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クズですが、よろしくお願いします  作者: あきちゃお
第1部 馳け廻る日々
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潰えた権威

 時を同じくしてアメリカ。

 時代は世界の崩壊後、アメリカの威厳はそこには無く、強いアメリカや世界の警察として世界中のリーダーとして時代の最先端を行く、そんなアメリカは今やない。


 家族や友人、恋人などの掛け替えのない大切な人を失った人々が街に溢れていた。そこには、自由の国と謳っていた自由は見る影もない。


 アメリカ大統領はゾンビに対して有効な攻勢に出られないでいた。彼は良くも悪くも平凡なのだ。欲に忠実であり、国の大事より自身の保身を優先させる。


 そんな大統領で良いのだろうか。

 良い訳がない。誰もが分かっていることであり、同時に諦めている事でもあった。この国の優秀と呼ばれる人々は意図的に操作でもされていたかのように次々と死んでいった。


 学問、スポーツ、政治、経済。あらゆる分野でカリスマ性や唯一無二の考え、思想などを持った優秀な人々が集まり、ゾンビに対して有効な処置を考えよう。

 誰かが言い始めた事であり、主催者は決まっていなかった。故に、会場毎爆破するという事件が起きたのも仕方のない事であった。


 彼らは確かに各々の分野で地位を築いた人物達だ。だが、その地位へ登り詰めるまでに自分に怨みや嫉みといった感情を抱く者もいる。有名人であればある程この傾向は強い。


 有名人に対して炎上行為をするのはこういった心理が働いているからであろう。自分にはない才能や地位を嫉み、自分にも機会さえあれば同じ地位に登り詰められる。


 自ら機会を得ようと努力しないにも関わらず、彼らのような堕落した者には分からないのである。そして、有名人が失敗をした瞬間にその行動や言動を叩くのである。


 さも自分が偉いように。

 批判という行為は、物事をしっかりと理解していなければ筋が通りにくい行為である。しかし、他人から見た客観的な意見と自分の意見の食い違い、それを自らの才能と考える輩もいる。


 彼らにとって、批判とは偉業であり、その行為の前には偉人だろうがなんだろうが無知な子供同然なのである。


 そんな勘違い野郎から守るのも主催者という人物の立派な仕事の一つなのだが、今回の事件には主となる主催者がいなかったのだ。優秀な人物達が集まると聞いて、彼らに怨みを持った哀れな人々が共謀して爆破事件を起こしてしまったのだ。


 故に、今の大統領は生き残るという点においては歴代大統領の誰よりも優秀であろう。政敵も反対者も全てを退け、アメリカという国をなんとか食い繋いでいる男だからだ。

 そして、生き残るという点に特化してしまったが故に、その他の指導が欠点だらけなのだ。とてもとても大きな矛盾。


 才能がある者程生き残れない国と化したアメリカ。その国をなんとか纏め上げているのが現アメリカ大統領。そして、もう一人だけアメリカを救うことのできるヒーローがいる。


 ある日突然現れた黒人男性。白人社会がより進んだ今のアメリカにとって黒人とは迫害すべき人種。だれもが彼を奴隷の如く扱き使おうと考えていた。


「粋がってるんじゃねぇぞ、豚ども。貴様らのような家畜以下の豚は、国家に平伏して媚び諂うか、便所でお互いの被った笠でもしゃぶってろ屑共。」


 酷く悪い口調、黒い肌、小汚い身なり。そんな人物が白人社会でも高い地位にいる者たちへ暴言を吐いた。彼らは怒り、目の前にいる地を這いずるのがお似合いな男を屈服させようと考えた。


 そして、彼がアメリカを救うヒーローであることを知った。




 曰く、元軍人である。

 曰く、黒人の悲しみを背負った哀れなヒーローである。

 曰く、ゾンビの街よりやってきた英傑である。

 曰く、百戦錬磨の喧嘩屋である。



 曰く、アメリカ最後の希望。


 アメリカが再び世界の場に出るには、彼の力が必要であった。

 それは理解できる、経歴の殆どが謎に包まれているのもヒーローらしく良い点。だが、彼は黒人なのだ。


 ここはアメリカ。

 白人社会の究極体ともいうべき体制でなんとかゾンビから国を守っている国である。共通の敵がいても尚、人間同士の争いは続く。いや、むしろ共通の敵がいるからこそ人間同士の争いを厳しく罰せない。全ての出来事が士気に直結しているからだ。


 そこは、黒人差別という国に課せられた課題を乗り越えられない哀れな人々が多く集う国。そんな彼らを今日も自由の女神は見つめている。彼女は何を思い、何を感じるのだろうか。


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