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性悪王子とオタク姫!  作者: 水無瀬八雲
2/4

02:顔が良くても☆5は引けない。

私、目覚まし時計とかアラームって嫌いなんだよね。あの無機質な音?無理矢理起こされてる感半端ないじゃん。だから朝は目が覚めた時に起きるスタイルなんだけど。




バンッ!!!


「蓮!!!起きろ!!!!」


人間に強制起床させられてます。これ毎朝。なんで合鍵渡しちゃったんだろ。返してって言っても絶対返してくれないんだよね。



《おはよう、朝だよレン。まったく……起きたらご褒美のキス、してあげる。》


「んはああああ!!!!起きるぅぅぅ!!!」


「はい起きた。」


「くっそ、またこの手か……」



推しキャラ公式ボイスをわざわざダウンロードして耳元で再生するあたり、分かってる。いやぁ愛されてるわぁ。



「おい。今てめぇ愛されてる私、とか思ってんだろ。蓮が遅刻すると俺が言われんだよ!!連帯責任ふざけんな!!!起きろ!!!!飯!!!」


「だる。今日からピックアップガチャなんだけど。ちょっと(ガチャ排出率に)絶望して心痛くて外なんて(コンビニで課金カード買う為にしか)出れないから休む。」


「心の声がダダ漏れなんだよバーカ。起きねえと犯すぞ。」


「サーセン起きまっす」



ボサボサの髪とか、すっぴんとか、もう今更何?って感じだし。



「……俺が何で毎日蓮の下着を把握してんのか、その本当の理由知られたら俺もお前も死ぬわ。」


「あー?私しか住んでない家でブラとパンツで過ごすことに何の問題があるのかさっぱりわからん。」


「俺一応男だし彼氏なんだけど。見慣れすぎて今更ムラっともしねぇわ!!楽しみ返せ!!」


「ドンマイ。私は好きだよ。凛の尻。」


「お前の好きは違う意味の好きだから嬉しくもなんともねぇよ。さっさと着替えろ!母さん飯用意してっから。」



だるいーだるいーって文句言いながら、制服に着替えてストレートアイロンで寝癖も直して、ぱっつん前髪を少し内側に巻いてふんわり前髪作って。

化粧はちゃんと素を生かすナチュラルメイク。



「凛ママおはよー。」


「蓮ちゃん今日は昨日より3分早い!よしよし!朝ご飯食べちゃいなさい!」



褒められると伸びる子代表です!!凛ママ大好き!!!




登校はいつも一緒。

学校の最寄りのバス停前からお互いスイッチオン。




「蓮姫ー!!おはようございます!!今日も綺麗ーっ!!!」

「きゃー!!凛王子こっち見た!微笑んでる!!」



((うるせー。))



「おはよう。いつもありがとう。」


ふんわり微笑んで、ちょっと首を傾げる。

普通なら、うっわ!!めっちゃ狙ってるわぶりっ子だわマジ無理だわっていう行為とか仕草が、何故か喜ばれてるんだよね。男女共に!!めんっどくさい!!!



「ほら、蓮足元気をつけて?また転ぶよ。」


王子スマイルで私の手を握って、いかにもエスコートしてますアピール。黄色い声うるさいです。男も男で、様になるわーとか言ってるからね。




クラスは違うから、凛は毎朝私を教室まで送って、ほっぺにチューかましてギャラリーへのサービス満載で自分の教室に行くんだけど。



「(保健室逃げてガチャしたらぶっ飛ばす)」


って耳元で言われてますからね。

甘い言葉なんて一切言われてませんけど??

皆の目は節穴なんだ。あいつのあの王子キャラを本物だと思ってるし。しかも髪染めてるくせに、俺生まれつき色素薄くて……とか言ってるし。


はぁ??お前ピーーーの毛普通にアジアンカラーだろ。先生騙されないで。そいつマジで嘘つき真っ黒王子だからね!!!



「先生すみません、朝から少し貧血で……保健室で休ませて下さい。」


「顔色悪いぞ?落ち着くまで休んできなさい。」



色白に産んでくれた母ちゃんマジありがてぇ!!!よっしゃピックアップガチャ回すぜ!!!



「失礼しま「させねぇよ」」


保健室のドア開ける手掴まれて阻止されました。解せぬ!!!



「学年一位は授業受けろよ。」


「学年一位だから授業受けなくても分かるんだよ。体調悪いんだろ、ほら寝てろよ、スマホ預かっといてやるから。」


「ここが私の墓場か。」


「おーい、猫かぶり二人。入るなら入れ。」



保健医の増川先生のみ、私達の秘密を知っているんだけど。仮病でも寝かせてくれるからマジ神。



「……蓮、お前ちょっと。」


「なに、スマホは渡さないからね?」


「……増川!!やっぱりこいつ熱ある。」


「またかよ水無月……」



ガチャ禁しすぎると熱を出す。難儀な体だよねぇ。


熱って言っても微熱程度なんだけど、ピックアップガチャ前にガチャ禁すると100%発熱。増川先生曰く、

「水無月のストレスなんだよ」

だそうだ。ガチャ回せない事がストレスとかやばくね?私社会に出たら課金カードは生活費の一部とか平気で言うよ?




