、たまに母ちゃんが紹介なんかしたから、雑誌のモデルする事もあるし。
凛と凛ママだけは知ってる。母ちゃん挨拶してたし。内密に、とか言ってたけど、凛ママの性格的に言いふらすような人じゃないのは分かったから、今ではすごく信頼してるし。
話が逸れたね!先に見終わったのは凛だったんだけど、綺麗なおねーさんに声かけられてる。
くっそうける!!ヤキモチ?あー、こういう人達には妬かない。むしろガン無視キメてる凛がいつ私に気付くか、物陰からこっそり観察してるし。
「蓮、遅い。」
見つかったらしい。
「グッズ買うか悩んでた。」
私、虫除けじゃないんだけど。なんですぐ女、散ってしまうん……?
さてさて。
「パンケーキ食べたいです。」
「却下。」
「なんで!!!」
「それ、どこのパンケーキ?」
「……アニメカフェ!!!!!」
ガン無視されました。却下すら言ってくれない!!それには痺れないし萌えない!!
「……たまには凛が行きたいとこ、行ってやってもいいよ。」
「何様だコラ。」
ほっぺたむにーって引っ張られて、何だこの!!ってやり返したいけど、凛高校入ってからすっごい背が伸びて、今25cmくらい身長差あるんだよね。
いい。これがあのカプだったらすごくいい身長差!!!!!!!って思いながら、見下されてます。
「で?どこ行きたいの?」
「蓮と行くならどこでも楽しいから。別にどこって場所はないけど。」
「……突然の!!デレ!!!ときめいたー!!!」
「なんでお前は欲望に素直過ぎるんだよ!自重しろ!」
「待てよ。凛がそんな事言うなんて熱あるか槍降るか私に後ろめたいことがあるかのどれかだ。」
「……いや?気の所為気の所為。」
「……おい。」
「悪気は無かった。新刊ラノベの帯ちょっと破いた。」
「今すぐ買い直してこい!!!!!」
漫画とか小説の帯、あれ私大事に保管しておくタイプなの。凛もそれ知ってるから、書庫にしてる部屋に入っていいよってかもう自由に出入りどうぞってしてるんだけど。
「ごめんって。今度新しく買ってくるから。」
「当たり前だ。まじおこ。」
「……蓮。」
なんだよ、って顔上げたら、一瞬触れるキスをされた。
「……卑怯な手使いやがって……!!天然シチュ提供ご馳走様です!!!」
「ちょろすぎんだろ……」
名前呼ばれて不意打ちキスとか。やばくね??
まあ、凛には言わないけど、そういう天然行動は毎回ドキドキしてるよ。一応。多分。……乙女として……。
違うドキドキもあるのは認めるけど!!!
「あ!!王子と姫だ!!」
「まじ!?ほんとだ!!めっちゃお似合いー!!」
遭遇する事も、慣れました。
その声が聞こえた瞬間、私達の切り替えスイッチオンですよ!!
「蓮はぐれちゃうから。ちゃんと手繋いでて?」
「凛ってば、私子供じゃないよ?」
「俺が蓮を守りたいんだよ。」
凛王子と所謂恋人繋ぎして、どこに向かって歩いているのか、ぶっちゃけお互い分かってないんだけどね!適当に歩いて、さてどうする?ってお互いもはやテレパシーの領域で脳内会話してたんだけど。
「あ。今日母さん出張でいないから、ウチくる?」
「行こっかなぁ。」
多分聞こえてたであろう、私達を知るそいつらは、きゃー!!なんて言ってるんだろうけど。
「じゃあもう帰ろうか。早く蓮と二人きりになりたい。(人多すぎクソだるいさっさ帰って寝たい)」
「うん、私も凛の部屋、久しぶり。(漫画とゲームの持ち込みはOKですか!!)」
という補足を加えた会話をして、結局デートって言っても別々の映画見てカフェでちょっとまったりして、終わりましたね!
あの。
デートって何ですか?
私これが普通だと思い込んでるんで、今更変えられないけど。
凛の部屋はほんっとに、必要最低限しか物は置きませんって感じのシンプルな部屋で、私の定位置も決まってる。
「普通なら彼女が俺のベッドでゴロゴロしてたら襲うべきだよな、普通なら、普通なら!!」
「私の本命はお布団だから。布団と結婚するから。」
そりゃ、年頃の男女だからね?清い交際ですなんては言わないさ!!でも、なんせ残念系カップルなもんで。いや、私が基本的には残念なんだろうけど!!
「凛のスエットもう着れないんだけど。でかい。」
「その姿に微塵もときめかない俺が辛い。」
ゆるっとダボッと着たスエット姿でムラっとくるような関係じゃないんで。
「いつ見ても凛のパンツからちょっと見えるその腰骨?エロいわぁ。」
「ノーマルな目線で言ってみろ。」
「骨っすね。」
「俺で掛け算すんなっつってんだろ!!」
「無意識って怖いね!!」
「意図的だったらベランダから吊るしてるわボケ!!」
とかいいながら、夜ご飯は私が大好きなオムライス作ってくれる凛のパーフェクトぶり!!
脳内では全く違う変換してますけどね。
口の悪さを除けばスパダリなのに……。