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やりこみゲーマーの異世界生産職冒険譚  作者: スコッティ
第一章 パーティ結成編
6/37

日本刀はジャスティス 真実の王者

『銀の刀』 -6

 攻撃力+65 

 膂力-12 敏捷-15 器用-10 

 反りのある片刃の両手剣。

 日本刀を模して作られたが、出来が悪く粗悪品である。

 非常にバランスが悪い。

 基本素材が銀であるため重く扱いづらい

 

 

「………どうだ?」


「そうだな……うん、やっぱりいい作品とは呼べないと思う」


「やはりそうか……」


 俺の言葉にアイラが難しい顔をして俯いてしまう。

 だが半ば予想できた答えであったようだ。

 

 アイラの興奮が収まった後、俺はアイラの持っていた刀を見てほしいと言われ手にとり鑑定眼を使って鑑定してみる。

 すると-6であるわ、軒並みバッドステータスが発生するわで相当な粗悪品のようだ。

 というかよくこんなモノを扱ってあんなきれいな素振りが出来たものだな、と余計に感心してしまうほどだ。

 

「本来持っていた刀は強敵相手に折ってしまってな、どうにか代わりを探しだして買ったんだがどうにも扱いづらい。そもそも刀は市場にそう出回るものではないしな」


「へえ。刀は珍しいのか」


 まあ確かにファンタジーでは西洋の剣が主流ではあるのだろう。

 日本刀っていうくらいだし、極東発祥の武器だからな。

 

「ああ、小さな街では一本も出回っていない事もあるくらいだ。あったとしても大抵このような粗悪品ばかりでな。やはり良い物は目利きの利く同門の剣士に持って行かれてしまうんだろうな」


「同門? 昨日言っていた何とかっていう流派?」


「流派『剣刃踏破』だ。我が流派は刀特有の片刃の反りとその特性を活かした戦い方をするんでな、刀でないと扱えないんだ」


「この世界で有名な流派なのか?」


「まあ剣の道を進むなら聞かない名前ではないだろうな。少しマイナーなところはあるが、その使い手は歴史に名を残しているものが多い」


 とっつきにくい流派ではあるが、実力は折り紙つきということか。


「それでどうだ?」


「?」


「リュウはニホンから来た稀人なんだろう? 刀を造ることが出来たりするのではないのか?」

 

「ん~……」


 確かに錬成を使えば造れることは造れるだろう。

 だがその場合こちらの情報を相手に与えてしまう。

 というかスキルなどは気軽に人に言ってしまってもいいものかの判断もつかないしな。

 アイラはまだ会って一日しか立っていないがどことなく信用できそうな人物ではある。

 この際全てを話して相談に乗ってもらうべきだろうか?


 うん、そうしてみるか。

 アイラも稀人の存在は知らない人はいないとかいっていたからな。

 そんなに気を張ることな無いのかもしれないし。

 

「実はな、アイラ……」


 そうして俺はこの世界にきてからの出来事をアイラに話すことにした。

 

 

 

 

 

 

「…………」


「……というわけなんだが、ってアイラ?」


「…………なるほどな。道理でこの世界でやたら稀人が革命やらに関わっているわけだ」


 アイラは俺の話を聞くたびに難しい顔を深め、今も眉を寄せ口を開いている。

 

「どこから話したものか。………まず最初にとりあえずお前の言うそのスキルだかいう概念はこの世界には存在しない」


「え?」


「私の頭上に表示されているLV? HP? だか何かは知らんが、私は見えないし、見えるということを聞いたこともない。そもそも人の命がそんなシステム的な数値で計れるものなのか?」


「………確かに言われてみれば」


 俺はゲームの中に入ってきたという認識があるので、そういう所に疑問は持たなかった。

 だが、考えてみれば俺が元いた世界で「キミのHPは30だ、俺に攻撃力が50で、一回殴るごとにおよそ10減るから三回殴ればキミは死ぬぞ」なんて言われれば、黄色い救急車を呼んでしまうだろう。

