表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クズですが、よろしくお願いします  作者: あきちゃお
第1部 馳け廻る日々
32/32

二つの主張

ファックファックファック!なんだよこれは!」


 死の街(ゾンビシティ)で起きている戦闘。

 激しい攻防が行われているが、行動を起こしているのはあくまでも徒手の人間二人。


 一人は、共産主義の名の下に世界平和を願う屈強な男。

 一人は、孤独(Einsamkeit)の名を背負った小柄な男。


 二人の戦いは周りにいた者へも余波で攻撃を与える程激しいものであった。


「同士!無理はいけません!我々の命を投げ打ってでも同士をお守りいたします!」

「同じ意志です!」

「私も同じです!」


 リーダーに付き従う彼らは、リーダー格である彼を心から尊敬して付き従っているのである。

 一人一人が隊長格まで上り詰める事ができるポテンシャルを持ちながら、一人の男に付き従っているのである。

 命を投げ打ってでも守る決意を示しながら。


「馬鹿者!皆がいなければ共産主義は根底からひっくり返る!この活動は自ずと破滅へと向かうのだ!そこでこいつを倒すのを見ておれ!」


「随分な自惚れじゃないか。全く、これだから外国人は嫌いなんだ。自分ならできる、自分なら可能、自分だからこそ完遂できる。一体その自信は何処から来る?自分の心から来るのか?

 自分に絶対の自信を持つのは良いけどな、それで俺みたいな強大な壁にぶち当たった時はどうやって打破するんだ?

 失敗したらどう責任を取るんだ?

 できるできると自信を持って言ったからにはそれだけの責任が付いて回る。その責任をどう取るんだ?」


 責任を背負いたくないが故に、自分を過小評価する。

 自分には出来ることはないのだ、そんな自己主張をする。

 そんな社会だったんだよ、日本は。彼はそう伝えたい。


「戯言だな、責任を持たずしてどう向き合う。

 自己に課せられた責任を把握すれば自ずと責任に見合った行動を起こせる、自信を持って行動できる。

 むしろ何故そこまで自分を過小評価するのだ?自分は世界で一番能力のない存在とでも言うのか?

 それとも、自分より下の者を見つけた時に得られる愉悦に浸るのか?笑止!そんなものは人ですらない屑のやる事だ!

 責任を持たずしてどう行動する?どう活動する?どう生活する?

 人であれば一つ一つの行動に責任が付きまとうものだ、それを理解できない時点で貴様は人でなしだ!」


 自分を信じてやれるのは自分だけである。その自分を過小評価している時点で人として生きている訳ではない。

 ましてや、自分より能力のない人間を見て悦ぶような人間は人間ではない。人以下の屑がやる行動である。

 この意見に反論できる人間は一体どれだけいるのだろうか。


「それこそ戯言だ。俺が人に見えるか?俺のような化け物の能力を持った人間は、一生化け物として生きるんだ!

 何をやっても人より上に立ててしまう人間の気持ちを理解しようとしない時点でお前も俺と同類なんだよ!」


 そして突っ込んでくる男。

 屈強な男はその攻撃に備え、防御の構えを取る。しかし、そこに武術的要素はあまりない。言うなれば、裏路地で見かける喧嘩に通じた戦い方である。


 そして、八極拳の構えで攻撃する男は、自分が今まで打ち倒してきた者たちと同じ構えを見せながらも、未だに自分と打ち合えている目の前の男に恐怖を感じ始めていた。

 今まで自分の攻撃を耐えられる人間はいなかった。

 そもそも、武術としてはかなり攻撃的な八極拳を使っているのである、首が飛んでもおかしくない威力を与えているのだ。普通であれば死んでいてもおかしくない。


 だが、彼は一つ大きな間違いをしていた。

 彼はあくまで喧嘩に通じる構えを取っているだけであり、本人自体は我流の武術へと昇華させた天才。

 生き残る為ならなんでもやる、そんな世界で生き残った武術なのだ。喧嘩に似ている部分があったとしても、似て非なるものだ。


 そして、転機は突如現れる。


「同士!ゾンビです!今まで静かだったゾンビが突如集団で!」


「なんだと!?」


 ふと視線を逸らせば、数多くのゾンビが見えた。

 その数の多さに頭痛がような気がした。

 そして、彼は男が見せたその一瞬を見逃さなかった。


「油断した瞬間が命取りなんだ。じゃあな。」


「しまったあああああ!!!」


 迫り来る右手の突き。

 今からどう反応しようと恐らく手遅れだろう。

 だが、彼はまだ諦めていない。自分には成すべき事もあれば守るべき部下だっているのだ。こんなところで倒れるわけにはいかない。


 最後の悪足掻きも通じないと思った瞬間であった。


「いや、まだ終わりではない。」


「お、お前は……!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