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約束(プロローグ)

「ねえこじろう」

「なんだよすずか」


 薄暗い部屋でソファに座る二人、その視線の先では恋愛ドラマが映っており今まさにそのドラマの主人公とヒロインがイチャイチャとしている最中だ。


 誤解を招きそうなので言っておくが、部屋が薄暗いのはただ“子供二人”が電気をつけ忘れているだけで、これからナニも起きないことだけは先に言っておく。


「男の子と女の子の友情ってあり得ないのかな」


 ふいにそんなことを聞いてくるすずか。いや正確にはふいではない、何故なら今見ていたドラマのコンセプトが友情と恋愛というものだったからこうしてすずかに疑問が生まれてしまったのだろう。

 しかし俺はこのすずかに対する正解を持ち合わせていなかったので、前に親父がこういうドラマを見て言っていたことをそのまま口にした。


「男女間の友情なんてドラマかマンガの世界だけだ」


 実際、意味も分からず俺はこの言葉を口にしていた。ただ何も考えず他人の回答を彼女に渡しただけだ。そしてその回答に対してすずかはムッとした表情でこっちに顔を向けてきた。


「そんなのやってみないと分からないじゃん!」

「いやこれは前に父さんが言ってて」


 なんで怒っている、というよりムキになっているか分からなかったのでさっきの言葉がどこから出てきたのかを説明する。


「私決めた!」

「な、なにを?」


 だが彼女は俺の言葉に一切耳を傾けることなく、今度はキリっと決意の表情を向けた。彼女がこの表情をするときは大抵ろくなことがない。

 ブランコを二人乗りした時も、滑り台を変に滑ろうとした時も、プールの時も。いつもなにかが始まる時は彼女はこの表情をしていた。

 けど、そのどれもが終わってからは楽しかったと思えるものだった。どんなに無茶だと思っても始める前は怖くても、終わってみればいつも俺は笑っていた。


 だから今回もきっと終わるころには楽しいと思えるものに……


「ねえこじろう、私たちで証明しましょうよ」


 思えるものに……?


「男の子と女の子の友情はここにあるってね!」


 俺はこの言葉を聞いたあと、口を開けて「何を言っているんだこいつ」みたいな顔をしていたに違いない。だって実際にそう思っていたのだから。

 でも俺は何故かその提案を受け入れてしまったのだ。こいつと一生友人でいることを。



 これが俺こと沖小次郎おきこじろうと彼女、土屋涼香つちやすずかが友として歩むことになった幼少期の話である。

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