 まさか自分の命等がそんな数字で表せるなんて思いもしないはずである。

 いや、パンチ力とかそういうのは数値化できるかもしれないが、コレほどシステマチックには認識出来ないはずだ。

 

「だがしかしなるほどという気持ちも確かにある。お伽話だと思っていたが過去この世界に来た稀人は妙な力で物を創ったり、常識では考えられない威力の魔法、まるで世界を操っているかのような現象を起こすことも出来たというしな。だから私も刀を造れるのかと聞いてみたわけなんだが……」


「えっと、話を挟んで恐縮だが、この世界に『魔法』は存在するのか?」


「ん、ああ。お前の言う魔法がどの程度のモノかは知らぬが、魔法使いはこの世界に存在するぞ。私は全く素質がない為使うことは出来んがな。まあ厳しい修行を積んだ者が魔法を使うことが出来たという話も聞くが、そういうのは稀なケースだろう」


 なるほど。

 キャラメイクした時に『火炎』や『水』などのスキルを見たが、そういうスキルが素質となって魔法が使えたり使えなかったりするということなのか。

 スキルは後天的にも習得できたりするとか。

 ⅠやⅡが存在するということはランクアップすることを前提としているような気もするが、俺みたいに確認できたりするわけじゃないから使おうと思った時点で使えなければ、素質に懐疑的になるはず。

 

「なあ、少し実験と確認に協力してもらってもいいか? 後、書くものがあればそれも貸して欲しい」


「構わないが、何をするつもりだ?」


「アイラのステータスを見せて欲しいんだ。それを見ればアイラがスキルを持っているかどうか、おおよその強さ? みたいなのが分かる」


「ほお、私が数値化できるということか?」


「まあそんな感じ。試してもいいか?」


「いいだろう。自分の強さというのが数値化できるならぜひ見てみたい」


 アイラは好奇心もあり鷹揚なのか、簡単に許可をしてくれた。

 まだ懐疑的だというのもあるんだろうが。

 

 俺はアイラを見つめながら『メニュー閲覧』を試みる。

 グリーンキャタピラにやった時のような感じでやればできるだろう。

 アイラ的にはグリーンキャタピラと一緒にされたくはないだろうが。

 そうして数瞬後、

 

アイリィ・ラドネイ 

人間

LV・15  

HP・98/98 MP・21/21

膂力・・27 魔力・・17 耐久・・22

精神・・31 敏捷・・45 器用・・34

幸運・・35


攻撃力・109

防御力・44

魔防御・39


・装備


 銀の刀-6 

 布の服

 布の靴 

 剣士の腕輪

 冒険者のピアス


・スキル

パッシブ

『剣Ⅲ』『体術Ⅱ』

アクティブ

『剣刃踏破Ⅱ』

ユニーク

『剣の天禀』


 

 おお、出てきたな。

 しかしLV15にしてはそこまで高いステータスではない。

 銀の剣-6のステータス補正の分が引かれているのか。

 でも『剣の天禀』ってやはりアイラには剣の才能があるってことなんだな。

 まあ、とりあえずコレを書き写してアイラに見せてみることにしよう。

 一応苗字はグランヴェルにしておいたほうがいいな。

 もしラドネイと素直に書いたりした場合、妙ないざこざに巻き込まれそうな気がするし。

 

 俺は用意してもらった羽ペンと紙でステータスを書き写し、アイラに見せた。

 

「こんな感じだな」


「ふむ? ………なるほど、よくわからん」


 俺の書いたステータス表を一瞥すると、アイラは肩をすくめる。


「ですよねー…」


 これが貴方の数値ですと言われてもピンとはこないだろう。

 

「だが、自分では実感がわかないがスキルというのは私にも存在するのだな。この『剣の天禀』というのは?」


「天禀というくらいだから凄い剣の才能があるってことだと思う」


「そうか……!」


 俺の言葉にアイラは笑みを浮かべた。

 自分に剣の才能があると言われれば、剣術を使うアイラにとって何よりの褒め言葉になるのだろう。

 

 しばらくそうしてコレはなんだというアイラの質問に答えながら、時を過ごしてくのであった。

 

 

 

 

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