表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

冬冷

作者: 滝しじみ

冷たい風の吹き抜ける雪のトンネルを潜った。暗がりを通ってきたので出口に差しかかると積もる白い氷の数々が反証して目がちかちか眩んだ。

すっかり純白色に染まった公園には誰もいない。

足跡ひとつなかった。


静かに佇むブランコには6センチほどの積雪があった。裸になった木の横にあるベンチに積もった雪を手袋で退けて、ゆっくり腰かける。

細かい雪がちらりと視界から降下していき、たまに頬や鼻が冷たくなるのを感じて鼻から呼吸をすると空気が凍ったように冷たかった。


君はまだいない


しんしんとした空気のなか静かに待機する少女の頬は鮮やかに色づいている


その手にはピンクのリボンのつけられた赤い箱が一つ握りしめられていた。


少女ははあと溜め息を一つついた。

それは白い空気になって冷たい空気にスッと溶けていく。


ふと離れたところからああ、早かったなという声がした。

緑色のマフラーに厚いコートを着た男の子が申し訳なさそうな顔をして走ってくる。

公園の一面の白い床に小さな足跡が二つ。


おそくなってごめんね


うん いいよ ところで、あの これ…


わあ ありがとう


少女は紅い頬を優しく綻ばせた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 描写が綺麗で思い浮かべれました! 他のも読みたい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