「休み時間見に来るから。寝てろ。」


「……凛って結構面倒見いいよね。」


「自己管理出来ない彼女持つと苦労すんだよ。」


「大変ですなぁ。」


「てめぇだよ!!」



ギャーギャーうるさいのう。

おやすみ!って言って布団に潜って、いざ、ピックアップガチャ!!



さらば私の3万円。



見事、爆死しました。ピックアップなんか1人も来ませんしなんなら☆5キャラも1人も来ませんけど。




昼休みに様子を見に来た似非王子。


「爆死か。熱上がってんじゃねぇか!!」


「3万消えた……もう無理……」



ガチャ禁すると熱上げて、爆死するとさらに熱上がる。私のストレスの8割は多分ソシャゲのガチャだと思います!!くそ!!!排出率0.17%ってなんだよ!!!




「蓮、今日バイト休みだよな。真っ直ぐ帰るから。拒否権はねぇからな。」


「あ、アニメイトで……びーでえるな新刊発売……予約してんだよ……取りに行かなきゃ……」


「また注文してたのかよ!!」


「爆死して漫画まで取り上げられたら生きていけない。無理オブ無理。」


「制服で受け取りには行けねぇだろ。着替えて俺が取りに行ってやるよ。…………日曜必ず買い物付き合えよ。次すっぽかしたらてめぇのスマホ水没させっからな。」



脅された。めっちゃ脅された。取りに行ってやるから買い物付き合え、すっぽかしたらスマホ水没、つまり沢山のゲーム達の!!データが!!おじゃん!!!!


こまめにデータ引き継ぎID取ってるけど、常には最新じゃないじゃん?やめてくれ、私の命を奪わないでくれ!!!



「オラ。帰るぞ。」


「うぇい……」



帰りもたまに、バイトがない日は一人で帰るけど。バス停過ぎるまで、ちゃんと猫と仮面しっかり被って、そこを過ぎたらやっと素に戻る。



「これ受け取る時出して。あとお金はこれで足りると思うから。」


「何で俺は彼女の腐った漫画を受け取りにわざわざ行くんだ、俺は馬鹿なのか。」


「オカン気質のドS王子だわな。」


そんなステータスいらねえよ、って言われました。



家帰ってきて、別に1人は全然寂しくもなんともないのに、アニメイトから漫画受け取って合鍵で家入ってきて、部屋にも普通に入ってきて、枕元に置いてってくれるところはスパダリ感半端ねえなって思うんだけど。




起きたらあっさり熱は下がってて、まあいつもの事だしってまたスマホのソシャゲ起動して、ガチャ回す石がない、と思ってコンビニに課金カード買いに行くかってパーカーにジャージ、メガネとマスク姿で家を出て、また3万分買い込んで帰宅し、課金して物欲センサーMAXでガチャりました。





「6万かえせちくしょおおおおお!!!!」



ピックアップなんて信じない。

1人も来ないじゃん!!!ふざけんな!!!


どうしても欲しかったのに……大好きな声優なのに……なんでや……フレンドリストにバンバン出てきてんだけど……。



ーマァリン代は家賃三ヶ月分でしたー


ー貯金が底尽きたー


ー大事なものと引き換えに彼を手に入れた。失ったのは生活費だー




その文字を見て静かにスマホを置いて、私の6万なんてまだまだミジンコなんだなって悟りを開いた。


大卒の方が給料いいんだよね。じゃあ大学行って就職したら給料の半分は生活費(課金)にするんだ。決めた。そうしよう。



ピロン


凛【寝たか?】

蓮【┏┛墓┗┓】




リビングにある無駄にでかいソファにうつ伏せになってスマホをテーブルに置いたら、玄関開く音して、各部屋のドア開けてる音して。




「てめぇ懲りずにまた課金しただろ!!」


「課金は運営様への感謝還元だから。」


「はぁ……。ほら。慰めてやるよ。」



驚きすぎて2度見した。ソファに腰掛けて、ほら、ってハグしてやるよのポーズしてる。



「……は?明日槍降ってくんの?最後のシ者なの?死ぬなら後悔したくないからもう1回課金カード買ってくるわ。」


「行かせねぇよ!馬鹿かお前。」



ちょっとため息ついて、ぽすん、て凛の胸に顔埋めて。





「やべぇ、このシチュをあのカプで是非ともやって頂きたい。」


「なんで俺こんなやつと付き合ってんだ。」


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